【これからの見通し】地政学リスクと米利下げ観測、ドル円相場を両面から圧迫 東京市場では、ドル円が106円台に突入した。前日の海外市場ではユーロドルが1.14台に乗せるなどドル安の面が強かったが、今日はユーロ円が122円割れへと下落しており、円高優勢に局面が変化している。とはいっても、円高とドル安は交互に、あるいは同時に示現してきており、両面からドル円相場は圧迫されるパターンとなっている。 トランプ米大統領が日米安保条約に関する発言を行ったと報じられている。トランプ大統領がかねてから日米安保条約の内容が不公平だと主張してきており、直近の報道では安保条約の破棄について側近に漏らしたという。また、イラン情勢は悪化の一途をたどっている。トランプ米大統領がイラン最高指導者に制裁を科す、としたことに対してイラン側も態度を硬化させている。外交ルートが断絶される可能性があり、軍事緊張のみが残る状況が懸念される。 一方、ドル安の面は米利下げ観測の高まりが支えている。米金融当局者らの発言で7月およびそれ以降の利下げペースについて示唆があるのかどうかが注目される。きょうは米金融当局者の講演など発言予定が多め。ウィリアムズNY連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、パウエルFRB議長、バーキン・リッチモンド連銀総裁などのイベント参加および講演が予定されている。市場ではウィリアムズNY連銀総裁とパウエルFRB議長の発言内容に敏感な反応をみせそうだ。特に、パウエルFRB議長講演では質疑応答の時間が用意されており、具体的に利下げに関するキーワードがでてくるのかどうかが注目される。 ドル円は足元で107円近辺に下げ渋っているが、市場筋によるとオプション関連のレンジ取引注文が観測されているようだ。きょうから明日にかけて、NYカットの大規模オプション期限の設定が107円ちょうどから107.50レベルにかけて散見されているという。この場合、下値に買い注文、上値に売り注文が設定されることから、一方向には動きにくくなり、一時的に相場の流れが見えにくくなる点に留意しておきたい。 このあとのロンドン・欧州市場では目立った経済指標の発表予定はみられない。NY市場では、米S&Pケースシラー住宅価格(4月)、米FHFA住宅価格指数(4月)、米新築住宅販売件数(5月)、米コンファレンスボード消費者信頼感指数(6月)など一連の経済指標が発表される予定。また、米2年債入札(400億ドル)が実施される予定。 minkabu PRESS編集部 松木秀明
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