<金> NY金12月限は3400ドルを前後する動きが続いている。米国の7月雇用統計を 受けて、5月以降の米雇用情勢がこれまで想定されていたより軟化した可能性が示され た。加えて、米トランプ政権による関税引き上げが製造業部門においてネガティブな影 響を与えている様子が窺われたことで、米経済不安が高まっていた。 また、7月生産者物価指数(PPI)が予想を上回る伸びを見せたことで、輸入物価 の上昇を企業努力で消化した結果、消費者物価指数(CPI)の伸びが抑制されてきた 流れからインフレ加速化へと変化が生じる可能性が窺われたことも金市場の買い支援要 因となっている。 19日には7月米住宅着工件数の強気な内容が売りを呼ぶ要因となったものの、許可 件数は前月比で2.8% の減少となっており、強気な住宅着工件数の発表は一時的な 物にとどまる可能性もあり、米経済の見通しは必ずしも楽観的とは言えない状況にあ る。 注目されるのは9月米公開市場委員会(FOMC)で利下げが実施されるかどうか、 という点だ。 CMEのFedウォッチによると9月利下げを見込む比率は8月21日時点で75. 4%と8月半ばの90%台から後退している。これは8月の米総合購買担当者景気指数 (PMI)速報値は55.4と、前月の55.1から上昇して昨年12月以来の高水準 に達していることが背景。 製造業の景況感が高まっていることで、米経済不安が和らぐと同時に9月利下げ観測 も後退している。 22日に行われるジャクソンホールでの講演においてパウエル米連邦準備理事会 (FRB)議長がどのような見方を示すのかが注目されるが、米経済状況に関し強弱入 り混じる内容の経済指標が発表されていることで、パウエルFRB議長の講演会の内容 次第という側面はあるが、目先は3400ドル前後での高下を継続すると見られる。 <銀> NY銀9月限は3800セントを前後する動きが続いている。米製造業の景況感の高 まりは工業用として消費される銀にとって強気材料であり、NY金の高止まりもあって 底意の強い動きが見込まれる。 NY銀9月限は引き続き3800セントを挟んでの小動きとなりそうだ。 <白金> NY白金10月限は7月30日に大きく落ち込んで以降、1300ドルを下値支持線 にしての高下が続いている。 世界的な供給不足という材料を織り込んだうえ、NY金との値開きを修正した後は NY金が3400ドル前後でこう着状態にあることも背景となるなか引き続き1300 ドル台での高下が続くと予想される。当面は短期線の5日間移動平均線(1339ド ル)から25日移動平均線が通る1375ドルのレンジでのもみあい予想。抜けた方向 に新たな動きを示そう。 <パラジウム> NYパラジウム9月限は5日間移動平均が重石となるなかじり安で運ばれながらも 1100ドル割れに抵抗を見せる動きとなっている。 独自の要因に乏しいなか、NY金、NY白金ともにこう着状態にあるため、もちあい 継続が見込まれる。 MINKABU PRESS
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