ドル円、147円台を一時試す展開 トランプ関税に注目集まる=NY為替概況 きょうのNY為替市場、序盤はドル高が優勢となったほか、トランプ関税の発表を受けた円安も続き、ドル円は147円台を試す展開も見られた。ただ、後半になると動きは一服し、146円台半ばに伸び悩んだ。きょうの上げで100日線を突破する展開が見られ、水準を維持できれば、チャート的には底値を形成しそうな気配も出ている。 前日発表のトランプ関税が注目を集めているが、7月9日の期限が8月1日に再延長された。日本の場合であれば、4月2日の最初の発表時点では関税率が24%だったが、今回はそれが25%に1%上乗せされ、猶予期間が90日から3週間に短縮され、再び先送りしただけのイメージ。トランプ大統領は本日「一切の延長措置は行わない」と投稿していたが、一部では懸念されていたほど厳しくはならないのではと、懐疑的に見ている向きも少なくない。 関税措置に対する見方は分かれている。「関税によるインフレをを考慮すれば、ドルにとっては完璧な上向きの嵐。米経済指標がFRBの追加利下げを抑制し続けている現状ではなおさらだ」といった声が聞かれる。一方、ドル安が今後も続くとの見方も根強い。「今回の関税措置は最終的に米経済により大きな悪影響をもたらし、米国が国際貿易のルールや秩序を適切に運営できているのかという疑念を強める。ドル安を再燃させる要因は依然として数多く存在している」といったコメントも出ている状況。 ユーロドルは戻り売りが続き、一時1.17ドルを割り込む場面も見られた。ただ、1.17ドルを割り込むと押し目買いも入るようで、1.17ドル台は維持されている。節目の1.20ドルを目指す上で、1.17ドル台を維持できるかどうかは重要なポイント見ているようだ。 EUと米国の通商交渉は続いているが、近く合意への期待感がユーロを下支えしている。トランプ大統領は、日本や韓国などに対し、関税の発効日を3週間延長し、8月1日とすることを発表していたが、欧州委員会は依然として当初の合意期限である明日7月9日に向けて交渉を進めていると述べていた。 トランプ大統領も、「米国はEUに対し、恐らく2日以内に関税を通知する書簡を送付する」と述べた。EUとの貿易交渉は継続中だとしつつ、「書簡を送付するということは合意が成立するということだ」とも語っていた。市場では、EUからの大半の輸出品に対して基準関税とされる10%の適用を勝ち取る可能性があるとの楽観的な見方が広がっている。ただし、自動車への25%の関税や、医薬品分野では大きな課題が残っているようだ。 ポンドドルは戻り売りに押され、一時1.35ドル台前半まで下落。21日線を一時下回っていたが、後半にはその付近まで戻す展開。目先は1.35ドル台を維持できるか、明日以降の動きが注目される。 ドルが反発する一方、英財政不安の強まりもポンドの重石となっている模様。英国では労働党政権が、党内議員からの反発を受けて福祉改革案に大幅な譲歩を余儀なくされた。アナリストは、特別支援教育(SEN)に関する支出削減の取り組みも、同様の結果に直面する可能性が高いと指摘している。これにより、今後数週間で新たな政治的対立が起こる見通しとなっており、ポンドにさらに下押し圧力がかかる可能性があるという。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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