先週の米雇用統計が強かったことから今週こそ、ムードに変化も期待したが、また余計な雑音がドル円を圧迫している。ワシントンと平壌の間で舌戦が繰り広げられ、市場は北朝鮮問題への意識を再び強めてしまった。 トランプ大統領の「炎と怒り」の発言に北朝鮮がグアムに打ち込んでやると応戦し、今度は大統領が「誰も見たことのないような出来事が起きる。準備万端。」などと述べる始末。一頃流行ったプロレスのマイク・パフォーマンスでも聞いているようで、”米帝”とか”無慈悲”とか、鉄板のキーワードがいつ出るのかなと呆れるばかりであった。「炎と怒り」の発言はトランプ大統領のアドリブだったとの報道も伝わっている。 北朝鮮に関して市場は、現段階ではあくまでテールリスクと捉えており、最悪の事態は想定していないが意識はしている状況。そのような中、今回の件で決算通過後も最高値更新を続けていた米株式市場の利益確定売りを誘ってしまった点が、市場全体に波及してしまったものと思われる。夏休み期間中で市場参加者も少ない中、短期筋が敏感に反応したようだ。 金曜日には米消費者物価(CPI)が発表となり、予想を下回る内容だったことが、更にドル円をダメ押しした。一時108円台に下落している。年内の米利上げ期待が後退し、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは年内の利上げ確率は36%程度まで下がっている。 とはいえ、コアCPIは小幅ながらも4ヵ月連続で前月比増加しており、前年比では1.7%を維持している。利上げが全くできないというほどの弱さでもなく、この先の指標を更に確認したいといった程度であろう。今週の雰囲気がまずかったのかもしれない。 さて来週だが、基本的に夏枯れ相場は続くものと見られる。北朝鮮問題がどこまで尾を引くかだが、次第にフェードアウトして行くであろう。ちなみに8月15日は日本では終戦記念日だが、北朝鮮では日本による植民地支配が終結した日として祝日になっている。Xデーを警戒する向きもいるようだが、何も無いことをことを願うばかりだ。 円高の動きは後退し、ドル円もリバウンドを期待したいところではあるが、米CPIの影響は尾を引きそうだ。上値は重いものと見られ、110円台まで戻せれば御の字であろう。 相変わらず当たらない想定レンジだが、108.00~110.50とし、スタンスは中立で変わらずとする。 ()は前週 ◆ドル円(USD/JPY) 中期 下げトレンド継続 短期 ↓↓↓(↓↓↓) ◆ユーロ円(EUR/JPY) 中期 上から中立へトレンド変化 短期 ↓(→) ◆ポンド円(GBP/JPY) 中期 中立から下へトレンド変化 短期 ↓↓(→) ◆豪ドル円(AUD/JPY) 中期 上から中立へトレンド変化 短期 ↓↓(→) ◆ユーロドル(EUR/USD) 中期 上げトレンド継続 短期 ↑↑↑(↑↑↑) ◆ポンドドル(GBP/USD) 中期 上げトレンド継続 短期 →(↑↑) (みんかぶ「Klug」 野沢卓美)
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