【NY金は米国離れの動きが続くなか地合いをさらに引き締め】 NY金12月限は9月22日から23日にかけて急伸し3800ドル台を付ける強い 動きとなったが、騰勢は終わらずに10月7日に4000ドル台に突入し4014.6 ドルの高値まで浮上、翌8日に指標限月として4081ドルの史上最高値を記録した。 8月終盤に3400ドル前後で推移しており、この1か月強で600ドル程度の上昇 を記録したことになる。また、前年の10月上旬は2600〜2700ドル前後での高 下となっていたため、この1年の上げ幅は1300〜1400ドル程度、50%前後に 達したことになる。 米トランプ政権による関税引き上げを受けてインフレ加速化に対する警戒感が強まる と同時に、米雇用情勢の軟化に対する懸念が深まっていることで安全資産としてNY金 を求める動きが活発化したことがNY金が強含む主因となってきた。 この強気材料は金を3000ドル台後半まで押し上げそれまでの一代の高値更新を促 す要因になってきたが、これに加え、つなぎ予算が不成立となったことで米政府機関の 一部閉鎖が実施されて以降、米政治・米財政不安が高まっていることが、4000ドル 台という新たな価格水準へとNY金を押し上げる主因になっている。 米国ではトランプ政権による関税引き上げ以前から雇用情勢が軟化していた可能性が 高まっている。8月1日から相互関税の上乗せ分が発動されていることで、インフレ加 速化に対する懸念も強い。相互関税の上乗せ分が発動される前は関税引き上げ分は価格 転嫁によって顧客離れの動きが高まることを警戒し、企業が自身の努力によって吸収し てきた結果、インフレ率の目立つ上昇は見られなかった。 ただ、関税引き上げ分を吸収するための手段のなかに賃金や雇用者数の抑制も含まれ ると見られる。そのため、物価が今後も上昇傾向を保ったり、もしくは価格引き上げが 見られなかった場合には、雇用面にその影響が出てくる可能性が高い。 米雇用情勢の状況を把握したいが、米政府機関の一部閉鎖の影響で米雇用統計の発表 は控えられており、最新の雇用情勢を把握できない状況にある。これは米連邦準備理事 会(FRB)にとっては28〜29日にかけて開催を予定している米公開市場委員会 (FOMC)での金融政策の方向性を決定するための材料に乏しい状態が続くことを意 味する。 現状を把握できないという点、現状を把握できないことにより、適切な金融政策の決 定が難しくなる可能性が高まるという点から米政治・財政・金融政策に対する警戒感が 高まると同時に、米国離れの動きがよりいっそう強まるなか、NY金市場は引き続き安 全資産を求める資金が流入してくると予想。 これまでの価格高騰を受けて上げ警戒感が強まるなか利益確定の動きが強まり値を落 とす場面があったとしても、金市場を巡る強気材料が意識される状況が続くなか、NY 金12月限は4000ドルを支持線に高値圏での高下を継続すると見られる。 MINKABU PRESS
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