17日からの週は、中東情勢や日米の金融政策見通しに加え、米財務省が長期債の買い戻しを倍増すると発表したことが大きな材料となり、ドル円を中心に値動きが荒くなった。米経済指標の弱さと買い戻し倍増の影響で米長期金利が下がり、ドル安が広がった一方、日本側では日銀の利上げ余地が限られるとの見方が根強く、円は本質的に買われにくい状態が続いた。この「ドル安と円安」というねじれがドル円の上下動を複雑にした。週前半は米早期利上げ観測の後退がドル売りを誘ってユーロやポンドが対ドルで上昇した。中東情勢の緊迫化や原油高で一時的に「有事のドル買い」が戻る場面もあったが、流れを反転させるほどではなく、ドル安が徐々に優勢となった。週後半は米債市場の動きが主役となって米財務省オペ拡大がドル急落の決定打となった。ドル円は160円目前で上値を抑えられつつも円安基調が残り、クロス円はユーロ円・ポンド円とも高値圏を維持した。ユーロドルは200日線を上抜け、ポンドドルは年初来高値を更新するなどドル独歩安の色合いが濃くなった。全体として、「米金利低下でドル安が芽生えつつある一方、円の構造的な弱さも残る」という二つの流れが併存した週だった。 (17日) 東京市場では、先週末の米小売売上高の下振れを受けて9月の米早期利上げ観測が後退し、ドル売りが優勢となった。日本の長期国債利回りの上昇に伴う円買いも重石となり、ドル円は一時158.96円まで下落した。午後には159.10円台まで買い戻される場面があったものの、戻りは限定的で上値の重い展開が続いた。一方、ユーロドルやポンドドルでもドル安が進行し、ユーロドルは1.1589ドル、ポンドドルは1.3559ドルまで上昇した。クロス円はドル主導の相場展開の中で比較的落ち着いた値動きとなり、株高を背景とした円売りや欧州通貨の底堅さが下値を支えたものの、ドル円での円高推移が上値を抑え、ユーロ円は184円台前半、ポンド円は215.50円を挟む水準での揉み合いに終始した。 ロンドン市場では、欧州序盤に東京市場のドル売り地合いを引き継ぎ、ドル円が158.85円近辺まで下落、ユーロドルが1.1614ドルまで上昇するなどほぼ全面的なドル安となった。米早期利上げ観測の後退に加え、豪中銀の利上げ期待や米国とイランの交渉期限通過に伴うフラン買いなどもドル売りを後押しした。しかし、ドル売りが一巡すると中東情勢への警戒感から有事のドル買いが流入し、ドル高方向へと反転した。これを受け、ドル円は朝方の下落分を取り戻して159.20円台まで回復し、ユーロドルも1.15台へと押し戻された。一方、クロス円はドル円の持ち直しに支えられて底堅く推移し、ユーロ円は184.60円台まで上昇、ポンド円も朝方の下げから反発して215.90円台を回復する動きを見せた。 NY市場では、全般的にドルが軟調に推移し、ドル円は一時158円台に下落したものの、根強い円安圧力を背景に押し目買いが入り、介入後の高値を更新する159.60円付近まで上昇する場面も見られた。先週の米経済指標の下振れにより市場のFRB早期利上げ期待は後退しており、9月利上げ確率は30%程度まで急低下している。一方、日銀の早期利上げ観測に対する円相場の反応は鈍く、ドル円の下支え要因となった。ユーロドルは欧州経済の底堅さを背景に一時1.16ドル台へ上昇し、200日移動平均線を視野に入れている。ポンドドルも1.35ドル台半ばで底堅く推移し、英経済の緩やかな成長継続が好感された。クロス円も軒並み上昇し、ユーロ円は184円台後半、ポンド円は216円台を回復した。 (18日) 東京市場では、前日のNY市場の流れを引き継ぎ、米長期金利の上昇を背景としたドル高円安が優勢となった。ドル円は朝方の159.30円前後から徐々に水準を切り上げ、午後には前日のNY時間につけた直近高値を上回る159.75円まで上昇し、為替介入後の戻り高値を連日で更新した。米10年債利回りが一時4.744%まで上昇したことがドル買いを強力に後押しした。一方、日本の長期金利も朝方に一時2.949%まで上昇したものの、その後は落ち着いた推移となり円買いの勢いは長続きしなかった。欧州通貨は対ドルで下落し、ユーロドルは1.1567ドル、ポンドドルは1.3522ドルまで値を下げた。クロス円はドル主導の相場の中で底堅く推移し、ユーロ円は184.85円まで上昇した。 