ドル高が優勢に ドル円はロンドン時間の下げ取り戻す 雇用者数の年次改定に反応限定的=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル高が優勢に ドル円はロンドン時間の下げ取り戻す 雇用者数の年次改定に反応限定的=NY為替概況

 きょうのNY為替市場はドル高が優勢となり、ドル円も買い戻されている。ロンドン時間に日銀関連のニュースが流れ円高が強まった。石破首相の辞任表明を受けて日本の政治情勢が流動的になる中でも、日銀は年内利上げの可能性を排除しない姿勢だと伝わっていた。

 ドル円は146.30円近辺まで一時下落したものの、NY時間に入ってからのドル買いでロンドン時間の下げを取り戻した。米労働統計局(BLS)が今年3月までの1年間の米雇用統計の雇用者数の年次基準改定(速報・推計値)を公表し、年間で91.1万人下方修正した。過去最大の下方修正。

 先週の米雇用統計とともにFRBの利下げ期待を後押しする内容ではあったが、発表直後こそ上下動したものの、結局一時的な反応に留まったことから、その後は逆にドル高が強り、ドル円も147円台半ばに戻す展開となった。

 ユーロドルは1.17ドル台前半に下落。前日に引き続き1.17ドル台後半まで上昇したものの、1.18ドル台には到達せずに伸び悩んだ格好。ただ、ドルの先安感が根強い中で底堅い値動きは続いている。一方、ユーロ円はロンドン時間の円高で172円台前半まで下落していたものの、172円台半ばに下げ渋る動き。

 今週はECB理事会が開催されるがストラテジストによると、ECBは来年まで金利を動かす可能性が低く、金利ボラティリティの指標も長期の据え置きを示唆しているという。中銀預金金利は2.00%で長期間維持され、ECBの次の一手は来年後半の利下げになると見込んでいるようだ。

 ECBの長期的な静観姿勢に対する見方はボラティリティにも反映され、短期金利のボラティリティは2022年1月以来の低水準にあるとも指摘。なお、短期金融市場では現在、来年半ばまでにECBが0.25%ポイントの追加利下げを行う確率を70%程度で織り込んでいる。今週木曜日のECB理事会で今後の金利動向に関する何らかのヒントが出るか注目されている。アナリストからは、ECBが利下げサイクル終了を示唆すれば、ユーロは上昇する可能性があるとも述べていた。

 ポンドドルはロンドン時間に1.3590ドル近辺まで上昇する場面が見られたものの、NY時間にかけて1.35ドル台前半に値を落とした。ただ、21日線の上は堅持しており上向きの流れは続いている。ポンド円も200日線にはなお慎重なものの下値も底堅く、21日線より上での推移が続いている。

 一部からは、ポンドドルの上昇余地は限定的と見られるとの指摘が出ている。先週金の米雇用統計を含む米経済指標の軟化は一時的にポンドに対する英財政懸念を和らげる一方、来週のFOMCでの利下げも既に織り込まれている。木曜日の米消費者物価指数(CPI)が例え予想を下回ったとしても、ポンドドルに大きな影響を与える可能性は低いと見ているという。

 一方、7月の英GDPを含む金曜日の英経済指標は、英中銀の利下げへの慎重姿勢を変えることはないとも述べている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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