7月6日の豪中銀(RBA)金融政策理事会では、9月が期限となる現状の債券購入プログラムについて、最終決定が下される予定です。地元豪州の大手金融機関の間でも、今後の債券購入プログラムの取り扱いについては見方が分かれており、市場の注目を集めるところとなっています。 なお、今回の会合では、豪中銀としては異例となる理事会後のロウ総裁による会見が予定されています。 前回会合直後の会見が行われたのは昨年11月3日の会合です。この時は政策金利を0.25%から同国にとって過去最低水準を更新する現行の0.10%への引き下げを発表し、債券買い入れについても拡大を発表しました。豪中銀による債券購入については、それまで3年物国債利回り目標という形で3年物国債を対象に実施していましたが、5-10年の国債・州債を半年にわたって合計1,000億ドル規模で購入すると発表。量的緩和策をスタートさせる形となった会合です。その後、2月の会合で量的緩和の半年間延長を発表しましたが、その際には会見は行われていません。 先月発表された豪州の第1四半期GDPは前期比+1.8%と予想を超える伸びとなり、好調さを維持。第1四半期の消費者物価自体は基調インフレ率ベースで前年比+1.2%とまだ抑えられた水準での推移となっていますが、住宅価格が前年比+7.5%、前期比+5.4%と伸びてきており、テーパリングに向けた期待感が広がる材料となっています。 カナダ中銀が4月の理事会でテーパリング開始を決定、メキシコ中銀が先月の理事会で2年半ぶりの利上げを実施と、他の主要資源国が超緩和的な政策からの脱却を進めていることも、豪中銀への圧力となります。 ただ、他国と比べて抑え込みに成功しているとみられている新型コロナについて、ここにきてデルタ株による感染拡大の動きが豪州でも広がっています。この感染拡大傾向を受けて、豪州最大の都市シドニーの全域やその周辺地域で先月27日から2週間のロックダウンを実施。北部の都市ダーウィンをはじめ、シドニー以外の地域でもロックダウンの動きが広がっています。 こうしたロックダウンの影響を考えると、緩和策を維持してくる可能性も十分にあります。 見通しは相当分かれていますが、2月の理事会の時のように単純に半年で1,000億豪ドルの買い入れ延長という見方は少ないようです。豪州の4大銀行のうち、ウェストパック銀行とANZ銀行は、現状の週50億豪ドルのペースを継続し、オープンエンドとする形で柔軟性を確保するという見通しを示しています。ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は750億ドルへ総額を減額しての延長を予想、コモンウェルス銀行(CBA) は500億ドルに半減しての延長を予想しています。 ただ、引き締めに向かっているという印象は豪中銀としては避けたいところとみられます。債券買い入れについて、何らかの形での前向きな変化を示しつつ、今回行われる総裁の会見では慎重姿勢を維持し、積極的にバランスシートを拡大する意向を市場に示す可能性が高そうです。 市場の反応の予想はかなり難しいですが、基本的には豪ドル買いの材料となりそう。先月ロウ総裁は同国内での講演の中で、現行の政策金利について、一定のシナリオの下で2024年に目標金利を引き上げる条件が整う可能性があると言及しています。会見で利上げについての前向きな発言が示されると、こちらも豪ドル買いの材料となります。 豪中銀理事会の結果発表は6日の13時半。総裁会見は15時からの予定です。 MINKABU PRESS 山岡和雅
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