ドル円は111円台を維持=NY為替後半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 NY時間の終盤に入ってドル円は111円台を維持している。きょうのドル円はNY時間に入って買いが強まった。ロンドンフィキシングにかけてドル買いが優勢となり、ドル円は111円台を回復。この日発表された米住宅指標が予想外に強い内容だったことをきっかけに買いが強まった格好。ただ、米国債利回りは下げ幅を拡大しており、特段のドル買い材料は見当たらない。本日は6月期末の取引でもあり、期末に絡んだ実需買いが出ていたのかもしれない。

 今週末に6月の米雇用統計が発表されるが、それまでドルは堅調に推移する可能性も指摘されている。夏休みシーズンに向けた取引もあと数週間で落ち着くことが見込まれる中、現段階で最も抵抗感が少ない行動は、従来から積み上げていたドルショートをさらに巻き返すことかもしれないという。FRBは今月のFOMCで、政策スタンスをややタカ派姿勢にシフトさせ、利上げ開始予想の時間軸を前倒したうえで、2023年末までの2回の利上げを見込んだ。今回の米雇用統計はそのFOMC後の最初の発表でもあり、市場はいつも以上に注視しているようだ。

 きょうもユーロドルは上値の重い展開が続き、1.18ドル台に下落しており、1.1850ドル付近まで下落している。1.1850ドル水準は今月に何度かサポートされた水準でもあり、ブレイクするか注目される。

 きょうは6月のユーロ圏の消費者物価指数の速報値が発表されていたが、前年比1.9%と、前回の2.0%をやや下回った。ECBの目標である2%を若干下回る水準にはある。インフレ圧力への懸念は後退したが、下期には再び上昇圧力が強まると見られているようだ。欧州は新規感染者数が減り、サービス業の営業再開に加えて、夏季旅行の本格化で欧州の景気は回復の勢いが増している。一方、企業は供給ひっ迫への対応に追われ、急激な価格上昇が定着するとの懸念も高まっているようだ。ただ、ECBがFRB同様に直ぐにタカ派に転じるとは見られていない。

 ポンドドルも上値の重い展開が続き、一時1.37ドル台に下落する場面が見られた。今月サポートされた1.37ドル台後半の水準が目先の下値メドとして意識されるが、テクニカル的にはその水準を完全にブレイクするようであれば、1.36ドル台が視野に入るとの指摘も聞かれる。

 ただ、ポンドは投資フローと英中銀の金融政策へのアプローチに支えられ下半期に上昇するとの見方も出ている。投資フローはポンドの見通しにとって依然として重要なファクターであり、国境を越えた海外からのM&A関連などの英国への資金フローが期待できるとしている。英株式市場は他の世界的な株価指数と比較しても、パンデミック前の水準をまだ取り戻しおらず、調査によると投資家は英資産をまだ過小評価したままであることが示されているという。一方、英中銀は依然として従来型の政策アプローチを採用し、持続的な高インフレを許容しない姿勢を示唆している。これらの点から、ポンドへの需要は今後高まるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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