利下げ先延ばし観測や米ドル需要が依然として重石も金は底堅い動きにシフトか 金ドル建て現物は今月17日まで5000ドルを下値支持線として意識する動きを見 せていたが、18日以降は急落に転じて23日には4103.04ドルと昨年11月2 4日以来の低水準まで値を落とした。この水準では買い戻されて反発に転じているが、 25日の取引でも4600ドル台を記録すると売り直されており、上昇に対する抵抗の 強さも窺わせる動きが続いている。 この大幅な下落は年初早々に行われた米国によるベネズエラの首都攻撃とマドゥーロ 大統領の拘束、トランプ米政権によるグリーンランド領有主張と欧米間の関係悪化懸 念、米政府の不確実性に対する警戒感、そして2月末の米トランプ政権によるイラン攻 撃という一連の流れを織り込んだことが背景と見られる。 今年に入ってから金ドル建て現物は上記の要因発生を受けて1月29日には559 1.73ドルまで浮上した。その後も5000ドル前後〜5400ドル前後での高下が 続いていたが、これは従来ならば米ドル・米債券・金に分散される安全資産を求める動 きが、トランプ米政権の不確実性がイヤ気されたことで金に集中した結果、もたらされ た動きだった。 それがイラン情勢の悪化を受けて米ドルを求める動きが膨らむと同時に、原油高によ るインフレ高進が警戒されるなかで米国の利下げ回数はこれまで予想されていたよりも 少ない回数にとどまる可能性が浮上していることが金離れの動きを促したと見られる。 SPDRの金ETF残高は1月29日時点の1089トンに対し3月25日時点では 1052.42トンまで縮小しており、投資用としての金需要が後退した様子を示して いる。 ただ、その一方で金を求める動きが完全に後退したわけではないとも見られる。とい うのも、NY金先物市場の取組高は2月上旬以降、大幅な減少が見られていないから だ。NY金の取組高はNY金が一代の高値を更新した1月29日時点では47万枚だっ たが、その直後の2月3日時点では40万枚台まで縮小。その後、3月24日に至るま で40万枚での推移となっている。 また、ファンド筋を含む大口投機家の買い越し数は3月17日時点で15万9869 枚となっているが、このファンド筋を含む大口投機家の買い越し数も2月上旬以降、1 6万枚前後で推移している。 米国では25年末から26年2月にかけて雇用者数が減少傾向を見せているうえ、失 業率は26年2月には4.4%に上昇するなど、雇用情勢は軟化傾向を維持している。 また、トランプ米政権による関税政策の方向性に不透明感が強いなか、1月の求人件数 は増加しながらも採用率は低水準にとどまるなど、企業の雇用の動きは滞っている様子 も見られている。 加えて米国内総生産(GDP)のうち70%程度を占める個人消費も26年通年では 前年比+4.4%が見込まれているものの、所得者層によって消費の動向が異なるK字 型の消費傾向が進むなど、安定して底堅いとは言えない状況となっている。 米国がイランに和平案を提示した、と伝えられていることでイラン情勢の沈静化が期 待され、これが金を買い戻す動きを刺激する可能性はあるものの、原油価格が引き続き 高止まるようであれば米利下げ先延ばし観測が強まり、NY金は上値を抑制される動き が続くと見られる。ただ、これまでの暴落で弱気材料を消化した感が強いうえ、安全資 産を求める動きを刺激し得る要因が依然として見受けられるだけに、金ドル建て現物は 底堅く推移することになりそうだ。 MINKABU PRESS
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