●インデックスの動き ○11月は明るいニュースが続きましたが、取引は(月末まで)月の大半で明るい展開とはなりませんでした。11月に入るまでの大幅な上昇(2023年の24.23%上昇、2024年の23.31%上昇に続き、2025年も10月末までに16.30%上昇)が、この強気相場がいつまで続くのだろうかと懸念する投資家の重石となり、反落や調整への不安が市場に暗い影を落としました。「1つの大きくて美しい法案(OBBBA)」による現在および予想される刺激策を意識した買いが続く一方で、上昇銘柄の幅と範囲、そして年初来の市場の牽引役(マグニフィセント・セブン)の高いバリュエーションに対する懸念が、ここ数ヵ月になかった売りを呼び込み、そうした売りが買いを上回って、月の大半で市場を押し下げました。売り手はとにかく売りまくりましたが、月末には売りが尽き、買い手が勢力を取り戻しました。 11月の明るいニュースとして、企業の利益と売上高は引き続き好調で、市場を下支えしました。S&P500指数 の96%に相当する企業が2025年第3四半期決算を終え、営業利益と売上高はどちらも過去最高を更新しています。利益率も過去最高を更新する見通しです。関税交渉が継続され、15%の関税率が一般的となる中、株式への力強い資金流入が続いています。2026年1月30日で期限を迎えるつなぎ予算のおかげで、43日間に及んだ政府機関閉鎖は終わり、経済指標の発表が再開されました。3会合連続となる0.25%の利下げをめぐる議論は続いていますが、12月9~10日のFOMCで利下げが行われるという見方が優勢で、量的引き締め(QT)政策も2025年12月1日に終了します。全体として、2022年末から2025年10月末まで85.55%という高いリターンに対する警戒感と利益確定への魅力に好材料が打ち消されてしまいましたが、楽観論のおかげで影響は限定的で、S&P500指数はほぼ横ばい(0.13%上昇)で月末を迎えました。 ○11月にS&P500指数は0.13%上昇し(配当込みのトータルリターンはプラス0.25%)、7ヵ月連続の上昇を記録しました。10月は2.27%上昇(同プラス2.34%)、9月は3.53%上昇(同プラス3.65%)、8月は1.91%上昇(同プラス2.03%)でした。過去3ヵ月では6.02%上昇(同プラス6.34%)、年初来では16.45%上昇(同プラス17.81%)、2025年11月末までの過去1年間では13.54%上昇(同プラス15.00%)となりました。2024年通年では23.31%上昇(同プラス25.02%)、2023年は24.23%上昇(同プラス26.29%)、2022年は19.44%下落(同マイナス18.11%)でした。 ○マグニフィセント・セブン(エヌビディア、マイクロソフト 、アップル 、アルファベット 、アマゾン・ドット・コム 、メタ・プラットフォームズ、テスラ で構成され、S&P500指数の時価総額の35.0%を占める)のパフォーマンスは指数全体をアンダーパフォームしました。これら7銘柄を除くと、11月のS&P500指数のトータルリターン(プラス0.25%)はプラス1.04%になります。しかし、年初来パフォーマンスでは依然として強い影響があり、同指数の年初来トータルリターン(プラス17.81%)は、7銘柄を除くとプラス10.24%になり、年初来リターンの42%を7銘柄が占めています。 ○11月の市場は、値上がり銘柄数が増加して値下がり銘柄数を大幅上回りました。指数自体は小幅な上昇にとどまり(売りを吸収した形)、終値での最高値更新は一度もなく(最高値まであと0.61%)、月間で最高値を更新しないのは2025年5月以来となりました(終値での最高値更新は10月に8回、年初来で36回、2024年11月5日の米大統領選挙以降では46回)。11月は324銘柄が値上がりし、177銘柄が値下がりしました(10月は204銘柄が値上がりして298銘柄が値下がり、9月は248銘柄が値上がりして255銘柄が値下がり)。年初来でも値上がり銘柄が増加し、297銘柄が値上がりして203銘柄が値下がりしました(2024年は332銘柄が値上がりして169銘柄が値下がり)。 ○S&P500指数の時価総額は1000億ドル増加して(10月は1兆2900億ドル増加)、58兆4360億ドルとなり、年初来では8兆5310億ドルの増加となりました。