5日に発表された6月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく上回る好結果となりました。依然として7月の利下げ期待は織り込み済みも、9月のFOMCでの連続利下げ期待や、一部で見られる7月に一気に0.5%下げるとの見通しが後退する形でドル買いを誘う展開が見られました。前回5月分のNFPが予想を大きく下回り、それまでも大勢ではあった7月の利下げについて、ほぼ確実視する要因となっていただけに、今回の予想以上の回復が、期待感をやや押さえた格好です。 こうした状況を受けて、市場では7月30日、31日のFOMCまでやや神経質な展開が見込まれます。特に今週は今後の米金融政策動向を見越す上で重要な二つのイベントが予定されており注目を集めています。 今回はまず一つ目として、パウエルFRB議長による議会証言を取り上げます。 米国では旧ハンフリーホーキンズ法(完全雇用均等成長法・すでに失効済)の規定によって、半期に一度(通常2月と7月)FRB議長による議会に対する金融政策の報告書と答弁が行われます。今年は10日に下院金融サービス委員会で、11日に上院銀行委員会で実施されます。ちなみに2月に先に行った方が、7月は後ろに回るという不文律になっています。今年は2月に上院から行ったので、7月は下院からです。 両院とも同じ報告書を基に行われますので、注目度が高いのは10日の下院での証言です(その後の質疑応答で新たな発言を引き出されることがあるので、二日目も注目自体はされます)。 トランプ大統領はパウエルFRB議長に対して度々利下げを要求。米国の大統領は基本的に議会に入れないので、直接の圧力はないにせよ、共和党議員からは今後の利下げに向けた厳しい質問が来ることが予想されます。一方で、トランプ大統領からパウエル議長の更迭についての発言が見られる中、民主党議員からはFRBの中立性などについての質問が出てくることが予想されます。 金利市場動向からみた7月30日、31日の利下げ確率は100%。9月の連続利下げ確率は73%(ちなみに雇用統計発表までは80%を超えていました)という状況。パウエル議長は今後の緩和の可能性を示していますが、ここからの連続利下げにつながるような発言は行っていないだけに、今回の議会証言での議長の姿勢が注目されます。 minkabu PRESS編集部 山岡和雅
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