金は内外で史上最高値、地政学的リスクや米FRB独立性問題で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 金の現物相場は、米軍がベネズエラを急襲し、マドゥロ大統領を拘束したことや、ト
ランプ米大統領がイランの反政府デモで参加者を殺害すれば軍事介入を示唆したこと、
グリーンランド買収に反対する欧州8カ国に関税を課すとし、地政学的リスクが高まっ
たことを受けて史上最高値4885ドルを付けた。またパウエル米連邦準備理事会(F
RB)議長がFRB本部改修で刑事捜査の対象になる可能性から、FRBの独立性に対
する懸念が出たことも支援要因になった。JPX金先限も上場来高値25684円を付
けた。
 トランプ米大統領は、西半球を支配する「ドンロー主義」を掲げ、ベネズエラでの軍
事行動を説明した。麻薬組織壊滅や石油利権獲得も目的であり、ロドリゲス副大統領が
暫定大統領に就任すると、米国が石油資源を管理することで協調した。また米大統領は
野党党首マチャド氏と会談しており、ベネズエラは民主化に向かうとみられている。一
方、イランでは昨年末の通貨暴落を受けて反政府デモが起こった。元皇太子や米大統領
がデモ拡大を促すと、イラン政府の弾圧が強まり、デモ参加者の処刑が予定された。米
大統領が殺害すれば軍事介入するとしたことで処刑は中止された。ただ遮断されたSN
Sが再開されればイラン情勢は再び悪化するとみられ、米国の軍事介入の可能性が残っ
ている。また米大統領はグリーンランドについて、北大西洋条約機構(NATO)にロ
シアの脅威を排除するように求めたが、デンマークは何もできていないとし、購入でき
るようになるまで欧州8カ国に10%の追加関税を課すとした。軍事攻撃の可能性も示
唆しており、NATOや欧州との協議の行方を確認したい。関税に関しては、米最高裁
は米政権が根拠としている1977年の国際緊急経済権限法について近く判断を下す見
通しだが、グリア米通商代表部(USTR)代表は無効とされた場合、新たな関税を施
行するとしている。
【米FRBの独立性に対する懸念と次期FRB議長発表】
 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が5月に退任することを受け、次期FRB
議長が近く発表される見通しである。ただ同議長が刑事捜査の対象になる可能性が出た
ことで、FRB人事を承認しないとする議員も出ている。またパウエル氏は米大統領の
利下げ要求を指摘し、FRBの独立性に対する攻撃だとした。議長退任後は理事として
残る可能性が出ている。米大統領はパウエル氏を解任する計画はないとしているが、今
後のFRBに影響が出るようなら攻撃が続くとみられる。一方、次期FRB議長につい
て、ハセット国家経済会議(NEC)委員長に現職にとどまってほしいと述べ、ハセッ
ト氏が候補から除外されるとみられている。
【金ETFに逃避買いが入る】
 世界最大の金ETF(上場投信)であるSPDRゴールドの現物保有高は、1月16
日に1085.67トン(12月末1070.56トン)となった。地政学的リスクの
高まりや米連邦準備理事会(FRB)の独立性に対する懸念などを受けて投資資金が流
入した。ブルームバーグ商品指数の年次リバランスで金のウェイトは引き下げられた
が、投資家の買い意欲が強い。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報
告によると、ニューヨーク金先物市場でファンド筋の買い越しは1月13日時点で25
万1238枚(前週22万7632枚)となり、昨年9月30日以来の高水準となっ
た。ファンド筋の買いが続くと、引き続き上値を試すとみられる。
(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)
*21日、Yahoo!ファイナンスに掲載された記事を再配信します。


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