プラチナ週間展望=もみ合い、ドル高も好調な製造業などが下支え

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [8月25日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  6 月限  8 月 18 日〜 8 月 22 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          15,964    16,089 (22)   15,855 (20)     16,022         +65
  銀           179.8     179.9 (21)    176.0 (20)      179.9        +0.1
 プラチナ       5,976     6,001 (18)    5,734 (20)      5,920         -91
 パラジウム     5,300     5,300 (18)    5,300 (18)      5,300        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        21  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 3,381.6      -1.0   | ドル・円    148.43      1.31 円安
  銀       ( 9) 3,807.9     +10.4   | 日経平均  42,633.29       -745.02
 プラチナ   (10) 1,358.9     +13.7   | NY原油 (10)  63.52         +1.54
 パラジウム ( 9) 1,115.70     -2.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 21日
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【前週のレビュー】
 プラチナはドル安も高値での買い見送られ、もみ合い、とした。
 プラチナはジャクソンホール会議を控えてドル高に振れたことが圧迫要因になった
が、トランプ米大統領の米連邦準備理事会(FRB)攻撃や欧米の好調な製造業を受け
て下げ一服となった。現物相場は1日以来の安値1300.70ドルを付けた。プラチ
ナ先限は6日以来の安値5734円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は7月9日
以来の安値1092.96ドルを付けた。
 7月の米小売売上高は前月比0.5%増加し、市場予想と一致した。7月の米一戸建
て住宅の着工件数は前月比2.8%増の93万9000戸だった。建設許可件数は同
0.5%増の87万戸。住宅ローン金利の高止まりと経済の先行き不透明感が逆風とな
る中でも増加を確保した。全体の住宅着工件数は同5.2%増の142万8000戸だ
った。新築マンションプロジェクトの急増が支えた。8月の米総合購買担当者景気指数
(PMI)速報値は55.4と前月の55.1から上昇し、昨年12月以来の高水準と
なった。米製造業PMIは53.3と前月の49.8から大幅に上昇し、2022年5
月以来の高水準となった。一方、米新規失業保険申請件数は1万1000件増の23万
5000件と、5月下旬以来の大幅な増加となった。一時解雇(レイオフ)が加速し、
労働市場の軟化兆候が強まっている可能性を示唆した。CMEのフェドウォッチで、9
月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率
は75.0%(前週92.1%)となった。22日のジャクソンホール会議でパウエル
米連邦準備理事会(FRB)議長の講演が焦点である。慎重姿勢が示されるとみられて
いるが、利下げの可能性が示されても、市場で利下げを織り込んでおり、大きく反応す
ることはないとの見方が出ている。
 米ロ首脳会談では米国がウクライナに安全保証を提供できるとの考えで一致した。た
だウクライナの目標である北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めるには至らなかっ
たという。トランプ米大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領と個別に会談した
後、英独仏伊とフィンランドの首脳のほか、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と
NATOのルッテ事務総長との会談を実施した。会談ではウクライナに対する「安全の
保証」などが協議された。米大統領は会談を「非常に良かった」と評価し、その後のロ
シアのプーチン大統領との電話会談を受け、プーチン氏とゼレンスキー氏の会談の手配
を始めたと表明した。ロシアのラブロフ外相は、プーチン大統領がゼレンスキー大統領
との会談に前向きではあるものの、事前に全ての問題解決が示される必要があるとの認
識を示した。合意文書に署名するウクライナの代表者として、ゼレンスキー氏の正当性
には疑義があるとも改めて主張した。
【NYのプラチナETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、20日のロンドンで11.15トン
(前週末11.15トン)と変わらず、21日のニューヨークで37.53トン(同
37.24トン)に増加、20日の南アで8.56トン(同8.62トン)に減少し
た。またパラジウムETFの現物保有高はロンドンで4.92トン(同4.92ト
ン)、ニューヨークで13.84トン(同13.84トン)、南アで0.36トン(同
0.36トン)と変わらずとなった。ニューヨークのプラチナETF残高が増加した。
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月12日時点の
ニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7788枚(前週1万6662
枚)に拡大、パラジウムの売り越しは3496枚(同2335枚)に拡大した。
【ユーロ圏の製造業PMIは3年ぶりの拡大局面】
 8月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.1と7月の
50.9から上昇し、2024年5月以来の高水準となった。市場では50.7への悪
化が予想されていた。製造業PMIは49.8から50.5に上昇し、3年超ぶりに拡
大局面に入った。8月のユーロ圏の消費者信頼感指数速報値はマイナス15.5と前月
のマイナス14.7から0.8ポイント低下した。市場予想はマイナス14.9だっ
た。7月のユーロ圏の消費者物価指数確定値は前年比2.0%上昇した。速報値から変
わらず。前月の伸びは2.0%。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、米国と欧
州連合(EU)の貿易協定は想定水準を若干上回ったが大きくかけ離れてはいないとの
見方を示した。貿易に対する楽観的な見方が出ていることはプラチナの下支え要因であ
る。
当面の予定(イベント・経済統計)
25日 ●英国(サマー・バンク・ホリデー)
    独景況感指数 2025年8月(ifo)
    米新築住宅販売 2025年7月(商務省)
26日 米耐久財受注 2025年7月速報値(商務省)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年6月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2025年8月(カンファレンスボード)
27日 中国工業利益 2025年7月(国家統計局)
28日 米国内総生産 2025年4-6月期改定値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年7月(全米不動産協会)
29日 労働力調査(失業率) 2025年7月(総務省)
    鉱工業生産指数 2025年7月速報(経済産業省)
    小売業販売額 2025年7月速報(経済産業省)
    独雇用統計 2025年8月(連邦雇用庁)
    独消費者物価指数 2025年8月速報(連邦統計庁)
    米個人所得・支出 2025年7月(商務省)
    米卸売在庫 2025年7月速報値(商務省)
    シカゴ購買部協会景気指数 2025年8月(シカゴ購買部協会)
    米消費者信頼感指数 2025年8月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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