株価指数先物 【週間展望】―半導体・AI関連株への物色の変化を見極め

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、半導体・AI(人工知能)関連株への物色に変化がみられるなかで5万円の攻防が意識されやすいだろう。足もとでは25日移動平均線とボリンジャーバンド+1σとのレンジでの推移が続いており、オプション権利行使価格の5万円から5万1000円処での値動きが目立つ。25日線割れでの押し目待ち狙いの買い意欲が強い半面、5万1000円処の戻り待ちの売り圧力により、このレンジを突破できずにいる。

 先週は米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)が予想通り0.25%の利下げを決め、パウエルFRB議長の発言やFOMCメンバーによる政策金利見通しが好感される場面もみられた。

 しかし、米オラクルが10日に発表した2025年9~11月期決算は売上高や将来のクラウド契約数などが市場想定を下回った。また、26年5月期の設備投資を従来予想から積み増したことで、AIデータセンターを巡る巨額投資に対する懸念が高まった。さらに、ブロードコムが11日に発表した25年8~10月決算は予想を上回ったものの、AI半導体の受注が増える一方で売上高総利益率が悪化する見通しを示したことが嫌気された。

 オラクルとブロードコムの下げが主導する形で12日の米国市場で主要な株価指数は下落し、フィラデルフィア半導体(SOX)指数の下落率は5%を超えている。

 東京市場では、オラクルの時間外での下げを受け、同社とともに米国でAI向けデータセンターを構築する「スターゲート」計画を進めているソフトバンクグループ<9984>[東証P]が11日に7%超下落したほか、ブロードコムの時間外での下落がアドバンテスト<6857>や東京エレクトロン<8035>の重荷になるなど、半導体・AI関連株への物色に変化がみられてきた。

 指数インパクトの大きい値がさハイテク株の動向が不安視されるなかで、今週は17日に発表されるマイクロンテクノロジーの決算に投資家の関心が集まりやすいだろう。米国ではAIバブルに対する警戒感の強まりが頻繁に指摘されるようになっており、マイクロンテクノロジーの決算に対しても過剰な反応をみせてくる可能性には注意したい。

 また、今週は16日に11月の米雇用統計が発表される。10月の雇用統計の発表を取りやめ、非農業部門雇用者数を11月の統計と合わせる。政府機関閉鎖の影響などで、政府部門の雇用者数は大きく減る見通しである。ただ、これが来年の追加的な利下げを正当化させるとの見方につながりそうだ。

 国内では、日銀が18~19日に開く金融政策決定会合に関心が集まる。もっとも、植田和男総裁は最近の講演で追加利上げを示唆する発言を行っているほか、政府も容認の姿勢と伝えられており、サプライズはなく無難に通過すると考えられる。そのため、マイクロンテクノロジーの決算と半導体・AI関連株への影響を見極めることが重要となろう。

 日経225先物は12日に5万1170円まで買われ、+1σ(5万0980円)と節目の5万1000円を上回る場面もあった。しかし、同水準をキープできず、その後は+1σに上値を抑えられる形だった。5万0500円での底堅さは意識されていたが、12日の米株安の影響によりナイトセッションでは一時4万9740円と5万円の大台を割り込む場面もみられている。5万円をキープして終えたが、支持線として意識されている25日線(5万0140円)は割り込んでいる状況だ。

 12月のSQ値(5万0536.54円)を下回ったことでヘッジ対応のショートが入りやすいとみられ、週初は5万円水準での底堅さを見極めつつ、オプション権利行使価格の5万円から5万0500円のレンジが想定される。早い段階で25日線(5万0140円)を支持線に変えられないと、12月に入ってからのレンジを割り込むため、-1σ(4万9300円)とのレンジに移行する。11月25日につけた4万8080円が射程に入ってくる可能性も出てくるだろう。

 一方で、5万円処で底堅さがみられるようだと、SQ値突破から再び+1σを上回って+2σ(5万1800円)とのレンジに入るだろう。その帰趨は指数インパクトの大きい値がさハイテク株の動向次第であり、半導体・AI関連株への物色の行方にかかってくる。米国ではFOMC通過で市場参加者の多くはクリスマス休暇に入っているとみられる。12日の東証プライムの売買高は、メジャーSQにもかかわらず22億株台にとどまっていた。

 市場参加者が減少するなかで、スキャルピング中心のトレードに大きく振らされ、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の動きに一段と反応しやすくなると考えられる。ただ、スキャルピング中心であるためその後のカバーの動きも速いとみられ、まずは5万円固めを意識しての押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。

