<金> NY金期近2月限は12月12日以降4300ドル台での高下が続き、複数回にわた り4380ドル台に達しながらも高値から値を落とす動きが続いている。底堅さを見せ ると同時に上昇に対する警戒感も窺わせている。 米労働省発表の雇用統計は11月の非農業部門雇用者は事前予想の5万人を上回る6 万4000人増となる一方、失業率が4.6%に上昇した。また、平均時給の伸びも鈍 化しており、雇用情勢が強気とは言い難い状況が示されている。 また、16日に発表された10月小売売上高も事前予想の0.1%の伸びを下回って 前月から横ばいとなったうえ高額商品の消費意欲の減退が示されている。 これに加え、11月の小売売上高は政府閉鎖を受けた集計遅れが影響し、現状では発 表が未定となっていることも、米国の消費者の最新の動向把握に遅れが生じるとの不安 を高める一因にもなっている。 冴えない雇用統計の発表や底堅さを見せながらも高額商品の購入意欲の減退が示され たことは、米国内総生産(GDP)の70%程度を占める個人消費停滞の可能性を示唆 するものとなる。また、11月米消費者物価指数(CPI)は事前予想を下回ったが、 米政府機関閉鎖の影響によるデータの歪みが懸念されている。 弱気な雇用や消費、政府閉鎖の影響が米経済指標に及んでいる可能性などが米経済不 安を高め、これを受けて金に対する安全資産を求める動きが続くと見られる。 一方ではハイテク関連株の上昇が続いていることで次年度の設備投資や増加する電力 需要に対応するための太陽光発電システムへの投資拡大観測、そして世界的な供給不足 懸念の高まりを受けて銀が高騰しているが、NY金もこれに連動する動きが見られてい るうえ、これまでの高騰で高まる反動安に対する懸念から金に対する逃避買い需要も根 強い。 これに米国によるベネズエラ封鎖という地政学不安が加わったことでNY金はより底 堅さを増したと見られる。 クリスマス休暇を迎えることで利益確定の動きが膨らむ可能性はあるが、安全資産と しての需要の底堅さに支えられてNY金2月限は4300ドル台を維持する高もみが想 定される。 <銀> NY銀3月限は12月11日に一段高となりながらもその後は6500セントを上値 抵抗線とする動きが続いた。17日に6500セントを突破して6718セントに達 し、一代高値を更新した。続く18日は反落に転じながらも終値ベースで6500セン ト台を維持している。 ハイテク関連株の底堅さが続くなか、高まる電力需要に対応するための太陽光発電の パネル用などの需要の増加が見込まれると同時に、世界的な供給不足が見込まれている ことが価格高騰の背景となっている。 ハイテク関連株への投資過熱が警戒されるうえ、クリスマス休暇を控えているためこ れまでの高騰後の利益確定の動きが広がる可能性はあるが、強気な需給見通しが下支え になると見られる。目先は5日間移動平均が通る6420セントを下値支持線にしての 高値圏の高下となるか。 <白金> NY白金1月限は一代の高値を更新する動きが続き18日に1995.6ドルを付 け、帳入値でも1950ドル台を付けている。 12月10日までは1700ドルを上値抵抗線として高下していたが、11日以降に 急伸に転じ、約295ドルの上げ幅を記録している。その背景は、NY金が高止まりと なったことに加え、NY銀が高値を更新しながらもNY白金の上値が抑制されていたこ とによる上昇と見られる。 また、ハイテク関連株の好調な決算やこれを受けた次年度の設備投資拡大の可能性も 需要増観測を強める一因となっている。 クリスマス休暇を控えているため利益確定の動きや急伸後の反動から値を落とす可能 性はあるが、旺盛な需要見通しに支えられて1900ドル前後を維持する動きが見込ま れる。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は11日まで1500ドル台前半で高下していたが、その後は 急伸に転じて18日には1792ドルと一代の高値に達している。 白金の急伸に連動したうえ、これまで上値を抑制していた売り方の踏み上げによる 動きが見られた可能性もある。 工業用需要の増加観測から白金の高止まりが見込まれるため、これに追随しての高値 圏での高下となりそうだ。 MINKABU PRESS
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