FOMC以降のドル安は一服 ドル円も緩やかに上昇=NY為替概況 きょうのNY為替市場、今週のFOMC以降のドル安は一服しており、ドル円も緩やかに上昇していた。一時156円台に上昇したものの、買戻しを強める動きまではなく、後半に155円台に伸び悩んだ。 市場では、来週の日銀決定会合での利上げ期待が急速に高まっているが、ロンドン時間に日銀が利上げで調整に入ったと伝わっていた。日銀が来週公表する12月短観で、米国の高関税政策の影響が限定的であることや、来年の春闘に向けた企業の賃上げ姿勢などを確認した上で最終的に判断するという。政府も容認する方向だと伝えている。 日本の第3四半期のGDPはマイナス成長となったが、落ち込みは一時的と見られ、日銀はインフレ基調を踏まえて、利上げを進めるとの見方が有力。 本日は主要な米経済指標の発表もなく材料難の中、来週のイベントに備えて様子見姿勢が強かった。来週は16日(火)に米雇用統計、18日(木)に消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。ともに11月分。10月分の米雇用統計についても一部公表する予定。 FRBは今週のFOMCで政策金利を3.50-3.75%へ引き下げ、来年の利下げ見通しは1回に据え置いた。ただ、市場ではあと2回の利下げを織り込んでいる。米国の中立金利は3.00%程度で見ている向きが多い中、残りの利下げ回数も限られているとも考えられる。ただし、米労働市場の冷え込みが想定以上で、インフレが落ち着いているようであれば、深掘りする可能性はあるといったところ。 なお、トランプ大統領がウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに答え、ウォーシュ元FRB理事かハセット米国家経済会議(NEC)委員長を次期FRB議長に起用する方向で検討中と発言した。この2人に絞られたようだ。一方、米CNBCはウォーシュ元理事が最有力とトランプ大統領が発言したと伝えていた。 ユーロドルは1.17ドル台でのレンジ取引が続いた。下押す動きまではなく、リバウンド相場の流れは堅持している状況。一方、ユーロ円は上昇相場を継続し、ユーロ発足以来の高値更新を続けている。 堅調なユーロだが、市場ではECBが来週の理事会でFRBとの政策格差を一段と鮮明にするのではとの見方を強め、ユーロ上昇に新たな弾みがつくとの期待が高まっているようだ。 預託信託清算公社(DTCC)のデータによると、今月最も活発に取引されているユーロドルのオプションは、権利行使価格1.18ドル水準で12月18-19日のECB理事会の前後に満期を迎えるオプションに集中しており、それらは理事会の結果が明らかになる頃には、ユーロドルが1.18ドルの水準を上回って取引されているとの見方を示唆している状況。 ポンドドルは緩やかな売りに押され、1.33ドル台半ばに値を落とした。200日線が1.3340ドル付近に来ているが、その水準に顔合わせしている。一方、ポンド円は続落し、一時207円台に下落。 本日は10月の月次GDPが発表になっていたが、予想外のマイナス成長となったことでポンドは圧迫された。来週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が予定されているが、本日のGDPで利下げの可能性が強まったとの指摘も出ている。 エコノミストは「10月のマイナス成長は、製造業生産高が僅かに増加したことを考慮すると、特に期待外れだった」と指摘。製造業生産高は9月にジャガー・ランドローバー社を襲ったサイバー攻撃の後に回復。経済が過去7カ月のうち、6月分しかプラス成長していないことは注目に値するとも語った。「製造業は23年半ば以降の水準を上回っていない。今回のGDPの弱さは、英中銀による来週の利下げへの確信を高めている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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