株価指数先物 【週間展望】―「高市トレード」はいったんニュートラルも、押し目狙いのロング対応

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は波乱の展開から始まることになる。先週は10月4日の自民党総裁選で高市早苗氏が新総裁に選出されたことを受け、「高市トレード」が再始動。週明け6日は前営業日比2250円高の4万8190円と急伸。その後も利食いを挟みながらも高値圏での推移が続き、9日に終値で4万8000円台に乗せると、週末10日には4万8940円まで買われる場面もみられた。

 ただ、10日午後に自民党の高市総裁と公明党の斉藤鉄夫代表との会談を控えていることが投資家心理を神経質にさせた。終了間際には為替市場が急速に円高に振れるなかで、公明党が連立政権から離脱する方針を表明したことが伝わり、高市トレードの巻き戻しを狙ったショートが入り、4万7620円と下落して終えた。

 さらに10日取引終了後のナイトセッションでは、4万7400円~4万7750円辺りでの推移をみせていたが、米国市場の取引開始後に下へのバイアスが強まり、終盤にかけて4万5180円まで急落。高市トレードの巻き戻しに加えて、中国商務省が一部のレアアース(希土類)やその採掘などに必要な技術の輸出規制を強化すると発表し、これに対抗してトランプ米大統領が中国製品に高水準の追加関税を課すと表明するなど、米中関係悪化への警戒が広がった。

 日経225先物は4万5180円まで売られたが、これにより25日移動平均線(4万5390円)を割り込む場面もみられた。先週の上昇分を一気に解消したことで、3連休明けはギャップダウンでの始まりが見込まれる。ヘッジ対応のショートが強まることで、イレギュラー的に下げてくる可能性もありそうだ。ただし、祝日取引では4万6600円辺りまで下げ幅を縮めており、ボリンジャーバンドの+1σ(4万6960円)に接近している。

 +1σ水準で下げ渋りをみせれば、売り一巡後は押し目待ち狙いのロングが入りやすくなるだろう。高市トレードのポジションは、いったんニュートラルになると考えられるため、週初の売り一巡後は押し目待ち狙いのロング対応としておきたい。

 国内政治では、公明党の連立離脱によって、首相指名選挙の行方が急速に不透明感を増している。高市首相誕生か政権交代かを巡り、さまざまな情勢分析の報道なども増えそうであり、積極的にポジションを傾ける動きには向かいにくいだろう。

 日経225先物は再び25日線水準まで下げてくる可能性はあるが、+1σ水準で底堅さがみられる局面では、+2σ(4万8520円)とのレンジに移行する可能性がありそうだ。米国では米中貿易摩擦が重荷となるほか、政府機関の一部閉鎖が続いており、景気への悪影響が警戒される。米国の主要な株価指数は最高値圏で推移していることもあって、利食いが入りやすい。一方、国内では新政権の政策期待は根強く、相対的に日本株に資金がシフトしやすいと考えられる。

 そのため、オプション権利行使価格の4万7000円を中心とした上下の権利行使価格となる、4万5500円から4万8500円と広めのレンジを想定する。

 10日の米VIX指数は21.66(9日は16.43)に上昇し、一時22.44まで切り上がり、6月下旬以来の水準まで急伸した。週間(3日は16.65)でも大幅な上昇となった。先週は25日・75日線を支持線としつつも、16.50~17.70辺りでのレンジが続いていた。10日の急伸によって52週線(18.80)と26週線(18.31)を一気に上抜ける形状となったため、リスク回避姿勢が強まりやすい。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で15.00倍(9日は14.96倍)に上昇した。週間(3日は14.64倍)でも上昇している。「高市トレード」の活発化に加え、米国でエヌビディアなど半導体関連が買われたことを受けて、指数インパクトの大きい値がさハイテク株に資金が集中する場面が目立った。2021年6月以来の15.00倍を回復し、次のターゲットは同年2月下旬につけた15.68倍が意識される。

