来週6月8日木曜日にECB理事会が開催されます。 先月の半ばごろから対ドル、対円で上昇が目立つユーロ。背景にはこの理事会で現状の緩和策からの正常化についての議論があり、声明などに変化が出るのではとの期待感があります。 FOMCや日銀金融政策決定会合などと同様に、年8回のペースで行われるECB理事会。そのうちの半分において、ECBメンバーによる経済・インフレ見通しが発表されます(こちらもFOMCや日銀会合と同じ)。 今回の理事会はそうした見通しが発表される回にあたっており、動きが出やすい回にあたります。 4月26日、27日に行われた前回のECB理事会での議事録を確認すると、「6月の理事会は、景気回復の持続性とインフレ見通しの再検証について、4月よりも適した位置にいる」と示されており、今回の理事会で出口戦略に向けた一歩を踏み出してくる可能性は十分にありそうです。 もっとも、ドラギECB総裁自体は、従来通りの慎重な姿勢を崩していません。先月29日に行われた欧州議会の経済金融委員会での総裁の議会証言では、ユーロ圏の経済について、「フォワードガイダンスを含め、金融政策の異例な規模の支援がなお必要」と発言。インフレについては、「インフレ圧力、特に賃金からの圧力に関しては、ECBの中期目標へ持続的・自律的に向かうにはなお不十分」と、慎重な姿勢を崩していません。 もっとも景気の下振れリスクについては、「一段と後退しつつある」と発言しており、今回の理事会での声明が上方修正される余地は十分にありそうです。 従来からECBの緩和政策に批判的なバイトマン独連銀総裁は、現行の政策に対して、「物価圧力が低調で、現時点では基本的には適切」としながらも、「景気動向やインフレ率が2019年にターゲットである約2%に上昇するとの見通しを踏まえると、金融政策の正常化を検討していくことは正当化される」と、出口戦略開始の議論に前向きな姿勢を示しています。 こうした状況を踏まえると、声明である程度の表現の変更があるという可能性は相当高そうです。 景気動向についてこれまでの下振れリスクとの表現を外し、リスクは概ね均衡しているなどと表現してくる可能性は高そう。 これまでの声明に見られた、状況によっては「資産購入枠を拡大する用意がある」との文言を削除してくるなど、より突っ込んだ姿勢を示す可能性も。 出口戦略に向けてしっかりと前向きな印象を与えてくるとユーロ買い。現行の慎重姿勢の継続が意識されるとユーロ売りとなりそうです。 みんかぶ「KlugFX」山岡和雅
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