10日からの週は、ドル円の買戻しの動きが継続した。ドル円は週を通じて、雇用統計ショックの急落をほぼ全戻しし、160円再挑戦をうかがう円安基調となった。週初は弱い米雇用統計を受けた急落の反動で買い戻しが進み、株高とキャリートレード再燃を背景に東京・ロンドン・NYの各時間帯で円売りが優勢となった。ドルストレートは方向感に乏しく、相対的に円だけが売られる構図が鮮明だった。11日は休場で流動性が低下し、CPIを控えた様子見のなかで小動きに終始。原油高と米金利上昇がドルを支え、ドル円は159円台を維持した。12日は本邦債券売りと利上げ織り込みの進展にもかかわらず円買いは限定的で、急落と急反発が交錯する神経質な展開に。米CPIは落ち着いた内容だったが、日米金利差の構造がドル円の下値を支え、発表直後の下落は即座に買い戻された。13日は国内の利上げ支持報道で一時円買いが入ったものの、追随は弱く、米PPI後もドル円は159円台半ばへ戻して160円を意識する強含みを維持。インフレ指標の沈静化にもかかわらずドルの底堅さが際立ち、円安トレンドの粘り強さが確認された週となった。 (10日) 東京市場で、ドル円は反発。先週金曜日の米雇用統計の予想外の弱さを受け、ドル円は156.68円まで急落したものの、週明けの東京市場ではその下げを取り戻す展開となった。早朝に157.54円の安値を付けた後はじりじりと買い戻され、午後には158.40円台まで反発した。目立った独自の材料は乏しかったものの、日経平均をはじめとする株高を背景としたリスク選好の円売りが全体を主導した。クロス円も軒並み堅調で、ユーロ円は雇用統計前の水準を超える183.10円まで上昇し、ポンド円も213.80円台と7月末以来の高値を記録した。一方でユーロドルやポンドドルなどのドルストレートは狭いレンジでの落ち着いた値動きにとどまり、市場全体として円売りが目立つ一日となった。 ロンドン市場では、東京の流れを引き継ぎ、円売りが相場を主導した。ドル円は158円台後半へ上値を伸ばし、158.89円付近と159円の大台に迫る高値を更新した。背景には、介入観測に伴うショックの反動や、構造的な円売りキャリートレードの再燃、米金利の底堅さ、12日の米CPI発表を控えたポジション調整など複合的な要因が指摘されている。クロス円も一段高となり、ユーロ円は183円台半ば、ポンド円は214円台前半まで上昇した。一方、ドルストレートはユーロドルが1.15台半ば、ポンドドルが1.35前後と小動きに終始し、米10年債利回りは4.65%付近で横ばい、原油先物は79ドル近辺で高止まりするなど、ドル自体の方向感は限られた。 NY市場では、ドル円の買い戻しが一段と強まり、159円台に突入した。先週末の雇用統計後の下落分を完全に消し去り、為替介入後の下げ幅の半分以上を回復して200日移動平均線を再び上回った。同日発表された日銀会合の「主な意見」ではタカ派的な発言が目立ち、市場では早期利上げ観測が高まったが、依然として開いた日米金利差や低いボラティリティから円高定着には至らなかった。ユーロ円はドル円の上昇に合わせて183円台半ばまで堅調に推移し、目先の上値目処として200日線が意識されている。ポンド円も215円台まで上昇した。市場では、金利差や介入効果の一時性を踏まえ、160円の節目を意識した反発基調が継続している。 (11日) 東京市場は、「山の日」の振替休日のため休場。アジア時間帯の取引は全般に動意が薄く、市場参加者が少ない中でドル円は159.30円付近から158.93円付近まで一時下押しする場面も見られたが、すぐに買い戻されて下げ幅を消すなど、限られた値幅での神経質な揉み合いに終始した。豪州市場では豪中銀が政策金利の据え置きを発表し、当初は軽い豪ドル売りで反応したものの、総裁のタカ派的な姿勢が堅持されたことで急速に買い戻される場面があった。市場全体としては、翌日に控えた米消費者物価指数(CPI)の発表を前に様子見ムードが広がり、明瞭なトレンドを欠く静かな時間帯となった。 