2024年に時価総額は9兆7660億ドル増加、2023年は7兆9060億ドル増加、2022年は8兆2240億ドル減少しました。 ○11月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は1.35%となり、10月の1.00%や9月の0.69%から上昇しました(8月は0.77%、7月は0.63%、6月は0.83%、5月は1.09%、4月は3.21%、3月は1.71%、2月は1.09%、1月は0.91%)。年初来では1.22%となりました。2024年通年は0.91%、2023年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.41%)。 ○11月のS&P500指数の出来高は前月比3%減少(営業日数調整後)しました。10月は同4%増でした。11月は前年同月比では30%増加しました。2025年11月末までの12ヵ月間では前年同期比30%増加しました。2024年通年では前年比2%減、2023年は同1%減、2022年は同6%増でした。 ○11月は19営業日中で1%以上変動した日は6営業日(2営業日が上昇、4営業日が下落)、2%以上変動した日はありませんでした。10月は23営業日中で1%以上変動した日は4営業日でした(3営業日が上昇、1営業日が下落)。年初来では1%以上変動した日は228営業日中53営業日(26営業日が上昇、27営業日が下落)、2%以上変動した日が13営業日(6営業日が上昇、7営業日が下落)となりました。2024年通年では1%以上変動した日は50営業日(31営業日が上昇、19営業日が下落)、2%以上変動した日は7営業日(3営業日が上昇、4営業日が下落)でした。 ○11月は19営業日中12日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上変動した日は2日でした。10月は23営業日中6日で日中変動率が1%以上となり、日中変動率が2%以上となった日は1日(3.23%)だけでした。年初来では日中変動率が1%以上となったのは103日、2%以上となったのは25日、3%以上となったのは9日でした(2025年3月9日には日中変動率が7%を超えました)。2024年通年では、日中変動率が1%以上となったのは83日、2%以上となったのは11日でした。2023年は日中変動率が1%以上となったのは113日、2%以上となったのは13日でした。 ○過去の実績を見ると、11月は61.9%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.13%、下落した月の平均下落率は4.16%、全体の平均騰落率は1.01%の上昇となっています。2025年11月のS&P500指数は0.13%の上昇でした。 ○12月は上昇する確率が72.2%と、1年で最も高くなっています(9月が最低で平均1.08%の下落)。上昇した月の平均上昇率は2.99%、下落した月の平均下落率は3.16%、全体の平均騰落率は1.28%の上昇となっています。 ○ダウ平均は4万5716.42ドルで月を終えました。同指数は終値で4万8000ドルを初めて超えました。終値での最高値は11月に1回更新しましたが(年初来で16回、取引時間中の最高値は4万8431.57ドル、終値では4万8254.82ドル)、更新後は下落して10月の終値4万7562.87から0.32%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス0.48%)で11月を終えました。10月は終値での最高値を7回更新し、9月(1.87%上昇、配当込みのトータルリターンはプラス2.00%)の終値4万6397.89ドルからは2.51%上昇(配当込みのトータルリターンはプラス2.59%)しています。過去3ヵ月間では4.77%上昇(同プラス5.15%)、年初来では12.16%上昇(同プラス13.88%)、過去1年間では6.25%上昇(同プラス8.03%)しました。2024年通年では12.88%上昇(同プラス14.99%)、2023年は13.70%上昇(同プラス16.18%)、2022年は8.78%下落(同マイナス6.86%)でした。 ※「最高値更新ならずも楽観論が優勢に (3)」へ続く 株探ニュース
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