[Vol.2308] 国連の改革が進まなければインフレ継続も

著者:吉田 哲
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原油反落。中東情勢の鎮静化期待などで。89.16ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,216.34ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2,470.64ドル(前日比8.86ドル縮小)、円建てで13,194円(前日比3円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月2日 18時12分時点 6番限)
金 21,747円/g
白金 8,553円/g
ゴム 452.5円/kg
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 月足 単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「国連の改革が進まなければインフレ継続も」
前回は、「インフレ底上げの背景にハイテク拡大」と題して、2010年ごろ以降のハイテク拡大とインフレ進行について、述べました。

今回は、「国連の改革が進まなければインフレ継続も」と題して、時間軸ごとのインフレ対策について、述べます。

高市首相は9月22日の国連での演説の序盤で、国連は今、世界の平和と安定のための役割を果たせていないという声があることについて述べ、終盤に国連の改革、中でも安全保障理事会(安保理)の改革が急務であると述べました。

筆者はこの「国連の改革」が、壮大で大胆なインフレ対策のヒントであると、考えています。以下の図のとおり、長期視点であり、コストプッシュインフレに関わる川上の領域のインフレを鎮静化させるための策として、国連改革→国際協調回復→国際秩序再構築、という流れを強めることが挙げられると、筆者は考えています。

そうすることで、国際秩序再構築→「ビジネスよりも秩序」というムード醸成→資源武器利用の緩和・マネーストック減→長期視点のインフレ鎮静化、というシナリオを描くことができます。このように考えれば、高市首相は演説で、長期視点のインフレを鎮静化させる策を示したと、言えます。

とはいえ、このシナリオが実現するかは分かりません。すでにいくつかの国から、高市首相の演説を否定的に捉える発言が出ています。

また、以前の「[Vol.2304] 『国際秩序回復』はインフレ退治に有効」で述べた国連事務総長の発言では、世界中の人、一人一人が考えて行動することが求められていますが、SNSやAIなどのマイナス面が目立っている現代社会において、真の意味で一人一人が考えて行動することは日に日に難しくなっていると言わざるを得ません。

そう考えれば、大阪・関西万博の国連のパビリオンにおいて、国連事務総長のビデオメッセージの後に示された「人類は団結したとき、最も強くなる」というメッセージが、裏返しとなり「人類は団結できないため、最も強い状態になれない」という意味を持ってしまう可能性があります。

長期視点のインフレ動向は、国連の改革が進むかどうか、人類が真の意味で考えて行動できるかどうか、にかかっていると言えると、筆者は考えています。これらの難易度が大変に高いことを考えれば、長期視点のインフレが継続する可能性があることを念頭に置く必要があるかもしれません。

図:時間軸ごとのインフレ対策
図:時間軸ごとのインフレ対策
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。