貴金属4品週間見通し=金は米経済不安への意識が再び強まり堅調に推移

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金期近8月限は6月16日以降、軟調に推移し、6月30日に3250.5ドル
と5月20日以来の安値まで軟化したが、その後は反発となり、3300ドル台を回復
している。
 イスラエルとイランの武力攻撃を受けて高まった中東情勢不安が停戦合意を受けて後
退するに伴い値を落としたが、その後は米景気の動向に対する意識が高まるなか買い戻
される底堅さを感じさせる動きとなっている。
 米トランプ政権はベトナムとの通商協議で合意に至ったと発表した。米相互関税の上
乗せ分の停止期限を7月9日に期限を迎えるだけに、今後の米国と他国との通商協議の
進展を期待させることは金市場にとっては弱材料ととれる。米国とベトナムの輸入関税
率は、ベトナムでの米国産輸入品に対する関税がゼロなのに対し、米国のベトナム産輸
入関税率は20%と上乗せ分を含めた46%からは引き下げられるとはいえ、依然とし
て高水準となっている。
 これはベトナムを通した迂回輸出への対抗策と見られる一方、公平ではない関税率と
なる。ベトナムのケースが他国の先例になり得るだけに、今後も同様の関税率での合意
が広がるようであれば、高い輸入関税率を求められる国々の米国への輸出量の低下、経
済面での米国との関わりの低下が促される可能性がある。
 また、米国にとっても高関税は物価の上昇を促す可能性が高いうえ、高関税の影響を
受けた原材料の高騰が米国内の製造活動を引き続き抑制するリスクもある。
 6月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が事前予想を上回っており、米雇用情勢は
依然として強気を維持しているものの、政府部門によるものが多いうえ、時間当たり平
均賃金の前月比も前月の+0.4%を下回る+0.2%にとどまっており、雇用情勢軟
化の可能性も窺われる内容となっている。
 米トランプ政権の関税政策が米経済に与える影響が日増しに明らかにつれ、金に対す
る安全資産を求める動きは底堅さを増すと見られ、引き続きNY金8月限は3300ド
ルを支持線に堅調に推移することを見込む。
<銀>
 NY銀9月限は堅調に推移する金に連動し3600セントを支持線にしての高下が続
いている。
 米製造業の活動が抑制される可能性は工業用として使用される銀にとっては弱材料乍
ら、安全資産としての需要の根強さが金を支えると見られるだけに、これに支えられ、
引き続き高もみになると予想される。
<白金>
 NY白金10月限は7月に入ってからの強い足取りを維持し、2日は1447.9ド
ルに達し一代の高値を再び更新した。3日は急落となり、1365ドルの安値をつけた
が、1380ドル台まで下値を切り上げて引けた。
 2025年の白金は供給不足が見込まれながらも5月半ばまでは1000ドル前後で
低迷し、一代高値を更新し続いたNY金との値開きが拡大した。6月以降は急速にその
差の調整に向かっている。
 1400ドル台に達するなか、NY金も3300ドル台でのもちあいとなっているこ
とで値開きの調整が進行しているうえ、材料に織り込み感が強まっている。今後は早期
に1400ドル台を回復できるかに注目。ニューヨークプラチナの総取組高は6月12
日に10万7102枚まで増加したが、その後、減少となり、7月1日に9万1281
枚まで落ち込んだ。1400ドル台を回復できるかは投機家の買い資金が再流入するか
がカギ。投機家の手じまい売りが進むと、一代高値から100ドル近い1350ドル台
までの下落リスク有りとみる。
<パラジウム>
 NYパラジウム9月限はNY白金の上昇に連動し6月に入ってから地合いを引き締
め、6月27日には1193.5ドルまで浮上したところで伸び悩みに転じている。
 白金との連動性を主要因にしての高下となるなか、目先は1150ドル前後で高下と
なるか。
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