8日からの週は、フランス大統領選を終えて、市場の関心が米国の経済動向へと移っている。ドル高の流れが優勢になった。市場での米6月利上げ確率が8割を超えており、米債利回りも上昇したことが背景。ドル円は112円台から一時114円台に乗せた。ユーロドルはフランス大統領選を受けて一時1.10台乗せを達成したが、その後は売りが継続し1.08台へと反落。ポンドドルは週初に1.30の節目に届かなかったあとは1.28台へと下落。英中銀金融政策委員会後の会見で、カーニー英中銀総裁は家計支出とGDP成長の鈍化が著しいと述べており、インフレ上昇の悪影響が警戒されていた。一方、ECBについてはなかなか出口戦略の糸口がつかめておらず、米国の利上げ期待との差異が再び意識されたもよう。そのなかで豪ドルは堅調。これまで資源価格下落で売りが優勢な流れとなっていたが、今週は世界的な株高や原油価格の反発を受けて下落は一服した。 (8日) 東京市場は、ユーロ買い・円売りが先行した。週末のフランス大統領選・決選投票でマクロン氏の勝利が確実と報じらたことが背景。反EU姿勢を鮮明にしていたルペン氏の敗北で、市場には安心感が広がった。ドル円はオセアニア市場早朝に113円台に乗せた。その後の押し目は112.60近辺までに限定された。ユーロドルは早朝に1.10の節目水準をつけたが、大台は維持できず1.09台後半での取引に落ち着いた。 ロンドン市場では、ユーロ相場が反落。先週は世論調査でのマクロン氏優勢を受けてユーロ買いが先行した経緯があり、勝利が現実となった週明けのロンドン市場ではこれまでのユーロ買いに利益確定売りが入った格好。欧州大陸株も同様に売りに押されている。ユーロドルは1.09台前半、ユーロ円は123円割れ水準まで下押し。ドル円は112円台半ばで上値が重い。ポンドや豪ドルは、対ユーロでのポジション巻き返しで底堅い動き。弱い英住宅価格や強いドイツ製造業受注などには反応薄。 NY市場では、ドル円が再び113円台に上昇。米国債利回りの上昇を背景にドル買いが優勢になった。フランス大統領選のイベントを通過して、米ファンダメンタルズ状況に市場の関心が移ってきたもよう。FEDウォッチでは米6月利上げ確率が83%まで上昇。原油も下げ渋り。一方、ユーロは利益確定売りが優勢。ユーロドルは1.09台前半、ユーロ円は一時123円割れ。ただ、NY時間には米経済統計や発言など目立った新規材料はでていない。 (9日) 東京市場は、前日からのドル高傾向が継続。ドル円は113.38レベルまで高値を伸ばした。前日のNY市場で米債利回りが上昇したことが背景。上昇後の揉み合いでは113円台外字されている。ユーロドルは1.09台前半での推移。豪ドルは軟調。3月の豪小売売上高が予想外の前月比マイナスとなったことが背景。資源投資の鈍化に対する民需の下支えが弱まることが警戒された。 ロンドン市場は、円売り先行後はドル買いが優勢に。ドル円は113.86レベルと3月15日以来の高値水準をつけた。クロス円も序盤に買われた。ユーロ円は124円台、ポンド円は147円台に一時乗せた。その後はドル買いに。ポンドドルは1.29台後半から前半へと反落。ユーロドルは1.09台を割り込んだ。米国の6月利上げを織り込む動きが続いたようだ。豪ドル円は83円での振幅で、東京市場の下げを消す動き。 NY市場で、ドル円は一時114円台に乗せた。全般にドル買いが優勢。ユーロドルは戻り売りが優勢で、1.08台に下落。仏大統領選を通過してファンダメンタルズに意識の戻っている。市場では米利上げ期待を再び織り込み始めているようだ。そのなかで、取引終盤に北朝鮮が6回目の核実験の準備を進めていると報じられたことで、ドル円が下押しされ、114円台は維持できなかった。米株式市場では最高値を更新する動き。一連の米企業決算は峠を越したが、おおむね好調な結果が多かった。 (10日) 東京市場は、円安進行にやや調整入る。ドル円は113円台後半を中心とした取引。