金・銀週間展望=もみ合い、米財政不安と予想以上の米雇用統計で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [7月7日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  6 月限  6 月 30 日〜 7 月 4 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          15,399    15,701 ( 4)   15,291 (30)     15,644         +246
  銀           170.0     172.6 ( 1)    168.5 ( 1)      168.5         -1.5
 プラチナ       6,081     6,271 ( 3)    5,793 ( 2)      6,121          +21
 パラジウム     5,300     5,300 (30)    5,200 ( 2)      5,200         -100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         3  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 8) 3,342.9     +55.3   | ドル・円    144.22      0.02 円高
  銀       ( 9) 3,708.4     +71.4   | 日経平均  39,810.88       -339.91
 プラチナ   (10) 1,382.1     +30.2   | NY原油 ( 8)  67.00         +1.48
 パラジウム ( 9) 1,147.70     -4.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は  3日
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【前回のレビュー】
 金は中東の緊張緩和もドル安が下支え、とした。
 金は米国の財政不安などが支援要因になったが、予想以上の米雇用統計を受けて上げ
一服となった。現物相場は6月24日以来の高値3365.40ドルを付けたのち、上
げ一服となった。金先限は6月26日以来の高値1万5695円を付けた。
 米上院は6月28日、包括的な税制・歳出法案の審議開始に向けた採決を実施し、賛
成多数で手続き上の最初の関門を超えた。米議会予算局(CBO)は税制・歳出法案の
上院案について、10年間で約3兆3000億ドルの財政赤字拡大につながるという推
計を発表した。米上院共和党はCBOの算出を否定し、2017年の減税延長による費
用をゼロとする別の計算方法を採用した。米上院は1日、税制・歳出法案の採決を実施
し、賛成51反対50で可決した。米下院は3日、減税・歳出法案を賛成218反対
214の僅差で可決した。米大統領が4日に署名して成立する。米国の財政不安の高ま
りはドル安を促す要因である。
 6月のADP全米雇用報告によると、民間雇用者数は3万3000人減となり、予想
外の減少となった。減少は2023年3月以来。経済の先行き不透明感が雇用の足かせ
となった。事前予想は9万5000人増だった。一方、6月の米雇用統計によると、非
農業部門雇用者数は14万7000人増と、事前予想の11万人増を上回った。失業率
は4.1%と前月の4.2%から低下した。事前予想は4.3%。CMEのフェドウォ
ッチで、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の金利据え置きの確率は94.8%
(前日76.2%)に上昇した。6月の米ISM製造業購買担当者景気指数は49.0
と前月の6カ月ぶり低水準48.5から小幅上昇した。ただ低調傾向は依然として続い
ており、米政権の関税措置が企業の計画能力を引き続き阻害していることを示唆した。
米ISM非製造業総合指数は50.8と前月の49.9から上昇した。受注指数の回復
を受け上向いたものの、雇用指数は今年3度目の低下となり、米政権の政策の不確実性
が企業に及ぼす影響を浮き彫りにした。
【金ETF残高は減少】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は3日時点で
1134.45トンとなり、前週末比7.27トン減少した。米国で7.16トン、英
ETFSで0.07トン、南アで0.03トン減少した。中東の緊張緩和を受けて投資
資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、
6月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万5004枚となり、
前週の20万0648枚から縮小した。今回は手じまい売りが4509枚、新規売りが
1135枚出て、5644枚買い越し幅を縮小した。
 イランのペゼシュキアン大統領は、国際原子力機関(IAEA)との協力を停止する
法律を施行した。米国は「容認できない」と非難した。イランはIAEAが西側諸国に
味方し、イスラエルによる空爆を正当化しているとして、協力の停止を警告していた。
議会を先月通過していた同法は、IAEAがイラン核施設を今後査察する際には、イラ
ンの国家安全保障最高評議会の承認が必要だと定めている。イランのアラグチ外相は、
同国が核拡散防止条約(NPT)およびその保障措置協定を引き続き順守する姿勢を示
した。トランプ米大統領は7日にホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談
する予定である。イラン、パレスチナ自治区ガザ、シリアなど地域の課題について協議
するとしており、今後の行方を確認したい。
【銀は押し目を買われる】
 銀の現物相場は米国の財政不安や金堅調を受けて押し目を買われ、6月18日以来の
高値37.05ドルを付けた。6月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は
49.7と景況拡大・縮小の分かれ目となる50を3カ月連続で下回った。前月の
49.5からは小幅に改善した。財新製造業PMIは50.4と前月の48.3から上
昇し、節目となる50を上回った。新規受注の増加で生産が押し上げられた。一方、予
想以上の米雇用統計を受けて7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置き
が見込まれている。
 3日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.55トン増
の1万4868.74トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉
明細報告によると、6月24日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは6万
2947枚となり、前週の6万7174枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上
回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
 7日 独鉱工業生産指数 2025年5月(経済技術省)
    ユーロ圏小売売上高 2025年5月(EUROSTAT)
    建玉明細報告(CFTC)
 8日 国際収支(経常収支) 2025年5月(財務省)
    キャッシュレートターゲット公表(オーストラリア準備銀行)
    独貿易収支 2025年5月(連邦統計庁)
    米消費者信用残高 2025年5月(FRB)
 9日 マネーストック 2025年6月(日本銀行)
    中国消費者物価指数 2025年6月(国家統計局)
    中国生産者物価指数 2025年6月(国家統計局)
    政策金利公表(NZ準備銀行)
    米卸売在庫 2025年5月確報値(商務省)
    米FOMC議事録公表 6月17-18日(FRB)
10日 企業物価指数 2025年6月(日本銀行)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
11日 独消費者物価指数 2025年6月確報(連邦統計庁)
    英貿易収支 2025年5月(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2025年5月(国立統計局)
    米財政収支 2025年6月(財務省)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
※投資や売買については御自身の判断でお願いします。

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