今度は米通商問題がリスク回避の雰囲気を強める=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうもNY為替市場はリスク回避の雰囲気が強まっている。イタリア情勢は一服しているものの、今度は米通商問題がリスク回避の雰囲気を強めている模様。ロス米商務長官が、トランプ政権はカナダやメキシコ、欧州からの鉄鋼、アルミ製品の輸入に関税を賦課すると言及した。これまでの暫定的な適用除外は明日の金曜日で期限切れとなる。EUやメキシコは報復関税を課す姿勢を示している。

 米株式市場でダウ平均や米10年債利回りも下げる中、ドル円も上値の重い展開となっている。ロンドン時間に109円台を回復していたものの、NY時間にかけて108.40円近辺まで下落。ただ、月末が接近していることもあり、日本時間0時のロンドンフィキシングにかけて実需のドル買いも観測され108円台後半まで戻す展開。

 この日は個人支出やPCEデフレータの発表があり、PCEはFRBのインフレ目標に接近しており、また、シカゴPMIも強い内容となったが、市場の関心が政治問題に向かう中、ファンダメンタルズへの反応は鈍い。政治相場の場合、落ち着くのを待つのみといったところ。今週の安値は108.10円だが、目先のサポート水準として意識される。

 ユーロドルも上値の重い動き。イタリアの政局については、政権樹立を再度協議する動きも出ており、再選挙への懸念は一服。「五つ星運動」と「同盟」が組閣に向けて協議を行っており、そのなかで問題となっていた財務相にエコノミストのトリア氏を指名する方向で調整していると伝わっていた。一方、マッタレッラ大統領が財務相への任命に難色を示したユーロ懐疑派のサボナ氏は欧州問題担当相に指名する方向で調整しているようだ。

 この報道が流れるとユーロは買い戻しが強まる場面も見られたが、戻り待ちの売りも多く上値を抑えられている。

 ただ、短期的には押し目買いの好機との指摘も出てきている。今週は1.1510ドル近辺まで下落したが、心理的節目の1.15ドルをブレイクすることなく反転していることから、テクニカル的にはリバウンド期待もあるという。1.1750ドル手前の売りをこなせるようであれば、チャンスが広がるという。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
 

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