きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となっている。ただ、ドル円の上値は重い。きょうの日経平均が大幅安となり、円相場はリスク回避の円高が強まりドル円を圧迫していた。 トランプ大統領のエルサレムに関する報道だったが、大統領から直接発言が出ており「エルサレムはイスラエルの首都と認識するとき。米大使館をエルサレムに移転するプロセスを開始」など述べていた。ただ、市場は落ち着いた反応を示している。 ユダヤに関する事柄のためかもしれないが、NYの金融市場は東京市場の反応に比べて非常に冷静だ。大統領は「イスラエルとパレスチナ双方が合意した2国家共存解決案を支持」とも述べており、中東情勢の悪化への懸念には繋がっていないようだ。 ドル円はロンドン時間に一時111円台を付けたものの、NY時間に入って米株が底堅く推移していることから、112円台は維持されている格好。ただ、米国債利回りは長短とも低下しており、ドル円にとってポジティブな雰囲気はない。 この日発表になったADP雇用統計は予想通りだったほか、第3四半期の労働生産性は予想を下回ったものの、大きな反応はなく通過している。 米税制改革法案や債務上限引き上げなど米政治関連のイベントへの期待感から、年末に向けてのポジション調整が続いており、ドルはショートカバーが優勢となっている。ドル円にとってはポジティブな流れではあるものの、積みあがった円ショートの巻き返しに相殺され上値は相変わらず重い印象だ。 10日線が111.95円付近、100日線が111.60円付近に来ており目先の下値サポートとして意識される。上値は112.45円付近に21日線が来ている状況。 一方、ユーロドルは1.17台後半まで下げ幅を拡大。ドルのショートカバーが優勢となる中、ユーロドルはロングポジションの手仕舞いが続いている。前日は1.18ドル台を強固に維持していたが、きょうはブレイクした格好。1.1795ドル付近に来ている21日線と100日線も一時下回り、下値警戒感も高まっているようだ。ただ、市場ではあくまで年末に向けた調整の範囲で、押し目を買い下がる行動を推奨する向きは依然として多い。 ポンドはNY時間に入って下げ一服となったものの、本日の安値圏での推移が続いた。ここにきてアイルランドの国境問題が浮上している。EU離脱交渉で負担金や市民の権利の部分については合意できているようだが、北アイルランドとアイルランドの国境問題は解決の糸口が見えないようだ。 離脱後も北アイルランドについてはEUの規制を維持するというメイ首相の妥協案はジョンソン外相や、北アイルランドの民主統一党(DUP)が反対しているほか、ジョンソン外相やゴーブ環境相といった閣僚からも理解を得られていない。メイ首相の去就問題も潜む中、来週のEU首脳会談までの合意は難しいのではとの見方も出ている模様。 ここ数日の下げでポンド円は10日線付近まで下落してきている。目先は21日線が149円台半ばに来ており下値サポートとして意識される。 カナダドルが急落。カナダ中銀が金融政策を発表しており、声明で「利上げに関して注意深くなり続ける」との前回の文言を踏襲し慎重姿勢を強調した。先週のカナダの雇用統計が5年ぶりの強さを示したことで市場では、慎重姿勢を後退させるのではとの見方もあった。それだけにネガティブサプライズとなった模様。なお、雇用については「改善もスラックは残る」と言及。カナダ円は87.65円付近まで一時下落。 minkabu PRESS編集部 野沢卓美
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