ロンドン市場は、ややドル買い優勢の展開となった。ホルムズ海峡を巡るイランと米国の対立から中東リスクが意識され、原油先物が84ドル台へ上昇したことや、米10年債利回りが4.73%付近へ上昇したことがドル買いを後押しした。ドル円は159.39円付近まで小幅に高値を更新したものの、翌日の米CPI発表を控えて上値追いには慎重さも見られた。ユーロドルは1.1531ドル付近、ポンドドルは1.3495ドル付近まで軟化し、ドル高方向へ振れた。一方、クロス円はドル主導の展開のなかでユーロ円が183円台後半、ポンド円が215円付近とレンジ内での揉み合いが続き、原油高に伴うインフレ懸念が通貨の重しとなる場面もあった。 NY市場では、翌日の米CPI発表を控えて模様眺めが広がり、ドル円は159円台前半での狭いレンジでの小動きが続いた。心理的節目の160円を再び試す展開も意識されたが、同時に日本当局による再介入への警戒感も根強く、様子見姿勢を強めさせた。市場では、介入のみでトレンドを変えることには限界があり、日米金利差縮小へ繋がる経済指標の変化が必要との見方が大勢を占めている。ユーロドルは1.15ドル台、ポンドドルは1.35ドル前後で明確な方向感を欠く推移となった。原油高による交易条件悪化が欧州通貨の上値を抑える一方、市場ではCPIでコア指標が落ち着きを見せれば9月FOMCでの据え置き観測が強まると期待された。 (12日) 東京市場で、ドル円は今週高値となる159.46円付近までじり高となる場面もあったが、夏季休暇シーズンに伴う取引参加者の減少もあり、総じて小動きにとどまった。同日夜に米CPI、翌日に米PPIの発表を控え、市場参加者の模様眺めムードが強まった。財政悪化懸念や日銀の政策修正を背景に日本国債が売られ、本邦2年債利回りは1.65%台と31年ぶりの高水準を更新し、9月の追加利上げ織り込みが進んだ。しかし、すでに協調介入の段階で利上げ期待が相当程度織り込まれていたため、円を買い戻す動きには繋がらず。ユーロ円が183.97円付近、ポンド円が215.39円付近まで強含むなど、週初からの緩やかな円安トレンドが維持された。 ロンドン市場では、ドル円が159.30円付近から突如158.60円付近まで急落し、市場のムードが一変した。米CPI発表を控えた神経質な地合いのなか、原油安や米長期金利低下、159.00円の大規模なニューヨークカット・オプション観測、さらには介入警戒感が重なったことが急落を引き起こしたとみられる。この下落に伴いユーロ円は一時183.16円付近、ポンド円は214.55円付近まで連れ安となった。しかし、売り一巡後は急速に買い戻しが入り、ドル円は159円台回復、ユーロ円も183円台後半へ反発するなど、急激な上下動を経ても方向感は定まらず、投資家の警戒感が強まる神経質な展開となった。 NY市場では、注目された米CPIでコア指数が前年比2.5%と予想通りの落ち着きを示し、FRBへの利上げ圧力の後退を示す内容となった。指標発表直後、ドル売りが先行してドル円は一時158円台に下落したものの、直ちに強力な買い戻しが入り、介入後の高値水準である159円台半ばへと切り返した。心理的節目の160円を再びうかがう展開となっている。ユーロドルは一時1.1560ドル台まで買われたが1.15ドル台前半に伸び悩み、ポンドドルも1.3540ドル台から反落した。利上げ期待の後退があってもドルの下値は堅く、日米金利差やキャリートレードの構造的要因から、円安基調の根強さが浮き彫りとなる結果となった。 (13日) 東京市場では、ドル円は前日の米CPI後のドル売りが一巡し159.40円前後で朝を迎えた。序盤は調整の売りで159.20円台へ下押ししたものの、ドルの地合いの強さや株高に伴うリスク選好の円売りから昼前に159.40円台へ浮上した。