 12日の米VIX指数は15.74(11日は14.85)に上昇した。週間(5日は15.41)でも上昇している。一時は17.85まで上昇し、抵抗線となる75日線(17.59)を上回る場面もあった。その後は同線が抵抗線として機能している。FOMCを無難に通過したことで、リスク選好の状況は継続していた。

 先週末のNT倍率は先物中心限月で14.83倍(11日は14.86倍)に低下した。週間(5日は15.08倍)でも下落している。下向きで推移する25日線(14.97倍)に上値を抑えられる形で低下し、12日には-1σ(14.80倍)を捉えてきた。いったんはNTショートを巻き戻すリバランスが意識されやすいが、同バンドを割り込んでくるようだと75日線(14.70倍)が射程に入る。

 12月第1週(12月1日-5日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週連続の買い越しであり、買い越し額は2043億円(11月第4週は1532億円の買い越し)だった。なお、現物は34億円の買い越し(同1162億円の売り越し)と3週ぶりの買い越し。先物は2009億円の買い越し(同2694億円の買い越し)と3週連続の買い越しだった。個人は現物と先物の合算で2406億円の買い越しと2週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で8187億円の売り越しとなり、2週ぶりの売り越しだった。

 主要スケジュールでは、15日に日銀短観、中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、米国12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に米国11月雇用統計、米国10月小売売上高、17日に10月機械受注、11月貿易収支、18日にイングランド銀行(BOE)政策金利、ECB(欧州中央銀行)政策金利、ラガルドECB総裁記者会見、米国11月消費者物価指数、19日に日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田和男日銀総裁記者会見、11月全国消費者物価指数、米国11月個人所得、米国11月個人消費支出などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06
07月限 日経225 40004.61  TOPIX  2830.46
08月限 日経225 41368.58  TOPIX  3004.82
09月限 日経225 45016.28  TOPIX  3175.61
10月限 日経225 48779.14  TOPIX  3241.66
11月限 日経225 50323.66  TOPIX  3339.97
12月限 日経225 50536.54  TOPIX  3393.48

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
26/03 12月12日  50300  51170  50170  50760  +560
25/12 12月11日  50600  50920  49920  50130  -470
25/12 12月10日  50890  51120  50330  50600  -250
25/12 12月09日  50590  50850  50170  50850  +260
25/12 12月08日  50480  50840  50210  50590  +110

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
26/03 12月12日  3369.0  3433.0  3363.0  3420.5  +53.0
25/12 12月11日  3388.0  3411.5  3351.5  3372.5  -17.5
25/12 12月10日  3396.5  3410.5  3376.5  3390.0  -4.0
25/12 12月09日  3384.5  3398.5  3365.0  3394.0  +9.5
25/12 12月08日  3359.0  3387.5  3355.5  3384.5  +26.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
12月12日(03月限) 50010 -750
12月11日(03月限) 50930 +730
12月10日(12月限) 50860 +260
12月09日(12月限) 50850 ±0
12月08日(12月限) 50320 -270
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い      前週末比
12月05日     30億円  +0.7億円  2兆3541億円  -501億円
11月28日     29億円  +0.9億円  2兆4042億円  +968億円
11月21日     28億円  -482億円  2兆3074億円  +2762億円
11月14日    511億円  -200億円  2兆0311億円  +1647億円
11月07日    712億円  +691億円  1兆8664億円  -2818億円
10月24日     12億円  -499億円  2兆4549億円  +2932億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
12月10日    1785万株   -646万株  9億8808万株   -1162万株
12月09日    2432万株   +2161万株  9億9971万株   +667万株
12月08日    270万株   +152万株  9億9303万株   +2124万株
12月05日    117万株    -77万株  9億7179万株   -3137万株
12月04日    195万株    +78万株  10億0316万株   +3557万株
12月03日    117万株    ±0万株  9億6759万株   -674万株
12月02日    117万株   +0.3万株  9億7433万株   +291万株
12月01日    117万株    ±0万株  9億7142万株   -1093万株
11月28日    117万株    ±0万株  9億8235万株   -3845万株
11月27日    117万株   +0.1万株  10億2080万株   +293万株
11月26日    117万株    ±0万株  10億1787万株   +5592万株
11月25日    117万株    ±0万株  9億6194万株   -207万株
11月21日    117万株   -2289万株  9億6402万株   +1億7691万株
11月20日    2406万株   +375万株  7億8711万株   +924万株
11月19日    2030万株   +1815万株  7億7786万株   +1417万株
11月18日    214万株   -878万株  7億6369万株   -4204万株
11月17日    1093万株    -65万株  8億0574万株   -1825万株



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