序盤に114円を試したが、すぐに113円台に押し戻された。北朝鮮リスクが尾を引くなかで、113.60近辺まで下押し。ユーロドルは1.08台後半で狭いレンジ取引。米6月利上げ期待がドルの下支えとの見方は根強かった。 ロンドン市場は、方向感に欠けている。ドル円は再び114円台に乗せたが、上値は重く113円台後半へと押し戻された。この日は欧州株が軟調、米債利回りも低下。ユーロは上値が重い。ユーロドルは1.08台後半での揉み合い。ユーロ円は一時124円台乗せも、前日高値には届かず123円台半ばへ反落。ドラギECB総裁はオランダ議会で証言。ユーロ圏の景気改善を指摘しつつも、一部に不均衡増大、賃金上昇の鈍さを懸念していた。 NY市場は、ドル円が振幅。序盤は上値が重かった。北朝鮮リスクやトランプ大統領がFBI長官を解任したことなどが重石。しかし、午後の米10年債入札が不調だったことで利回りが上昇、ドル買い優勢に。ドル円は114円台を回復すると114.35レベルまで高値を伸ばした。ユーロドルは戻り売りが強まり1.0855近辺まで下落。週後半の米物価統計への期待感も。ボストン連銀総裁は年内あと3回乗り上げが妥当と強気のコメント。 (11日) 東京市場は、小動き。ドル円は114円台前半での取引が続いた。日経平均が2015年12月以来の2万円台乗せ目前まで上昇。113円台への調整はみられず、底堅い値動きが続いた。一方、114円台半ばは売り注文に上値を抑えられた。NZドルが軟調。早朝のNZ中銀理事会での声明が慎重なトーンだったことが背景。 ロンドン市場では、ポンドが下落した。この日は英中銀のスーパーサーズデー。金融政策は予想通り据え置きとなったが、市場はインフレ報告と中銀総裁会見に反応。インフレ報告では2017年成長見通しが引き下げられた。2017年インフレ見通しは引き上げられたが、2018-2019年に見通しは引き下げられた。カーニー英中銀総裁は、消費とGDP成長の鈍化が著しいと述べた。ポンドドルは1.28台半ば、ポンド円は146円台半ばへと急落。つれて、その他主要通貨もやや円高・ドル高方向に動いた。ドル円は113円台後半へ、ユーロ円は123円台後半へと下押し。 NY市場は、米株安を受けてドル円が113円台前半まで下落。株安の背景として、百貨店の決算が冴えなかったことで個人消費への懸念が強まっていた。また、114円台が重かったことで、あすの米CPIや小売売上高を前にポジション調整が誘発された面も。一時113.45近辺まで下落。ユーロ円が123円台前半へと下落、ユーロドルも一時1.0850割れまで下押しされた。 (12日) 東京市場は、ドル円が113円台後半の狭いレンジでの揉み合い。前日のNY市場のレンジ内で動きにくい展開。このあとのNY市場で4月の米小売売上高、消費者物価指数などの発表を控えており、様子見ムードが広がった。日経平均が反落、調整ムードもあった。 ロンドン市場では、ポンド売りが再燃。前日の英中銀金融政策委員会後のポンド売りが一段と進んでいる。ポンド円は一時145円台に下落、ポンドドルは1.28台前半へと下落。いずれも前日安値を更新した。ユーロは対ポンドで買われており、対円や対ドルでの下げは限定的。ドル円相場は米債利回りの低下を受け、やや円高方向への動き。ただ、下げは113.55近辺までと前日安値は割り込まず。このあとのNY市場での米小売売上高や消費者物価指数の発表を控えたポジション調整の範疇。 NY市場はドル売りが優勢となり、ドル円は113円台前半に下落している。朝方発表になった米小売売上高や消費者物価(CPI)が予想を下回ったことがドル売りを強めた。米国債利回りも低下し、市場の一部では今回の指標を受けて、6月利上げに対する確信がやや揺らいでいるようだ。CMEが算出しているFEDウォッチでの6月利上げの確率は前日の83%から74%に低下した。
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