今週のまとめ10日2日から10月6日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 2日からの週は、ドル買いが優勢。複数の米金融当局者から年内利上げに前向きな発言が相次いだ。インフレ鈍化を警戒するトーンは弱まり、正常化に向けた動きに肯定的な声が多かった。経済統計では週初のISM製造業景況指数など好調な結果も相次いだ。雇用統計については前回からの伸び鈍化はハリケーンの影響として反応は限定的。ユーロやポンドにとっては政治面での不透明感が売り圧力となっており、側面からドル高を支えた面もあった。先週末のスペイン・カタルーニャ州住民投票では約9割が賛成とした。英国ではEU離脱交渉の難航を背景に、メイ英首相のリーダーシップへの疑問がでていた。一部には辞任を求める声も報じられた。豪ドルにとっては、豪中銀声明での豪ドル高けん制姿勢が重しとなった。円相場にとっては米国株式市場が連日の最高値更新となり、米債利回りも上昇。日米金利差が再び意識されやすい環境にあった。

(2日)
 東京市場は、ドル買いの動き。米債利回りの上昇と背景にドル円は112.92近辺まで買われた。米利上げ観測を織り込みやすいとされる米2年債利回りは1.5%に迫る動きをみせ、ドル相場を支えた。ユーロドルは1.18台を割り込むと1.1760台へと下落、ドルは全面高に。午後は値動きが落ち着いたが、ドル高水準を維持。

 ロンドン市場は、ドル買いが先行したあと、次第に円買いの動きが加わった。ドル円は序盤に113.06レベルまで上昇したが、米債利回りの低下とともに112.70台へと反落。ユーロ相場は週末のスペイン・カタルーニャ州の独立を問う住民投票で約9割が賛成としたことが売り材料。スペイン株の下落とともにユーロドルは1.17台後半から前半へ、ユーロ円は132円台後半から前半へと下落。ポンドも英製造業PMIの下振れが売りを誘った。さらに、EU離脱交渉をめぐる英閣僚のいらだちが報じられていた。

 NY市場では、ドル買いが優勢。米ISM製造業景況指数が新規受注の好調などで04年5月以来の高水準となったことが支援材料。ドル円は再び113円台乗せを試した。ただ、大台付近では売り圧力がみられた。市場では日本の衆院選への不透明感が円買いを誘ったとの見方も。ユーロ円は132円台前半、ポンド円は150円割れと軟調。ユーロやポンドも引き続き上値が重く、ドル買いには英欧政治情勢をにらんでのリスク回避の面も。

(3日)
 東京市場では、ドル買いが優勢。米債利回りの上昇とともにドル円は113円台に乗せ、113.20近辺まで買われた。113円乗せではストップ注文も観測されていた。ユーロドルは一時1.17台割れ。一方、豪ドルは軟調。豪中銀は政策金利を据え置き。声明で、豪ドル高けん制姿勢がみられたことや、緩和継続が見込まれたことが売りを誘った。市場では最近の豪経済統計が好調だったことで、タカ派の内容を見込む向きもあったようだ。

 ロンドン市場では、ユーロ高の動きが主導。ドル高は一服した。ユーロドルは1.1759近辺まで反発。ユーロは対円や対ポンドでも堅調。ユーロ圏生産者物価は予想を上回る伸びだった。ポンドは上下動。英建設業PMIが弱かったことで売りの反応をみせた。ドル円は113円をはさんでのもみ合い。欧州株は全般に堅調だったが、スペイン株は不安定な値動きで、一時プラス圏も再び下落。

 NY市場では、ドル売りが優勢。この日は主要な米経済指標の発表はなかった。NY時間に入ってからの米国債利回りの下げを見て、モデル系や短期筋が利益確定売りを入れたもよう。ムニューシン米財務長官が次期FRB議長にパウエルFRB理事を支持と伝わっていた。また、債券入りポジションの蓄積の報道も。ドル円は113円台から112円台後半へと下落。ユーロドルは一時1.1770近辺まで反発。一方、ポンド相場には売り圧力が続いた。メイ英首相のリーダーシップに疑問がでていた。

