23日からの週は、ドル高が進行している。次期FRB議長候補としてタカ派とみれるテイラー氏が有力であることや、米上下院で予算決議案が可決したことで税制改革の動きが前進したことが期待を高めている。米主要企業決算の好調で株高となったことも支援材料。米債利回り上昇とともにドルが買われている。一方、ドル以外の各主要通貨に売り圧力が掛かったこともドル高に寄与。ユーロにとってはECB理事会での結果が、ポンドにとってはEU離脱交渉の難航が、円にとっては総選挙での自民大勝と日経平均の記録的連騰が、豪ドルは弱めのCPIと金融当局者のハト派発言が、NZドルにとっては政権交代が、カナダドルにとってはハト派的な中銀会合声明がそれぞれ自国通貨売り圧力となっている。ドル円は114円台、ユーロドルは1.16台、ポンドドルは1.30台へとドル高が進行した。 (23日) 東京市場で、ドル円は一時114円台に上昇。前週金曜日の米上院での予算決議案を可決の影響に加え、週末の衆院選での与党勢力の勝利を好感して、ドル高円安の流れが継続。ドル円は一時114.10近辺まで上値を伸ばす場面が見られた。日経平均が15連騰に向けて一気に買い進まれたことなどもリスク選好の円安に。しかし、114円台は維持できず113円台後半での揉み合いに落ち着いた。 ロンドン市場では、ドル買いが優勢。ただ、値動きは小幅に留まっており、全般にNY市場待ちのムード。ドル円は113円台後半での上下動。米債利回りが低下から上昇に揺れる動きに反応。ユーロドルは一時1.1750割れ。カタルーニャ問題が重石。ユーロ円は113円台後半に軟化も、欧州株が底堅く下げ渋り。ポンドドルは1.32台乗せで始まったが1.31台後半に反落。英CBI製造業受注が約1年ぶり低水準となり上値を抑えた。 NY市場では、ドル売りが優勢。特に悪材料はないが、米国債利回りも下げ、米株も上げ一服となったことから利益確定売りが強まった。ドル円は113円台前半まで下落。東京市場で114円台を維持できなかったことで見切売りがでていた。ユーロドルは1.17台半ばでの推移。週後半にECB理事会を控えており動きにくく、カタルーニャ情勢を見極めたいとのムードも。 (24日) 東京市場では、NZドルに動きがみられた。新政権樹立で次期首相となる労働党アーダーン党首の会見に神経質な反応をみせた。財政規律について責任を負うとしたことで、NZドル買い反応。その後NZ中銀の責務について、雇用最大化を加える可能性に言及し、緩和的な金融政策への思惑広がりNZドルは下落に転じた。対ドルで0.70台乗せから0.69台前半へと反落。ドル円は113円台前半を中心とした揉み合い。北朝鮮で生物兵器実験の可能性とのニュースで円買いも反応は一時的。 ロンドン市場では、ドル円が堅調。欧州株が堅調なことや米債利回りの上昇とともにドル円は113.77近辺まで高値を伸ばしている。欧州通貨はまちまち。この日はユーロ買い・ポンド売りが優勢。ユーロにとっては欧州の10月製造業PMIが予想を上回ったことが買い材料。ポンド関連の材料は見当たらないが、引き続きEU離脱交渉が難航していることや、あすの英GDP発表を控えた警戒感もあるもよう。NZドルは引き続き軟調。豪ドルもロンドン時間に入って売られている。 NY市場では、ドルもユーロも上昇する一方で円安が優勢に。米税制改革への期待などで米株の最高値更新が続くなど、米景気の先行きに楽観的な見方が広がっている。米10年債利回りは2.42%台まで上昇。市場にはリフレトレードが広がっているとの見方もあった。終盤にドルが上下動。米税制改革案に3名の共和党上院議員が反対する可能性でドル売り。次期FRB議長人事でテイラー氏が優勢との報道でドル買い。ドル円は一時114円台乗せも113円台半ばまで反落。その後は113円台後半。ユーロドルは一時1.17台後半に上昇。ロンドン時間に売られたポンド円は一時150円台をつけた。 (25日) 東京市場では、豪ドルが下落。第3四半期の豪消費者物価指数が予想を下回る伸びに留まったことが背景。豪中銀の当面の緩和姿勢が市場に意識された。ドル円は113円台後半での揉み合い。