英利上げ加速なら英イールドカーブはフラット化進むとの見方も

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 今週発表になった英消費者物価指数(CPI)は総合指数で前年比3.0%上昇と、英インフレは許容範囲の上限に到達している。市場では11月の英中銀金融政策委員会(MPC)での利上げ期待が高まっているが、その期待を追認する内容となった。

 カーニー英中銀総裁は先週のG20財務相・中央銀行総裁会議でワシントンを訪れた際に講演で、ポンドが買い戻されていることからインフレは今回でピークを向かえるとの見方を示していた。しかし、その意見には懐疑的な見方も多い。

 EU離脱交渉は第1段階の離脱プロセスの協議で既に暗礁に乗り上げており、年内にその協議を終え、次の段階の貿易交渉に移れるか微妙な情勢だ。更に足元の実体経済も決して盛り上がっているわけではない。急速に進んだインフレで個人消費は伸び悩んでいる。

 きょうはカンリフ英中銀副総裁のBBCでのインタビューが伝わっていたが、利上げのタイミングについては慎重な見方を示している。「8月に英中銀が示した見通し通りであれば、緩やかな利上げが必要になるであろうが、開始の時期については議論の余地がある」と語っていた。

 このような状況下、市場の一部からは、もし英中銀が利上げを予想以上に加速させた場合、英国債のイールドカーブは逆にフラット化するとのではとの意見も出ている。英国債は短期ゾーンの利回りは目先の利上げ期待から上昇するものの、足元の景気が圧迫されることから、長期ゾーンは歩調を合わせて上昇しない可能性も小さくはないとしている。

 最近のドルの動きに見られるように、米利上げ期待は高まっているものの、インフレ鈍化への懸念から長期金利が上昇せず、ドルは上値の重い。

 ドルの例からすれば、英利上げ期待が高まったからといって素直にポンド買いの反応が見られるとは限らないのかもしれない。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
 

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