午後に入り「高市政権が介入効果維持の観点から日銀利上げを支持し、9月か10月の追加利上げが視野」との報道が伝わると一転して円買いが強まり、159.18円まで急落した。しかし追随する動きは限定的で、すぐに159.40円台を回復した。ユーロ円やポンド円も報道で一時下落したものの底堅く推移し、15時発表の英鉱工業生産の悪化を受けてポンド売りが強まる場面が見られた。 ロンドン市場は、全般に明確な方向感を欠く取引となった。ドル円は東京午後の利上げ支持報道による下落から持ち直し、ロンドン序盤にかけて159.40円台へ反発したものの、その後は159.30-40円レベルでの揉み合いに落ち着いた。英経済指標ではQ2のGDPが予想を上回った一方、鉱工業生産が低調だったためポンド売りが先行、ポンドドルは1.3474ドル付近まで下落後、米金利低下に伴い1.3501ドルまで買い戻される往来相場となった。ユーロドルは米金利低下を受けて一時1.1539ドルまで買われ、ユーロ円も183.85円まで本日高値を更新するなど、NY市場での米PPI発表や要人発言を控え、見送り気分の強い展開であった。 NY市場では、ドルが底堅く推移。米PPIが前日のCPIと同様にインフレの沈静化を示し、9月利上げ確率が後退、序盤はややドル売りで反応した。しかしドル円の下げは限定的で158円台には届かず、直ちに切り返して159円台半ばへと浮上し、160円の節目をうかがう強含みの展開が継続した。東京時間に報じられた高市政権による利上げ支持についても、市場では10月利上げまで織り込み済みであったため影響は限定的であった。ユーロドルは1.15ドル台で足踏みが続き100日線に上値を抑えられたものの、ECBの追加利上げ期待から底堅さを維持した。全体としてインフレ指標の減速がありながらもドルの底堅さが際立つ一日となった。 (14日) 東京市場では、午後に円高・ドル安の展開となった。一部通信社が「日銀が早ければ9月利上げを想定、利上げペースの加速も視野」と報じたことに反応した。ドル円は、今週発表された米CPIやPPIを手掛かりとした年内の米利上げ観測の後退を背景に軟調に推移していたが、日銀に関する報道を受けて一段安となり、一時159.15付近まで下落した。この動きに連れてクロス円も午後に弱含み、ユーロ円は一時183.70付近、ポンド円は一時214.89付近まで軟化した。一方、ドルストレートは全般にドル安傾向となった。米利上げ観測の後退がドルの重しとなり、ユーロドルは一時1.1544付近までジリ高推移し、ポンドドルも強含んで1.35台を回復した。 ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ただ、ドル円は159円台前半、ユーロドルは1.15台前半から半ば、ポンドドルは1.34台後半から1.35台への動きにとどまっている。昨日までのドル買いに対する調整の範疇で、夏枯れによる流動性不足や週末を前に取引手控えムードが広がった。ロンドン早朝には日銀早期利上げ観測から円買いが入ったが、ロンドン時間はクロス円が買い戻され、円相場は方向性が希薄。ユーロ円は183円台後半からの振幅、ポンド円は214円台後半から215円台前半で推移。欧州株や米株先物は小動き、原油は81ドル台から83ドル付近の上下動。米10年債利回りは4.65から4.66%と小幅上昇。NYでは米小売売上高、ミシガン指数が発表される。 NY市場でドル円は一時158.60付近まで下落。この日発表の米小売売上高とミシガン大消費者信頼感指数が弱い内容となり、為替市場はドル安が強まった。今週のインフレ指標と合わせて、市場はFRBの早期利上げ期待を後退させている。ただ、ドル円については、売りが一巡すると159台に戻す展開となり、結局、下に往って来いの展開となった。下値では押し目買い意欲が強いことを示唆する動き。
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。