前日NY市場で114円台の重さが確認されたことや、17連騰が期待された日経平均が後場に値を落としたことも重石。ユーロやポンドは小動き。 ロンドン市場では、ポンドが急上昇。英第3四半期GDPが前月比+0.4%と事前予想を上回ったことに大きく反応。英中銀の次回会合での利上げ観測が高まった。ポンドドルは100ポイント超の上昇。ポンド円は149円台半ばから151円台乗せ。ドル円は米債利回り上昇とともに114円台に再び乗せた。ユーロ相場は小幅高。10月独Ifo企業景況感指数が1991年以降の最高水準を記録したが、反応は限定的。一方、豪ドルは東京市場から引き続き軟調。 NY市場は、調整ムードが強まった。米株式市場でダウ平均に利益確定売りが強まるなか、ドル円は113円台半ばまで下落。この日の米新築住宅販売が強い内容だったにもかかわらず反応が限定的だったことも調整売りにつながった。ユーロドルは1.18台を回復。カナダドルが下落。カナダ中銀が金融政策会合で追加利上げに慎重な姿勢を示したことが背景。インフレ目標の達成時期の先延ばし、NAFTA再交渉への不透明感などが指摘されている。 (26日) 東京市場で、ドル円は113円台前半で上値が重い展開。前日の海外市場で114円台に乗せると売り戻されるパターンが続いたことで調整売りが出やすくなった。また、米時期FRB議長人事で、タカ派のテイラー教授が有力ではあるものの、決定は来週にずれ込むとの見通しが流れた。ユーロドルは1.18台前半で比較的しっかり。ECB理事会待ちとなっている。 ロンドン市場では、ECB理事会を控えて調整的な動き。ドル買いやポンド売りが優勢。ユーロドルは1.18台前半で上値が重い動き。ドル円は113円台後半へと反発。そのなかでポンドは売り優勢。前日の英GDPを受けたポンド買いが巻き返されている。豪ドルは、デベル豪中銀副総裁が、データが示すよりもインフレは弱めとしたことが売りを誘った。ただ、下落は一時的に留まっている。南アランドは売り継続。前日の予算案での財政赤字拡大見通し、格下げリスクなどが背景。 NY市場では、ECB理事会でユーロが下落。ECBは来年1月から9月に300億ユーロに減額して資産購入を実施すると発表。今後も必要なら購入額や期間を変更する用意としており、市場はユーロ売りに反応。ユーロドルは1.16台半ばまで下落。ドル買いへと波及した。米上院につづいて下院でも予算決議案が可決したこともドル買い圧力となった。ドル円は取引終盤に再び114円台に乗せた。 (27日) 東京市場で、ドル円は114円台前半でしっかり。前日からのドル高・円安の流れが継続。米利上げ期待や下院での予算決議案通過を受けた税制改革への期待などがドル買いの背景。また、日経平均が大幅高となり、約21年ぶりの2万2千円台乗せとなったことがリスク選好の円売り圧力に。豪ドルは前日から一段安。豪副首相が二重国籍問題で議員資格喪失、豪政権は下院で過半数割れに。 ロンドン市場では、ポンド売りが先行。前日のECB理事会でユーロ売り・ポンド買いが進行したが、きょうはその巻き戻しが入っている。EU離脱をめぐる不透明感も継続。その他主要通貨は方向性に欠けている。ドル円は114.32近辺に高値を伸ばしたあとは一時114円割れ。ユーロドルは1.1616レベルまで下値を広げたが、1.16台前半での取引が継続。ユーロ円は一時132.50割れに。その後はそれぞれ下げ一服。米GDP速報値待ちに。 NY市場はユーロが前日に引続き下値模索が続いている一方で、ドル円も戻り売りに押された。朝方発表になった第3四半期GDP速報値が予想を上回ったことでドル円は一時114.45付近まで上昇し、目先の上値レジスタンスとされている114.50水準に接近した。ただ、その後トランプ大統領が次期FRB議長にパウエル氏指名に傾いていると報じられたことをきっかけにドルの戻り売りが強まり、米国債利回りの下げと伴にドル円も113.65付近まで下落。まさにパウエル・ターンといったところ。一時114円付近まで買い戻されたが、114円付近の売り圧力も強く113円台での推移が続いた。
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