ロンドン市場では、中東情勢の不透明感再燃を背景にNY原油先物が85ドル台へと上昇し、日本の交易条件悪化を警戒した円売りと有事のドル買いが重なり、ドル円は一時159.78円まで上昇して介入後の戻り高値をさらに更新した。その後も159円台後半の高値圏で推移し、160円の大台をうかがう展開が続いた。クロス円も円安水準を維持し、ユーロ円は184円台後半、ポンド円は216円付近で底堅く推移した。欧州通貨同士では明暗が分かれ、ロンドン序盤に発表された独ZEW景況感指数の予想を上回る改善がユーロを下支えし、ユーロドルは1.15台後半で揉み合った。対照的に、英雇用関連指標の弱含みを受けてポンドは上値が重く、ポンドドルは1.35台前半へと軟化し、ユーロポンドでのユーロ買いポンド売りが進んだ。 NY市場では、世界的な長期金利の上昇や中東情勢の緊迫化に伴う原油高を背景に、市場全体にリスク回避的な雰囲気が広がる中、ドル円はじりじりと160円の節目をうかがう展開が続いた。レバノンでの新たな戦闘や米国の対イラン強硬姿勢が警戒される一方、オプション市場では円高ヘッジを急ぐ動きは限定的であった。ユーロドルはエネルギー価格上昇への警戒感や明日のFOMC議事録への様子見姿勢から、1.16ドル台乗せには至らず1.15ドル台後半での上下動に終始した。ポンドドルは為替市場全体のボラティリティ低下もあって1.35ドル台での狭いレンジ取引が続いた。英国の労働市場が低調であったことから年内の英中銀利上げ観測が後退しつつあるものの、クロス円でのポンド円は216円台前半を維持しリバウンド基調を保った。 (19日) 東京市場では、前日の米ハイテク株安やアジア市場での半導体関連株の下落を受けてリスク回避の円買いが優勢となった。160円の大台を前にした警戒感に加え、日銀の買いオペ通過による日本国債の利回り低下で国債需給への懸念が和らいだことも円買いを後押しした。ドル円は朝方の159.64円からじりじりと下落し、午後には159.12円まで下値を広げた。全般的なドル安傾向も相まってユーロドルは1.1599ドルまで上昇した一方、クロス円は上値が重くユーロ円は184.47円まで下落した。注目の英消費者物価指数は予想通りとなりポンドへの影響は限定的であった。また、トランプ米大統領がカナダへの追加関税発動の延期を発表したことでカナダドルが買い戻され、対ドルや対円で一時的に上昇する動きも見られた。 ロンドン市場では、FOMC議事録の公表を控えてドルロングの調整売りが強まり、ドル円は159.00円ちょうど付近まで下押しした。米10年債利回りが4.68%台割れへと低下したことがドル売りを主導した。中東情勢の緊迫化を背景にNY原油先物は一時86.31ドルまで上昇し、これを受けて欧州株や米株先物は上値の重い展開となった。リスク回避的な地合いの中でも全般的なドル安の流れが継続し、ユーロドルは1.1610ドル台、ポンドドルは1.3560ドル台へとそれぞれ本日の高値を更新した。クロス円はドル相場主導の展開のなかで揉み合いとなり、ユーロ円は184円台後半、ポンド円は215円台後半での推移にとどまった。英物価指標は想定内にとどまり、ユーロに対するポンドの動きはやや軟調であった。 NY市場では、米財務省が長期国債の買い戻しオペ規模を従来の20億ドルから40億ドルへ倍増させると発表したことを機に米長期金利が急低下し、急速なドル安が進行した。ドル円は一時158円割れを試し、重要な節目である200日移動平均線に到達した。午後に公表されたFOMC議事録は、インフレ高止まりへの警戒感を示しつつも極端なタカ派的内容ではなかったため、想定範囲内としてドル安の流れを後押しした。ユーロドルは200日線を一気に上抜けて1.16ドル台後半まで急上昇し、ECBの9月利上げ観測を背景にオプション市場でもユーロ強気が優勢となった。ポンドドルも7月高値を突破して1.36ドル台へと値を上げた。ドル円の急落につれてクロス円は一時下落したものの、ユーロ円は184円台後半に持ち直した。 (20日) 東京市場では、前日の大幅な下落に対する反動から、ドル円およびクロス円は反発基調となった。米財務省の買い戻しオペ増額を受けたドル売りの流れから朝方に158.03円まで僅かに安値を更新したものの、その後は仲値に向けた実需のドル買いなどを契機に上昇に転じた。