【NY金はインフレ高進懸念に上値を抑制されるも逃避買い需要が下支え】 NY金期近12月限は9月29日以降、4200ドルを前後する動きが続いていた が、14日に大幅続落となり、一時4095ドルまで下落。中東情勢の不透明感を受け た原油価格の高止まりを受けてインフレ高進に対する警戒感は依然から見られていた が、この日発表された9月の米消費者物価指数(CPI)が事前予想を上回る強気な内 容だったことで米利上げ観測が強まり売り優勢となった。 米労働省の発表の9月の米CPIの前年比は事前予想の+3.6%、前月実績の +3.4%を上回る+3.7%となり、インフレ高進を示した。これを受けて10月公 開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が強まったことが14日のNY金の軟調の背 景となっている。 9月CPI上昇の主因はガソリン価格の急騰で前月比では+9.1%の上昇率を記 録。ただ、ガソリン以外にも家賃などが上昇した影響で、変動が激しいエネルギーと食 料を除いたコアCPIの前年同月比も+2.6%と前月に記録した+2.4%を上回る 伸びを見せている。 NY原油が9月に入ってから値位置を切り上げて9月15日に100ドル台に達して いたことから、インフレ高進の可能性は事前から見込まれていたため、今回の9月CP I発表を受けてインフレ高進観測はある程度、織り込んだと見られる。ただ、10月に 入ってからもNY原油は90ドルを下値支持線とする高もみが続いているだけに、今後 もインフレ高進が示されることが予想される。 インフレ高進は米長期債の利回りの上昇につながる。既に高水準にある米長期債の利 回りは今後も高止まりする可能性がある。また、米連邦準備理事会(FRB)のウォー シュ議長は、これまで物価の安定に注力する姿勢を何度も示している。今回のCPIが FRBの利上げに向けた動きを後押しする要因となりかねず、これが今後も金市場の上 値抑制要因になってきそうだ。 一方で、今月発表された雇用統計、9月非製造業購買担当者指数(PMI)、10月 の米ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値などの主要経済指標に弱気な内容が目立ち 米雇用情勢や米経済に対する懸念が強まっていることは金市場にとって買い支援要因に なり得る。 さらに米国を始め、財政赤字が膨らんでいるフランス、日本、ドイツなどの主要先進 国の財政不安は、債券の利回り上昇を促しており、これが金市場の上値抑制要因になる と同時に、安全資産を求める動きを刺激する要因にもなって金価格を下支えている。 この安全資産を求める動きは金ETF残高の推移にも現れている。SPDRの金ET F残高はNY金12月限が現在の4200ドル前後という価格水準まで下落する前の高 値となる4755ドルを付けた8月25日は1048.35トンだった。 その後NY金は下値探りに転じる一方で金ETF残高は増加傾向を強め4091.2 ドルと8月3日以来の低水準まで値を落とした10月7日には1061.11トンまで 増加。その後は減少に転じながらも1055トン前後を維持し、投資意欲の根強さを示 唆する動きを見せている。 NY金ETFは、価格が下落したところで増加する動きを見せているため、これまで のもちあい圏となっていた4200ドルから下方に値が離れたことで安値拾いの買いが 入る可能性が見込まれる。金ETF残高が今回の下落時にも増加するようであれば、今 後も安全資産を求める動きが金価格を下支えしかねない。なお、弱気な米経済指標が目 立つなかでの物価高は米経済に対する懸念を強めると予想されることも買い支援要因に なってくるだろう。 15日に発表される9月の米小売売上高は、ガソリン価格の上昇の悪影響を受ける可 能性はあるが、それ以外の項目がどのように推移したか、エネルギー価格の高騰が他項 目の消費活動にネガティブな影響を与えていないかどうかを見極める必要がある。 MINKABU PRESS
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