ドル円は一時105.50円近辺まで下落 米中対立の激化をきっかけに景気後退のリスクも意識=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、ドル円は下げ渋る動きが出ているものの、NY時間に入って下げを加速させ、105.50円近辺まで下落する場面が見られた。106円ちょうど付近での押し目買い意欲も見られたものの、NY時間に入って再び105円台にブレイクしている。

 きょうも米中対立への不安感から人民元が再び下落しており、市場はリスク回避の雰囲気を強めている。米株式市場は再び戻り売りが強まっており、ダウ平均は一時589ドル安まで下落した。原油も51ドル台まで下げ幅を拡大している。ニュージーランドやインドが予想外の利下げを実施しており、各国中銀が緩和に動き出す中で、各国の国債市場で利回りが低下している。市場では米中対立の激化をきっかけに景気後退のリスクも意識され始めているようだ。

 そのような中でドル円はリスク回避の円高と、FRBの大幅利下げ期待の高まりによるドル安の二重の逆風にさらされている。105.50円付近の下値抵抗はまだ強いようだが、大きな心理的節目である105円を視野に入れた動きが続いている。

 ユーロドルはNY時間に入って買い戻しが優勢となっており、1.1240ドル近辺まで一時上昇した。このような中で市場では、9月FOMCでの0.5%利下げの可能性を織り込み始めている。CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、9月FOMCでの0.5%利下げ確率を35%まで高めている。先週はゼロに近かった。それに伴うドル売りの動きがユーロドルを押し上げているようだ。

 ただ、ECBも9月理事会で利下げが見込まれているが、0.1%の利下げがコンセンサスだが、0.2%の可能性も出てきているようだ。この日発表の6月のドイツ鉱工業生産が予想以上の減少となっており、ドイツ国債のイールドカーブもフラット化が進んでいる。

 ここに来て各国中銀が再び緩和強化の方向に舵を切る中で、市場では通貨安競争への懸念が強まっている。過去10年の通貨安競争の局面でユーロは高パフォーマンスを見せているとの指摘も出ていた。

 ポンドドルは1.21ドル台半ばでの推移が続いている。8月に入って下げ止まってはいるものの、浮上の気配までは見せていない。ドル安もポンドの上値も依然として重い。EU離脱に関してジョンソン英首相は強硬姿勢を崩しておらず、休会明けの議会との対立も懸念されている。野党・労働党は不信任案を出すとの報道も流れているようだ。また、保守党内で対立も激化し、総選挙の可能性まで指摘されている。合意なき離脱への懸念が緩むことがない中、ポンド売りとドル売りに挟まれ、ポンドドルは身動きが取れないようだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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