<金> NY金12月限は今月7日に終値ベースで4000ドル台に達した後、利益確定の動 きを受けて値を落とす場面も見られたが、13日以降は騰勢を強めて一代の高値を更新 する動きが続き、16日には4346.7ドルに達している。 中国が9日に中国産レアアースが使用された製品を輸出する外国企業の輸出ライセン スの取得の必要、レアアースの採掘などの技術も同省の許可なしでの輸出禁止といった レアアースの輸出規制を発表したことに対し、米トランプ大統領が10月末に韓国で開 催される予定のア ジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせた中国の習近平国家 主席との会合につい て、その必要はない、と否定的な見解を示したほか、11月1日 からの中国からの輸入品に対する100%の追加関税の可能性を自身のソーシャルメデ ィア、トゥルー ス・ソーシャルに投稿したことを受けて、米中関係悪化に対する警戒 感が強まるなか、安全資産を求める動きが高まっている。 さらに米政府機関の一部閉鎖の影響で、16日に予定されていた米小売売上高の発表 が延期される一方、シカゴ連銀が発表した小売売上高は前月に記録した+0.7%を下 回る+0.5%となって伸びが鈍化したうえ、価格の上昇が小売売上高を押し上げてい る可能性が指摘されるなど、これまで好調を維持してきた小売売上高に変化が生じる可 能性が高まっている。 米国では雇用情勢の軟化が警戒される状況が続きながらも小売売上高が堅調を保って きたことが米経済に対する楽観的な見方を支持してきたが、小売売上高に軟化傾向が強 まるようであれば、雇用情勢およびトランプ政権の関税引き上げによる物価の上昇が 消費活動にも影響を及ぼし始めている可能性が示されることになる。 これは米経済に対する不安感を高めると同時に、米連邦準備理事会(FRB)による 追加利下げの可能性を強めるものであり、金市場にとっても買い支援要因として意識さ れるものとなる。 また、このような中で実際に中国からの輸入品に100%の輸入関税が賦課されるよ うであれば、米経済がさらに圧迫されかねない。 米政府機関の一部閉鎖が長引き、経済指標の発表が見送られるなかで米経済の実態が つかめないことが不安感を深めていることも金市場における買い支援要因となってい る。 NY金市場は安全資産を刺激する要因が意識される環境が続いていることで、青天井 の状態にあり、16日に3ケタの上げ幅を記録する大幅高となった後で買い修正の動き が見られる可能性はあるが、再び史上最高値を更新する可能性があるなかでの高もみ 継続が見込まれる。 <銀> NY銀12月限は今月10日まで4900セントを上値抵抗線とする動きが続いてい たが、NY金が一代の高値の更新を続けるなか買い優勢となって上値探りに転じ、16 日には5361.5セントに達して金と同様に史上最高値を更新した。 太陽光パネルの電極材料としての需要などの増加により現物の需給がひっ迫するなか リースレートが上昇していることが銀市場の買い支援要因となっている。 NY金市場で史上最高値の更新が続いていることもNY銀の買い支援要因となってお り、これまでの上伸後で利益確定の動きが広がる可能性はあるが、引き続き高値圏で高 下すると予想される。 <白金> NY白金1月限は今月15日までは1700ドルを上値抵抗線とする高もみが続いて いたが、16日に1770ドルに達し一代の高値を更新した。 NY金市場では史上最高値の更新が続いているうえ、米中関係悪化に対する警戒感を 受けた安全資産を求める動き、米経済不安により高まるドル離れの動き、10月末の米 公開市場委員会U(FOMC)での追加利下げ観測が買い支援要因になっている。 NY金との比価が意識されていることも強気材料であり、一代の高値更新後の利益確 定の動きが見られても、1700ドルを下値支持線とする高止まりとなるのではない か。 <パラジウム> NYパラジウム12月限は今月8日以降、時折転売が見られながらも上昇基調を維持 して値位置を切り上げる動きが続き16日には1695ドルまで浮上し一代の高値を更 新している。 パラジウム独自の手掛かりには乏しいながら、他貴金属市場が安全資産を求める動き や需給引き締まりから堅調な動きを見せていることが買い支援要因になっている。 他非鉄貴金属に比べると上値を抑制された期間が長く出遅れ感もあるだけに、引き続 き一代の高値を更新する可能性があり、目先は1700ドル台を目指すと予想される。 MINKABU PRESS
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