(4日)
 東京市場は、ドル安が進行。朝方は前日NY市場の流れが継続、米債利回り低下とともにドル円は112.80台から112.50近辺まで下落。ユーロドルは前日高値を上回り1.17台後半に上昇した。午後に入ってからドル売りが再燃、ドル円は一時112.50割れ。日本株安が円高となった面も。ポンドドルや豪ドル/ドルでもドル売りが優勢。

 ロンドン市場では、序盤はドル高方向を試したが、次第にドル安方向に転じた。背景としてはスペイン・カタルーニャ州の独立問題があるもよう。前日の米国株上昇を受けて買い先行で始まった欧州株が連日のスペイン株の大幅下落を受けて次第に売り優勢に転じている。この動きとともに米10年債利回りは2.32%台から2.30%台へと低下。ドル相場を圧迫している。ユーロドルは1.17台で振幅。ドル円は112円台半ばを中心に上下動。ポンドドルは英非製造業PMIの上振れへの買い反応がみられた。

 NY市場では、ドルが買い戻された。米ISM非製造業景況指数が強い内容だったことが背景。ハリケーンのマイナス面よりも復興需要のプラス面がセンチメントを強めているとの見方。ドル円は112円台前半から後半へと上昇。ユーロドルは1.17台後半から半ばへと下落。米ADP雇用者数の伸びは13.5万人と事前予想通りの結果。前回からは低下したが、ハリケーンの影響として目立った反応はみられなかった。

(5日)
 東京市場は、小動き。ドル円は112円台後半での揉み合い。米債利回り動向が落ち着いており、東京勢は早くも金曜日の米雇用統計待ちのムード。ユーロやポンドも小動き。そのなかで豪ドルは豪小売売上高の弱さを嫌気して急落した。豪ドル/ドルは0.78台後半から前半へと水準を下げ、その後も安値圏で揉み合い。

 ロンドン市場では、ポンド売りが主導、総じて円高となっている。昨日のメイ英首相の演説が評価されず、一部には辞任を求める声があがっているとの報道も。ユーロ買い・ポンド売りのフローが持ち込まれ、ポンド売り圧力が広がった。ポンド円は149円台から148円近辺へ下落。ユーロは対ポンドでの買いが下支えとなったが、対円では軟調。ドル円はクロス円の下落が上値を圧迫し、112円台前半へ。豪ドルは東京市場からの売りが継続。

 NY市場では、ドル買いが優勢。米経済指標が好調だったことや、米株、米国債利回りがともに上昇していることからドルは買い戻しの勢いを増している。ウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁は利上げに関して「インフレ指標が上向くのを確認する必要はない」との強気コメント。市場での12月利上げ観測は約8割に高まった。ドル円は113円手前まで上昇。ユーロドルは1.17割れを試す動き。ポンドドルは1.31台前半に一段安。米株は最高値更新となったが、クロス円は上値が重い。
 
(6日)
 東京市場では、ドル買いが優勢。ドル円は112円台後半から一時113円台に乗せた。ただ、米雇用統計発表を控えており、高値追いには慎重な姿勢もみられており、上昇の動きは緩やか。ポンドは前日から引き続き軟調な地合いが継続。ポンドドルは1.31台をしっかりと割り込んでいる。ブレグジット交渉を指揮するメイ英首相のリーダーシップ不足との不満が広がっていることが背景。

 ロンドン市場は、米雇用統計待ちで小動き。米債利回りが上昇するなかで、序盤にドル買い圧力がみられ、東京時間からドル高水準を伸ばしたが値幅は限定的。ドル円は113.08レベルまで上昇したあとは、112円台後半に戻している。ユーロドルは一時1.16台後半に下落も、その後は1.17台を回復。そのなかでポンドドルは1.30台後半と売り継続。メイ政権への不透明感が重石。英独経済統計にはいずれも反応薄。豪ドルは東京時間の下げを消す動き。

 NY市場はこの日の米雇用統計を受けドル買いが強まったものの、北朝鮮への警戒感が高まりドル円は失速している。ドル円は米雇用統計発表後に113.40近辺まで上昇。ただ、米雇用統計をきっかけに利益確定売りも出ていた中、ドル円はストップを巻き込んで112.60付近まで急速に下げている。後半になっても戻らず完全に失速した格好。 

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