【これからの見通し】ドル相場への回帰はまだ先か、きょうもリスク動向を注視 今週に入ってから、これまでの順調な株式市場の上昇に調整が入っており、米債利回りは利上げ動向よりも米株動向に左右されやすくなっている。為替市場でも、ドル相場主導の展開からリスク動向をにらんだ円相場主導へと変質してきている。足元で、原油安が進行していることもリスク回避圧力に働いているようだ。 ドル円は112円台乗せを111.70近辺で阻まれるパターンが続いており、相場は111円台を中心に一進一退になっている。6月14日安値108.83レベルから直近高値111.79レベルまでの半値水準は110.31レベルとなっている。この水準が目先の相場に分岐点として注目されよう。リスク回避の動きが強まったときの、下値のメドとなりやすいものとみられる。 きょうのイベントとしては、パウエルFRB理事の上院銀行委員会公聴会での証言が注目されそうだ。銀行規制のいわゆるボルカー・ルールの緩和が期待されている。前任者のタルーロ前理事からも、ルールが複雑すぎるとの声がでており、実務的な運用が困難となっているもよう。規制緩和は小規模金融機関に限定されるとの見方があり、その場合は市場での反応は限定的となろう。 経済統計は、カナダ小売売上高(4月)、米新規失業保険申請件数(17日までの週)、米景気先行指数(5月)、ユーロ圏消費者信頼感指数・速報値(6月)などの発表が予定されている。足元の原油安で売られがちになっているカナダドルだが、きょうの小売売上高は前回から改善する予想となっており、どの程度の反応をみせるのか興味深い。原油相場に関心が移るまでは、カナダ中銀総裁らのタカ派発言で買われ続けた経緯があり、ファンダメンタルズ動向に視線が戻るきっかけとなる可能性がある。 みんかぶ「KlugFX」 松木秀明
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