【中東情勢の緊張緩和もくすぶる先行き不透明感が金価格を下支え】 NY金6月限は5000ドルを割り込んだ3月18日以降、3月23日にかけて暴落 となり4128.5ドルと昨年11月以来の安値をつけた。その後、抵抗線の4600 ドルを上抜き、4月8日に4888ドルまで浮上し、終値で90ドル超の上げ幅を記録 している。 ドル建て現物相場は8日に抵抗線となっていた4800ドルを突破し4851.23 ドルの高値に到達。その後、値位置を落としているものの、4月1日以来の高水準を維 持する底堅い動きとなっている。 トランプ米政権の不確実性を嫌気し、NY金は高騰が続き、今年1月29日に一代高 値を付けていたが、その後はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の5月任期終了 後にはウォーシュ理事が後任に指名されたことで利下げ観測が後退した。また、米国と イスラエルによるイラン攻撃を受けてドルへと安全資産を求める資産が流れた込んだこ とが金価格を押し下げる要因になっていた。 また、米国によるイラン攻撃が実施され、原油価格が高騰したことが実態経済に与え るマイナスの影響が警戒され、2月下旬から3月下旬にかけダウ平均が大きく値を落と し、株式市場などでの損失補てんのため、金に売却圧力がかかったことも、この期間に 金価格が軟化する一因となっていた。 米国では個人消費が国内総生産(GDP)の約70%を占めているが、2月の小売売 上高は前月比+0.6%の7383億6600万ドルと3か月振りの増加を記録するな ど、消費の底堅さが示されている。また3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は事前 予想の+6.5万人を大幅に上回る+17.8万人となるなど、雇用統計でも強気な内 容が示されている。 強気な経済指標の発表が見られながらも原油価格の高騰が米国内経済に与える影響、 特に停戦協議に至るまでの過程においてイラン・米国の双方が停戦交渉の条件とした条 項が拒否されたことは、中東情勢懸念を深める要因にもなっていた。 パキスタンが仲介役となって米国とイランが期限つきながらも停戦で合意に至ったこ とは、リスク回避のために市場から流出した資金の還流を促す要因となろう。 特に中東情勢に関しては、米国とイランが2週間の停戦で合意し中東諸国での緊張は 次第に緩和に向かっているとはいえ、これが直ちに戦争の終結を意味するわけではない 点に注意が必要となっている。イラン側は4月10日にイスラマバードで交渉を開始す ることを表明しているが、交渉が物別れに終わる可能性も依然として残されている。 今後の米国とイランの交渉のなかでは、停戦交渉が戦争の終結に結びつくことができ るか、ホルムズ海峡の安全な航行が保証されるのかどうか、、が注目要因となる。2週 間の停戦合意で中東情勢の緊張は緩和に向かっているが、先行きに不透明感が強い状況 が続いており、金には引き続き安全資産を求める資金が流入し、底堅く推移することに なりそうだ。 MINKABU PRESS
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