【来週の注目材料】強まる9月の米利下げ期待の中、大きなハードルとなるか?<米消費者物価指数>

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 米中関係が悪化する中で、来月17日、18日のFOMCで二会合連続となる利下げの期待が強まっています。
前回7月30日、31日のFOMCで2008年12月以来、約10年半ぶりの利下げに踏み切ったFRB。雇用、GDPなどが比較的堅調な動きを見せる中、通商問題などを受けた将来の不確実性が、景気の鈍化を招くことを防ぐ予防的措置としての利下げを強調し、利下げサイクルの始まりではないとも表現していました。一方で、利下げが一回とは言っていないと、追加利下げに含みを持たせる表現になっていました。
市場では直前の見通しで一気に0.5%下げるのではとの思惑が2割ほど残るなど、利下げへの期待感が強かっただけに、0.25%に留めたことに加えて、声明での姿勢を受けて、ドル高が進むなど、ドル金利の先安観が一服する動きが見られました。
しかし、その後トランプ大統領が対中関税第4弾の9月1日からの賦課を発表。さらに中国に対して為替操作国認定を行うなどの対応を取り、米中関係が深刻化する事態に。
 前回のFOMCでの利下げに要因となった不透明感が明らかに拡大する事態となって、9月の追加利下げ期待が強まる展開に。それどころか、今度こそ0.50%の利下げを行うのではとの期待まで広がってくる状況となっています。
トランプ大統領を初め、トランプ政権幹部によるFRBへの批判も続いており、FRBの受ける利下げへの圧力もかなりのものとなっている様子です。

一方、利下げへのハードルとなるのが先月は比較的堅調な状況を維持した米経済指標動向。2日に発表された7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が7月の結果自体はほぼ予想通りも、6月分が下方修正されやや弱め。失業率は良くなる予想に反して前回と同水準も、労働参加率上昇で相殺(労働参加率が上昇すると一般的に失業率も上昇します)。平均時給は前回並みの予想に対して前月比、前年比とも小幅ながら改善という結果。
 総じてまずまずという結果という印象。米中関係の状況を覆しての利下げ阻止にはやや弱いかなという感想です

 そうした中、今週は重要な指標が二つ予定されています。


 今回はそのうちの一つ目、13日に発表される7月の米消費者物価指数(CPI)についてみていきます。

 前回6月のCPIは全体の数字こそ予想通り5月から鈍化しましたが、食品・エネルギーを除くコア前年比が予想に反して0.1%ポイント上昇する好結果に。全体の鈍化は6月に大きく値を落としたエネルギー価格の影響が大きいことからあまり気にされず、コアの強い数字が好印象を与えました。前月比でもコアは予想を超える+0.3%の伸びに。この上昇率は昨年1月以来の高水準となっています。

 内訳をみますと、居住費、中古車、被服費、家具などが幅広い分野が伸びており、物価の堅調さが印象的です。

 パウエル議長は先月10日の半期議会証言で物価の低迷が予想以上に長引くリスクについて言及していましたが、そうした悲観的な見方に反する好結果といえます。

 今回の予想はコア前年比が+2.1%と前回と同水準。同前月比が+0.2%と前回から+0.1%ポイントの鈍化見込みです。

 米国のインフレターゲットの対象であるPCEデフレータの6月分は、CPIのようには伸びず、総合が前年比+1.4%、コアが+1.6%と予想及び前回の速報値を下回る数字に(前回値はともに下方修正されて6月分と同水準になりました)。
CPIを受けての物価の堅調さへの期待感がやや後退しました。

 今回のCPIが予想を超えて上昇を見せると、PCEの上昇への期待が強まり、大幅利下げ期待などを抑える形でドル買いにつながる可能性があります。

minkabuPRESS編集部山岡和雅

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