【金は米国・ドル離れの動きや地政学不安から5000ドル台を維持か】 NY金2月限は4600ドル台に到達した後のもみ合いを経て20日以降は連日、史 上最高値を更新し28日に5386.5ドルに達した。20日は4633.7ドルで寄 り付いているが、28日の終値5372ドルで、7営業日の上げ幅は738ドル超に達 する。また、前年比で見ると、25年1月下旬のNY金中心限月は2800ドル前後で 高下していたため、この1年で2570ドル程度の上げ幅を記録したことになる。 5000ドルを超えてなお、NY金が強い足取りを保っているのは、米国が震源地と なって世界的に深まる地政学不安、米トランプ政権の不確実性や米連邦準備理事会(F RB)の独立性問題、これらが米ドル離れの動きを誘発するなか、安全資産を求める動 きが高まっていることが背景となっている。 従来は有事の場合には金と同様に米国債、米ドルが安全資産として見なされてきた。 しかしながら、今年に入って早々に米トランプ政権は昨年12月5日に発表した国家安 全保障戦略(NSS)の戦略に基づいてベネズエラを武力攻撃し、マドゥロ大統領を拘 束した。 米国は昨年9月よりベネズエラの船舶に攻撃を加え、その回数は20回以上に達して いたものの、他国の首都を攻撃して大統領を拘束するという直接的な手段を講じたこと は予想外の出来事であると同時に、自国の利益をどん欲に追及する姿勢も強く印象付け ている。 さらに、トランプ米政権がベネズエラに続いてグリーンランドの領有を主張したこと は、西半球を重視する姿勢を見せるNSSを手掛かりにして米国が領土拡大を進めてい る姿を示すと同時に、今後も米国が同様の動きを見せる可能性を意識させる要因となっ ている。 米国によるグリーンランド領有の主張は、米トランプ政権はこれまで築き上げてきた 欧米間の協力体制、そしてこの協力体制のもとで保ってきた世界秩序よりも自国の利益 を優先する姿勢を示している。また、この利益優先の姿勢は米トランプ政権の不確実性 と同時に、米政権に対する不信感をも強めている。 なお、米国に対する不安感は米国を震源地とした地政学問題にとどまらない。米国内 ではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が刑事告訴されたことが明らかになった うえ、これまでにもトランプ大統領からパウエル議長に対し利下げを求める声が挙がる など、FRBの独立性を揺るがしかねない状況が見られている。 これまでであれば、地政学不安そのものは安全資産を求める動きを高める要因となる が、今回の地政学不安は米国が震源となっているため、米国及びドル離れの動きを加速 化させると同時に、ドルや米国債に向けられていた逃避買い需要が金市場に一気に流れ 込む原因となっている。 逃避買い需要の流入を受けてSPDRの金ETF残高は、22年5月以来の1080 トン台を維持しているうえ、徐々に残高を拡大する動きも見せている。 米国の経済指標には強気な内容が目立つため、1月27〜28日にかけて開催される 公開市場委員会(FOMC)での追加利下げは見送られる可能性が高いことはNY金市 場における弱材料になり得る。ただ、世界的な地政学不安、米国離れの動き、そして米 国内の問題などが安全資産としての需要を刺激すると同時に、米国および米ドル離れの 動きは引き続きNY金を支える要因になってくると見られる。 既に5000ドル台に達しているため、目先は利益確定の動きが活発化してもおかし くはないが、金を取り巻く環境が強気が意識される状況だけに大幅な修正安は見込みに くい。既に指標限月は期近4月限となり、限月移行はスムーズに進んだ。 連日史上最高値を更新する青天井状態のなか、再び高値を目指す可能性を含めたうえ での5000ドル台を維持し、高値圏でもみあいが想定される。 MINKABU PRESS
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