コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は米雇用情勢の懸念と地政学不安で5000ドル前後を維持か】
 NY金4月限は乱高下の末、18日は終値で5000ドル台を回復。12日に軟化し
た後は5000ドルを割り込み、17、18日に4850ドル台をつけるまで下落した
が、押し目買い意欲が強く、5000ドル台まで反騰。19日は3ケタ高を記録し、金
に対する投資意欲が感じられる動きとなった。
 米国内外での不安が金の逃避買い需要を刺激している。米国は依然として米雇用不安
が根強い。雇用不安が消費意欲にも影響を与えている動きを経済指標から見受けられる
ことが金買いの一因となっている。
 足元の米国の雇用情勢は、25年12月の求人件数が2020年9月以来、5年ぶり
の低水準となる654万2000件に落ち込んだ。一方、1月の非農業部門雇用者数の
前月からの増加数が事前予想の6.5万人を大幅に上回る13万人増となり、労働市場
の堅調さを示唆した。同月の米失業率も事前予想の4.4%を下回る4.3%となった
ことも米雇用情勢に対する懸念を和らげる一因となっている。
 米雇用情勢が完全に強気だとは言い難い側面がある。今回の雇用者数の増加は景気変
動の影響を受けにくい医療・教育部門が13万7000人増となり、全体を牽引するな
ど偏った部門での増加が大きく影響しているからだ。
 また、今回の雇用統計では2025年の月平均での新規雇用者の増加幅は前回の4万
9000人増から1万5000人増へと大幅に引き下げられている。それだけに、年初
となる1月に記録した堅調な伸びを2026年を通して維持できるか不透明感も強い。
 特に人口知能(AI)への代替が進むと予想されることは、米雇用情勢おいて注目さ
れる点となる。人工知能(AI)による事業代替が進むとの予想を受け、米株式市場で
はAIによる既存の事業の代替進行が懸念されてソフトウェア株に加え、自動化の影響
を受け易いと見られるデータ分析、法務サービスなど幅広い分野で売りが目立つ展開と
なっているからだ。
 なお、米調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが1月の米企業、政
府機関による人員削減数は前年同月比で2.1倍に達したうえ、2009年1月以来1
7年ぶりの高水準となる10万8435人と発表している。
 米雇用情勢の不透明な見通しに加え、昨年12月の米小売売上高が前月比で横ばいと
なり、事前予想の0.4%増を下回った。12月は米国にとってクリスマス商戦を迎え
消費意欲の高まりが期待される時期に消費が予想を下回ったことは警戒される。

 クリスマスを迎えながらも小売売り上げ高が伸び悩んだことは、消費者が消費に対し
て慎重な姿勢を見せていることを意味する。米雇用情勢の今後に対する不安感やトラン
プ関税によるインフレ更新が影響していると見られる。今後も引き続き小売売上高が低
迷するようであれば、個人消費が約7割を占める米国内総生産(GDP)の重石になっ
てくる可能性も想定される。
 対外的にはイランと米国がで核開発協議の基本原則で合意と伝えられるなど、地政学
不安が後退していることが重石になった直後には米国によるイラン攻撃が近いとの見方
が浮上するなど、米トランプ政権の不確実性は依然として高い。
 米国内においても、米利下げ観測が後退したとはいえ、米雇用情勢に対する不安感を
払しょくするには至ったとは見られない。依然として米国内外での不安や不確実性が警
戒されるなか、NY金4月限は今月11日に記録した高値5144.5ドルが目先の上
値目標だ。25日移動平均線(4938ドル)を支持線にして、4950〜5050ド
ルでの高下が予想される。
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