<金> NY金2月限は23日に急伸して4530.8ドルに到達。続く24日に4555. 1ドルに達し、指標限月として史上最高値を更新した。 今月19日までNY金2月限は4400ドル手前まで値を伸ばしながらも伸び悩んで いたが、地政学不安の高まりや、貴金属相場全体の上昇を受けて一気に値位置を切り上 げている。 9月2日に麻薬を積んでカリブ海を航行していたベネズエラの高速艇を攻撃したと米 国が発表して以降、米国はベネズエラの船舶に対し20回以上の攻撃を行ったうえ、 資金源を断つとしてベネズエラ沖でタンカーを拿捕し、制裁対象となる石油タンカーの ベネズエラへの出入りの全面封鎖も表明している。 この米政府による措置は、米国への麻薬流入の阻止に加え、世界最大の埋蔵量を誇る ベネズエラの石油資源狙いとの見方も浮上している。ベネズエラに対する米国の攻撃が いつ終結するのか、見通しに不透明感が強いことが安全資産を求める動きを刺激してい る。 一方の米国内は、雇用情勢に底堅さを感じさせる指標の発表が見られているが軟化傾 向が危惧される状況が続いている。特に賃金の伸び悩みや、より良い条件を求めたうえ での転職の動きが限られているなか、関税引き上げ分の価格転嫁による物価の上昇に対 する警戒感が根強い。 実際、12月消費者信頼感指数は雇用と所得に対する不安感の高まりを受けて前回を 上回る水準まで低下しており、米経済不安が深まっている。 米小売売上高は需要の底堅さを示しているものの、富裕層と中低所得者層との間で消 費行動が二分化している可能性がある。 米国内外の不安要因を受けて投資用としての金需要は高まりを見せ、SPDRの金 ETF残高は22年6月以来の高水準まで膨らんでいる。 米ドル離れの動きが進むなか、公的機関による金需要が根強く見られるうえ、AI関 連企業の好調な業績や今後の電力需要に対応するための設備投資拡大観測を受け、銀が 高騰していることもNY金市場にとっての買い支援要因になっている。 指標限月としての史上最高値に達しているため上昇に対する警戒感が強まる可能性は あるが、根強い安全資産を求める動きに支えられると予想。目先は4470〜4500 ドル水準で堅調に推移を予想。修正安があった場合、4400ドル水準が支持線となる とみる。 <銀> NY銀3月限は高値の更新が続いている。今月17日に6718セントまで浮上した 後は伸び悩んでいたが、22日に6952.5セントまで浮上したことをきっかけに、 その後も上値探りの動きが続き24日には7275セントの史上最高値に達した。 米株式市場でハイテク関連株に買い戻す動きが見られていることや、ハイテク関連株 の好調な業績を受けて今後の設備投資の拡大やこれを受けた産業用・工業用としての銀 需要の増加観測が価格を押し上げる要因となると同時に、売り方の踏み上げが見られて いることも上伸の一因になっている。 既に7000セント台に達したことで買い戻しを含めた買いが一巡する可能性もあ り、利益確定の動きが見られれば、大きく値位置を落とすリスクもあるものの、需要増 に伴う供給不足観測という需給を伴う上伸だけに下値は堅いと予想。 高止まりが予想されるなか、反落に転じたとしても目先は短期線の5日間移動平均が 通る6882セント前後が目先の下値支持線になってきそうだ。 <白金> NY白金4月限は今月11日までは1750ドルを上値抵抗線としたもちあいとなっ ていたが、これを12日に突破して以降は上値指向を強め、24日には2425ドルの 一代の高値に達している。 高値では転売が見られているが、銀と同様に産業用・工業用としての需要の高まりが 強気材料となっているうえ、売り方の踏み上げが見られたことも2400ドルを超える 水準まで価格を押し上げる要因となった。 2026年の世界白金需給についてワールド・プラチナム・インベストメント・カウ ンシル(WPIC)は僅かながら供給過剰になるとの見通しを示しているが、地上在庫 は減少傾向にあり長期的には需給引き締まりが見込まれる。 今月11日から24日までの限られた期間で約675ドルの上げ幅を記録した。一代 の高値に達したことで買い一巡感が強まっているため、今後の上げ余地は限られそうだ が、根強い需給引き締まり観測に支えられ2000ドル台を維持しての高もみになると 見られる。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は今月11日まで1550ドルを上値抵抗線として意識する 動きとなっていたが、これを突破して以降は上値探りとなり24日には2058.5 ドルに達して一代の高値を更新した。 白金の急伸に連動しての大幅高で、他貴金属に比べて上値を抑制されていた反動も 急伸の一因になったと見られる。 他貴金属の高止まりが見込まれるため、これに追随しての底意の強い動きが見込まれ る。 MINKABU PRESS
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