シリア情勢で米ロ対立が懸念される中、円買い優勢に=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場は円買いが優勢となっている。ここに来てシリア情勢が緊迫化しており、市場は懸念を高めているようだ。シリアのアサド政権が市民に化学兵器を使用したとの疑惑で、トランプ大統領がシリアへのミサイル攻撃を示唆している。その決断の期限が現地時間11日の昼(日本時間12日未明)となっており、まもなく決断が下されるものと思われる。

 これに対してアサド政権を支援しているロシアがミサイルを打ち落とす方針を示唆している。トランプ大統領はツイッターでロシアに対して「ミサイルがやってくるから準備しろ」と警告している。

 市場では今回の件でロシアへの経済制裁が強化されるのではと警戒しており、ロシア市場では債券やルーブルが急落している。米中貿易戦争への懸念が緩んでいる矢先に再びリスク回避の雰囲気を市場は強めているようだ。

 なお、きょうは3月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、コア指数で前年比2.1%となった。昨年第1四半期以来の2%台回復となっている。携帯電話の値下げが一服したことが主因。この傾向が続くか注目されるところではあるが、予想通りだったこともあり、きょうのところは反応は限定的となっている。

 ドル円は106円台に下落し、一時106.65円付近まで値を落とした。前日安値が106.60円付近にあり目先の下値サポートとして意識されるほか、21日線が106.25円付近に来ている。

 一方、ユーロドルはきょうもじり高の展開を続けており、1.23ドル台後半まで上昇。きょうで4日続伸。特にユーロ買いを誘発する材料はないが、市場がシリア情勢への懸念を強める中、ドル売りがユーロドルを押し上げているようだ。

 きのうはECB理事のノボトニー・オーストリア中銀総裁の発言に一喜一憂する展開が見られた。総裁は段階的な正常化を行う時が来ていると述べ、その上で第1段階として、預金金利をマイナス0.4%からマイナス0.2%に引き上げに言及している。ただ、市場からはユーロ買いの材料には乏しく、総裁の発言を持ってしてもユーロは上値の重い展開が続くとの指摘も出ている。

 2月以降、21日線を挟んでのレンジ取引が続いており、次の材料待ちの展開が続いている。高値圏でのもみ合いでもあり、この場合、上放れするケースも多いが、今回はどうか注目される。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美 

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