【来週の注目材料】前回はかなりサプライズな弱さ、さて今回は=米雇用統計 4月3日金曜日に3月の米雇用統計が発表されます。2月の雇用統計がかなりサプライズな弱さを見せた後だけに、注目を集めています。 まずは前回の確認です。2月の雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が前月比-9.2万人と、市場予想の+5.0万人、1月の+12.6万人(速報時の+13.0万人から下方修正)を大きく下回る結果となりました。失業率は4.4%と1月の4.3%から悪化しました。市場予想は4.3%での横ばいでした。 NFPは予想からある程度の乖離が生じるケースが見られますが、それにしても弱いという印象です。一部医療従事者のストライキ、悪天候などの要因もありましたが、それらを差し引いても弱い数字で、これまで米景気への警戒感がありつつも、雇用は底堅いという印象が崩れる結果となりました。 NFPの内訳をみると、金融業の+1.0万人などを除いて、幅広く弱い結果となりました。財部門は-2.5万人でした。1月分が+0.5万人と14か月ぶりにプラス圏に浮上した製造業が-1.2万人と再びマイナス圏に沈んだほか、悪天候もあって建設業が1月の+4.8万人から-1.1万人に悪化しました。サービス部門は-6.1万人と1月の+9.5万人から一気に悪化しました。いつも全体を支える教育・医療部門が-3.4万人と、1月の+12.9万人から大きく悪化したことが響いたとみられます。同部門はストライキで3.7万人分の下押しがあったとみられること、1月の数字が強すぎたことで反動が出たことなどが要因です。また、好調時に雇用を支えることが多い娯楽・接客部門も-2.7万人となりました。単体で1233万人を抱える飲食部門が-2.97万人と冴えなかったことが背景にあります。このところ弱い結果が目立つ情報や運輸・倉庫なども弱さが継続しています。 通常の失業率に加え、「現在は仕事を探していないが、過去12か月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているものの、非自発的にパートタイムを選択している者」を合わせた広義の失業率であるU6失業率が7.9%と3か月連続で改善するなど、強さを見せた部分もありますが、全体でみると弱いという印象です。 関連指標を確認してみましょう。週間ベースの新規失業保険申請件数は、雇用統計の基準日である12日を含んだ週の比較で、2月が20.8万件、3月が20.5万件とほぼ同水準です。 30日からの週の指標では、31日に3月のコンファレンスボード消費者信頼感指数、2月の雇用動態調査(JOLTS)、1日に3月のADP雇用者数、2月の小売売上高、3月のISM製造業景気指数が発表されます。 コンファレンスボード消費者信頼感指数は、前回が予想の87.1を上回る91.2とまずまずの好結果になりました。今回は88.0への悪化が予想されています。イラン紛争の影響で予想以上に大きく悪化していた場合は要注意です。JOLTS求人件数は、前回694.6万件と予想の675万件を上回る好結果となりました。レイオフ率の低下なども好材料でしたが、離職率が低水準で横ばいとなっており、雇用者が新たな職を見つけることが困難であると感じているという印象を与えました。今回の求人件数の予想は687万件と、前回から大きな乖離のない水準が見込まれています。 ADP雇用者数の予想は+4万人と、前回の+6.3万人から小幅に鈍化する見込みです。小売売上高の予想は前月比+0.5%、自動車を除くコア前月比+0.3%と、1月の-0.2%、0.0%から改善する見込みです。2月の雇用統計の厳しい結果の中でも、個人消費が予想通り堅調な数字を示すと、市場に安心感が出そうです。ISM製造業景気指数は、前回52.4と1月の52.6から小幅に鈍化しましたが、市場予想の51.5を上回りました。雇用部門は48.8と好悪判断の境となる50を下回ったものの、1月の48.1からは改善しています。今回は52.3と、ほぼ同水準が見込まれています。雇用部門の数字にも要注意です。なお、ISM製造業景気指数の算出には直接関係ありません(注)が、調査項目のうち目立っていたのが仕入れ価格の上昇です。1月の59.0から一気に11.5ポイント上昇して70.5となり、2022年以来の高水準を記録しました。イラン紛争で物価高が警戒されていますが、その前の段階である2月時点での仕入れ価格が上昇していた形です。今回は73.8へさらなる上昇が見込まれています。予想を超えてさらに上昇しているようであれば注意が必要です。 (注) ISM製造業景気指数は企業の購買担当者に対するアンケート調査を基にした指数です。質問項目は10項目(新規受注、生産、雇用、納入遅延、在庫、顧客在庫、仕入れ価格、受注残、新規輸出受注、輸入)ですが、景気指数はそのうち新規受注、生産、雇用、納入遅延、在庫の5項目から試算されます。 こうした状況を受けて今回の市場予想ですが、非農業部門雇用者数が+5.7万人と一気の回復を見込む内容となっています。失業率は4.4%で横ばいの見込みです。前回はストライキや悪天候、1月の強い数字の反動などの特殊要因と考えられつつも、警戒感を与える数字でしたが、今回予想前後まで回復を見せると、その警戒感も一服しそうです。イラン紛争を受けた物価高が警戒される中、利上げに向けた期待が強まる可能性がある点に注意したいところです。 MINKABUPRESS 山岡
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