ジャクソンホール前にドル買い戻し ドル円は111円台回復=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが優勢となった。前日のFOMC議事録は、貿易問題や新興国問題にもかかわらずFRBはタカ派姿勢を堅持していることが示され、市場は9月利上げの確率を90%まで高めている状況。

 トランプ大統領はFRBの利上げ姿勢に苦言を呈しているが、米地区連銀総裁の発言を聞くと、追加利上げを支持する発言が多く聞かれ、圧力には屈しない姿勢も感じられる。そのような中、明日予定されているジャクソンホールでのFRBのシンポジウムを前にドルは買い戻しが入っている模様。

 また、トランプ大統領が南アフリカでの「土地や農地の収用」や「農家殺害」の実態を調査するようポンペオ国務長官に指示したことで南ア・ランドが下落したことや、ロシア中銀が9月末までルーブル売り・外貨買いを停止すると発表したものの、ルーブル買いは一時的反応に留まるなど新興国通貨安もドル買い戻しをフォローとなった模様。

 ドル円は買い戻しが加速し111円台を回復。今週に入ってドルが軟化する中、ドル円も上値が重い展開となっていたが、円安の動きに支えられ110円台は維持していた。きょうはドル買戻しの動きも加わりドル円を押し上げている。21日線が111.05円付近に来ているが、それを上抜いてストップを巻き込み111.30円付近まで上昇。

 この日発表された米新築住宅販売件数は弱い内容となったものの反応は限定的。住宅価格や住宅ローン金利の上昇で需要が抑制されており在庫が拡大している。前日のFOMC議事録でも、貿易問題などと伴に住宅市場もリスクとして指摘されていたが、まだ警戒感は出ていないようだ。

 ユーロドルは後半になって下げを加速。ユーロドルは1.1530ドル近辺まで下落し、21日線を下回る動きも見せている。ユーロ円も128円台前半に下落。イタリアのディ・マイオ副首相の発言もユーロ売りを加速させたようだ。副首相は、欧州委員会が明日、地中海で救助した移民の行き先を割り振ることに合意しなければ来年にも、EUへの拠出金支払い停止を求める投票の実施も検討と述べていた。

 前日は1.16ドル台に何度か上昇したものの、いずれも戻り売りに押され1.16ドル台は維持できなかった。新規の売りが入ってきている様子はまだないものの、このところの急ピッチな上昇に短期筋の利益確定売りが出ている模様。
 
 ポンドドルは1.28ドル台前半に下落。きょうの下げで21日線で跳ね返された格好となっており、明日以降の動きが警戒される。

 ラーブEU離脱担当相が公表した文書によると、合意なきEU離脱の場合、EU製品の価格が上昇し、インフレが急速に進む可能性に言及している。また、金融については、英企業はEUの決済インフラへのアクセスを失い、ユーロ取引のコスト上昇と処理時間の長期化に直面する可能性があると指摘した。英国とEU間のクレジットカード決済コストも上昇する見通しを示した。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美 

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