ややドル高も全体的には様子見 ドル円は147円台での推移=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ややドル高の動きも見られたものの、全体的には様子見の雰囲気が広がった。ドル円は147円台での推移。トランプ関税はエスカレートし、EUとメキシコからの輸入品にも8月1日から30%の関税を課すことを明らかにした。EUは交渉次第では対抗措置を検討しており、不透明な状況が続いている。ただ、市場の反応は比較的冷静で、交渉段階で関税率は引き下げられるのではとの期待もあるようだ。 ドル円の流れには大きな変化はなく、100日線の上をしっかりと維持。テクニカル的には底打ちの兆候が出ている。6月高値の148円ちょうど付近が次の上値抵抗として意識され、これを上抜ければ200日線に向けた上昇余地が広がる。 一方、市場の雰囲気は明日の6月米消費者物価指数(CPI)待ちといったところ。関税強化はインフレを上昇させ、FRBの早期利下げ期待を後退させると見られている。FRBは6月以降、関税の影響がインフレに出ると予測する中、市場も前回よりも高めの数字を予想されている。それに対して市場がどう反応するか要注目となる。 ユーロドルは1.16ドル台後半を中心に推移。1.20ドルを目指す上でポイントとされていた1.17ドルを割り込んでおり、下値警戒感も高まっている状況ではある。 トランプ大統領がEUに30%の関税を課すと警告しているが、アナリストはそれについて、欧州の景気減速を長引かせECBの利下げ幅拡大につながる可能性があると指摘している。関税引き上げはユーロ圏の成長と短期的なインフレ低下を意味し、これはECBが6月に公表した代替シナリオと同様だという。これにより、ECBは景気刺激を目指す緩和策に移行し、中銀預金金利は2026年第1四半期までに現行の2.00%から1.00%まで引き下げられると予想している。 一方、現在の関税構造を維持できる交渉の余地はまだ残されているとも指摘。しかし、そうした結果は事態がエスカレートした後でなければ達成できない可能性があり、逆にEUが報復措置を導入すれば、米国はさらなる関税引き上げに踏み切る可能性もあるという。 ポンドドルは1.34ドル台前半に下落。21日線を下放れしており上値が重くなっている中、目先は6月安値の1.3370ドル水準を試しに行くか注目される。全体的なドル買い戻しの流れがポンドドルを圧迫しているが、ポンド自体も財政懸念と利下げ観測で上値が重くなっており、対ユーロで3カ月ぶりの安値を付けている。 英中銀の利下げペース加速や、財政の穴埋めのための増税観測が重しとなっている。ベイリー英中銀総裁はタイムズ紙のインタビューで、雇用市場の減速が急激過ぎる場合、より積極的な利下げが可能だと述べていた。今週は木曜日に英雇用統計の発表が予定されており、重要性が高まっているとお指摘も出ている。 エコノミストは、先週発表された5月の月次GDPの弱い結果を受け、8月利下げがより確実になり、秋の追加増税のリスクも高まっていると述べていた。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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