日本の30年国債利回りが4%を割り込むなど長期金利が低下したことや、世界的な金利低下を好感した株高の動きも円売りを誘発し、ドル円は午後に入り158.73円まで上値を伸ばした。クロス円も堅調な推移となり、ユーロ円は朝方の184.50円台から午後には185.25円まで上昇、ポンド円も215.04円から215.92円まで反発した。一方、ユーロドルやポンドドルは高値圏での小幅な揉み合いに終始し、方向感に欠ける落ち着いた値動きとなった。 ロンドン市場では、前日の米財務省による長期債買い戻し倍増発表を背景としたドル売り基調が再燃し、東京市場での反発局面から一転してドル安が進行した。ドル円は158円台後半から前半へと押し戻された。一方、ユーロドルは上値抵抗を突破して3カ月ぶりに1.17ドル台に乗せ、1.1711ドルまで上昇した。ポンドドルも1.36ドル台半ばへと上伸している。原油価格の上昇や米債利回りの反発、欧州株安といったリスク回避的な要素があったものの、全般的なドル安圧力と円売り基調が勝り、クロス円は一段高となった。ユーロ円は185円台半ばまで上昇して高値圏を維持し、ポンド円も216円台を回復した。有事のドル買いやリスク回避の円買いは限定的で、ドル単独での弱さが際立つ相場展開が続いた。 NY市場では、過度なドル安が一服し、根強い円安基調も下支えとなってドル円は買い戻され159円台を回復した。ベッセント財務長官が国債買い戻し規模のさらなる拡大を示唆した場面では一時的に下落したものの、200日移動平均線は維持されて反転した。日米金利差の縮小観測がドル円の上値を抑えるとの見方がある一方、日本の経済ファンダメンタルズから日銀の利上げ余地は限定的とみられている。ユーロドルは一時1.17ドル台に乗せたものの、エネルギー高によるユーロ圏の交易条件悪化への懸念が重石となり1.16ドル台に伸び悩んだ。ポンドドルは一時1.3660ドル付近まで上昇して5月の高値に並び、上昇トレンドを明確にした。ポンド円も216円台後半まで買われ、為替介入後の下げを完全に取り戻している。 (21日) 東京市場では、米財務省の国債買い戻し増額発表を受けたドル売りが優勢となった。米政府債務が40兆ドルを超える中、イラン情勢に伴う戦費拡大への警戒感がドル安の背景となっている。対ドルでユーロやポンドが上昇したほか、原油や非鉄などの資源高を支えに豪ドルやNZドルも堅調に推移している。これらの通貨は対円でも買われ、ユーロ円、ポンド円、NZドル円は日米協調介入後の戻り高値を更新し、特にNZドルの強さが目立っている。一方、ドル円は円安とドル安が相殺し合い、158円台後半で動意に乏しい展開である。7月の日本の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.9%へ加速したものの、来月の日銀追加利上げは既に織り込み済みとして市場の反応は限定的であった。 ロンドン市場ではドル売りが優勢となり、ドル指数は前日の低水準を再び試している。米10年債利回りは4.68〜4.70%で高止まりし、原油は86ドル割れから87ドル台へと神経質に振幅。欧米株は小高く、方向感は乏しい。週末を控え調整主導の地合いとなり、ドル円は159円から158円前半へ軟化。ユーロドルは1.17台へ、ポンドドルも1.36台後半へ上昇。クロス円はロンドン入り後に上値が重く、ユーロ円は185円台前半、ポンド円は216円台半ばへと弱含んでいる。 NY市場でドル円は159円台を一時回復するなど、ドル高円安が優勢となった。週末を前に行き過ぎた動きには警戒感が見られ、ロンドン朝のドル安が一服。市場は来週後半のジャクソンホール会議待ちの流れとなっており、大きな方向性が出にくい流れとなっていた。米債利回りがNY朝までのもみ合いからもう一段上昇したこともドル買いを誘った。もっとも週末を前にした様子見ムードもあり、東京午前につけた159.13円まで戻せないなど、上値も限定的となった。午後は159.00円を挟んでの推移が続いた。ユーロドルは1.16台後半でもみ合い。ユーロ円は185円台半ば前後での推移と、動きが落ち着いていた。
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。