ドル円は111円台後半に戻す 予算教書の反応やFOMC議事録前に調整か=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが強まり、ドル円はストップを巻き込んで111円台後半まで戻している。この日発表の米住宅指標も弱かったことから特段のドル買い材料は見当たらなかった。この日は米予算教書がトランプ政権から提出されており、その後に米国債利回り上昇と伴にドルは買い戻しが強まっている。

 予算教書は概ね事前に伝わっていた通りの内容ではあった。インフラ投資や国防費の増大などと同時に財政再建のため、オバマケアの見直しと低所得者向けメディケイドの支出削減などが発表されている。富裕層優遇との批判も出ていた。

 ただ、ロシア疑惑などでトランプ大統領の政権運営への不安感が強まる中、このタイミングでの予算教書提出に一部からは、ネガティブな反応も警戒されていたが、米株式市場でダウ平均がしっかりとプラス圏で維持するなど、ネガティブな反応を示さなかったことに安心感が広がったのかもしれない。

 また、明日は5月開催のFOMC議事録が発表される。今月発表になった米消費者物価(CPI)や小売売上高の前に開催されたFOMCで、6月利上げを正当化する内容の可能性もあり、一旦ドルショートを調整する動きが出たのかもしれない。

 ドル円は5月11日からの下げのフィボナッチ38.2%戻しの水準が111.80円付近に到達している。112円台に入ると前半に21日線が控えており、目先の上値目標として意識されそうだ。

 なお、ドル円は10日線と21日線のデットクロスが示現しそうだが、明日以降の動き次第ではダマシになる可能性も留意する必要がありそうだ。

 一方、ユーロは上げ一服となり、ユーロドルは1.11台に値を落としている。ショイブレ独財務相とクーレECB専務理事の発言が伝わっていたが、ショイブレ独財務相は「ユーロの為替レートはドイツとっては低過ぎる」と、前日のメルケル首相と同様の発言を行っていた。また、前日のユーロ財務相会合でギリシャ支援を決定できなかったことについては、「IMFが難しい姿勢取ったからだ」と述べていた。また、クーレ専務理事は、出口戦略の順序を変更する必要はなく、量的緩和終了前の利上げはないと述べていた。ただ、特に反応はない。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美 

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