【来週の注目材料】連邦政府機関閉鎖の中、発表を行う米CPI 10月1日からの米連邦政府機関の一部閉鎖の影響で、多くの指標が発表されない状況が続いています。米雇用統計など、相場に大きな影響を与える指標も発表が延期される中、米労働省労働統計局(BLS)は9月の米消費者物価指数(CPI)について、本来の予定日15日からは遅れたものの、24日21時半に発表することを示しました。BLSも閉鎖が続いていますが、元々のデータ自体は集まっていたこともあり、職員の一部を呼び戻して発表することにしたものです。 28日、29日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、元々注目度が高い指標ですが、他の主要指標が出ていない分、より注目度が増しています。 まずは前回8月分を振り返りましょう。 8月の米CPIは前年比+2.9%と8月の+2.7%から伸びが加速。市場予想とは一致。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年比+3.1%と7月と同水準、市場予想とも一致となりました。前月比は+0.4%と7月の+0.2%から伸びが加速、市場予想は+0.3%。コア前月比は+0.3%で7月と同水準、市場予想とも一致となっています。総合の前月比がわずかに強かったものの、概ね市場予想通りという結果になりました。 内訳をみると、エネルギーが伸びており、前月比、前年比の伸びにつながっています。特に電気料金の伸びが高くなっています。AIの利用が広がったことで電力消費量が伸びていることが一因にあるのではと推測されています。また、7月に成立した大きく美しい一つの法案(OBBB法)により、クリーンエネルギーの導入における税額控除などが撤廃され、コストが増加したことなどもエネルギー価格の上昇につながったとみられます。食品も伸びていますが、こちらは牛肉価格の上昇の影響が大きいです。 コア項目は財部門の伸びが前年比+1.5%と7月の+1.2%から伸びています。同項目は3月の-0.1%から5カ月連続で伸びが加速しています。自動車関連の伸びが特に目立っています。中古車が+6.0%、新車が+0.7%とともに7月から伸びており、部品も合わせて自動車部門の伸びが顕著です。関税の影響が意識されるところとなっています。 コアサービスは5カ月連続となる+3.6%。CPI全体を100としたとき36.2%を占める最大の項目である住居費が5カ月連続で鈍化しており、サービス部門の伸びを抑えています。航空運賃が7月の+0.7%から+3.3%まで大きく伸びるなど、その他の項目は伸びが目立つものもありますが、医療サービスの伸び鈍化なども見られ、項目ごとにまちまちという印象です。 こうした状況から24日発表の9月のCPIの見通しです。 前月比は総合、コア共に8月と同水準の伸び、前年比は総合が+3.1%と8月の+2.9%から伸びが加速、コアは+3.1%で8月と同水準見込みです。昨年は8月から9月にかけてエネルギー価格の大きな下落(前年比-6.8%)が見られたことから、エネルギー価格の前年比が強く出るとみられ、総合を押し上げる見込み。ただ、その他は総じて8月並みとの見通しです。 物価の伸びが基本的に高まっていないことで、今月28日、29日のFOMCでの利下げを後押しする見込みです。市場は12月の利下げまで織り込んでいます。来年1月については見通しが分かれている状況。今回のCPIが予想通りもしくは予想よりも低い伸びになると、利下げ期待がやや強まる可能性があります。 なお、今回遅れながらも発表したCPIですが、10月分に関しては10月1日の政府機関閉鎖以降新たな価格データが収集できていないこと、今後再開した場合でも過去の時点にさかのぼっての価格の再調査が難しいことなどから、精度の低いデータになる可能性があります。この影響はかなり長く続く可能性があり、専門家は来年の春ぐらいまで影響が続き、精度が長期にわたって低下する可能性があると指摘しています。 MINKABUPRESS 山岡
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