ドルは伸び悩む ドル円は112円台前半=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、序盤はドル買いが優勢となった。この日発表になった米経済指標が予想を上回る内容となったことがドル買いを誘発している。原油の輸入価格が上昇したことで9月の米輸入物価が予想を上回ったことや、鉱工業生産も好調だった。

 ただ、先週の米消費者物価指数(CPI)を受けての下げから再度、上値へのモメンタムが高まっているという雰囲気はない。むしろ、ユーロの下げで相対的に買われた印象。

 ドル円はこの日の米輸入物価を受けて112.50付近まで一時上昇した。ただ、上値は依然として重い印象で、後半には112円台前半に戻している。米国債利回りがもう一度上向きの流れを取り戻さない限り、ドル円も115円台を目指す流れへの復帰は簡単ではなさそうだ。テクニカル的には10日線と21日線のデットクロスが示現しそうだが、ここで踏ん張れるか注目される。

 一方、きょうのユーロドルはNY時間の序盤まではほぼ一本調子の下げを見せ、一時1.1735近辺まで下落した。ただ、後半には1.1770近辺まで買い戻されている。ユーロドルはきょうで4日続落しており、21日線で上値を抑えられた格好となっている。このまま1.16台に再び下落した場合は、本日1.1635付近に来ている100日線が下値サポートとして意識されそうだ。

 来週のECB理事会に向けて、ユーロもこれまでのロングポジションの調整が出ている様子もうかがえる。きょうは9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の確報値が発表になっていたが、ECBが目標としている2%弱に向かう気配は一向に見られていない。

 ECB理事の間でも低インフレへの懸念が強まっているものと見られ、来年以降の出口戦略は打ち出すものの、慎重な内容になるとの見方も強まっている。

 ポンドは上値の重い展開が続いた。ロンドン時間に9月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、全体指数で前年比3.0%と英中銀の許容範囲の上限に再び達していた。きょうはカーニー英中銀総裁の議会証言も行われていたが、11月の利上げの可能性を示唆する発言を繰り返している。

 ただ、利上げがほぼ確実視される中で市場はむしろ、EUとの離脱交渉に焦点が移っている。英与党内でもソフトな離脱とハードな離脱とで意見が分かれている中、依然として交渉に進展が見られず、市場もなかなか、素直に利上げ期待からのポンド買いには動けないようだ。ポンド円は147円台に下落しており、10日線を再び下回っている。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美 

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