 ただし、今週は波乱の展開が見込まれ、NTロングを巻き戻す動きが強まりやすい。イレギュラー的な動きを考慮すると、25日線(14.36倍)辺りまでの低下を意識しておきたいところであろう。もっとも、週初の低下以降は、改めてNTロングを組成する動きも考えられ、25日線辺りで下げ止まるかを見極めたい。

 10月第1週(9月29日-10月3日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週連続の売り越しであり、売り越し額は534億円(9月第4週は1兆2608億円の売り越し)だった。なお、現物は1兆2398億円の買い越し(同5591億円の売り越し)と4週ぶりの買い越し。先物は1兆2933億円の売り越し(同7016億円の売り越し)と2週連続の売り越しだった。中間期末の配当再投資に伴うリバランスであろう。個人は現物と先物の合算で3974億円の買い越しと3週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で9861億円の買い越しとなり、2週連続の買い越しだった。

 主要スケジュールでは、13日に中国9月貿易収支、14日にパウエルFRB議長講演、IMF世界経済見通し、15日に中国9月消費者物価指数、中国9月生産者物価指数、米国9月消費者物価指数、G20財務相・中央銀行総裁会議(~16日)、16日に8月機械受注、米国9月小売売上高、米国9月生産者物価指数、17日に米国9月住宅着工件数、米国9月鉱工業生産などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06
07月限 日経225 40004.61  TOPIX  2830.46
08月限 日経225 41368.58  TOPIX  3004.82
09月限 日経225 45016.28  TOPIX  3175.61
10月限 日経225 48779.14  TOPIX  3241.66

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 10月10日  48760  48940  47530  47620  -1180
25/12 10月09日  48010  48810  47880  48800  +1040
25/12 10月08日  48020  48240  47760  47760  -180
25/12 10月07日  48130  48720  47940  47940  -250
25/12 10月06日  45990  48220  45900  48190  +2250

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 10月10日  3260.0  3267.0  3167.5  3174.0  -88.0
25/12 10月09日  3248.0  3265.0  3241.5  3262.0  +24.5
25/12 10月08日  3230.5  3269.5  3222.5  3237.5  +8.5
25/12 10月07日  3232.0  3267.5  3228.0  3229.0  -8.0
25/12 10月06日  3140.0  3260.0  3137.5  3237.0  +99.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
10月10日(12月限) 45965 -1655
10月09日(12月限) 48660 -140
10月08日(12月限) 48125 +365
10月07日(12月限) 48010 +70
10月06日(12月限) 48585 +395
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い      前週末比
10月03日    2080億円  +538億円  2兆2812億円  -3067億円
09月26日    1542億円  +599億円  2兆5880億円  +1936億円
09月19日    942億円  +211億円  2兆3944億円  +2765億円
09月12日    731億円 -3021億円  2兆1178億円  -239億円
09月05日    3753億円 +3230億円  2兆1417億円  -96億円
08月29日    523億円  +228億円  2兆1513億円  +238億円
08月22日    294億円  -596億円  2兆1275億円  -2億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
10月08日    479万株   -2314万株  10億1630万株   +742万株
10月07日    2793万株   -587万株  10億0888万株   -543万株
10月06日    3380万株   -1638万株  10億1431万株   +399万株
10月03日    5019万株   +120万株  10億1031万株   +2882万株
10月02日    4898万株   +286万株  9億8149万株   -4179万株
10月01日    4612万株   -285万株  10億2329万株   -4580万株
09月30日    4897万株   +1192万株  10億6909万株   -2778万株
09月29日    3705万株   +0.9万株  10億9688万株   -468万株
09月26日    3704万株   +1867万株  11億0156万株   +6476万株
09月25日    1837万株   +413万株  10億3680万株   +2951万株
09月24日    1423万株   -884万株  10億0729万株   -1703万株
09月22日    2308万株    +29万株  10億2433万株   +1472万株
09月19日    2279万株   -108万株  10億0960万株   +3692万株
09月18日    2387万株   -256万株  9億7268万株   +2146万株
09月17日    2643万株    +70万株  9億5122万株   +2609万株
09月16日    2573万株   +796万株  9億2513万株   +3941万株

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