ドル円は上値の重い雰囲気が続く 午後にFOMC議事録=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、ドル円は東京時間に110.40円近辺まで値を落としたものの、その後は買戻しも入り、110.80円付近まで買い戻された。しかし、111円台回復を試す気配まではなく、上値は重い雰囲気だ。

 米国債利回りが急低下しており、米10年債は2月19日以来の1.3%を割り込む場面が見られたほか、原油相場も下げに転じている。米株は前日付近で底堅い推移を見せているものの、次第に上値は重くなっている雰囲気もある。そのような中で前日同様にリスク回避の雰囲気が市場に広がっており、ドル円の上値を抑えている格好。

 きょうは現地時間の午後にFOMC議事録が公表される。それに先立っての米国債利回りの急低下は債券市場がFOMC議事録からのより慎重なメッセージを予想していることを示唆しているとも言える。なお脆弱な米雇用指標と一部のFOMCメンバーのタカ派よりのスタンスの相違を和らげたいというパウエルFRB議長の願望の間で、議事録はFOMC声明やFRBの経済および金利見通しよりも、慎重でバランスの取れたものになる可能性も指摘されている。米株式市場が軟調に推移したとしても、安全資産としてのドル高を妨げる可能性があるという。

 ユーロドルは売りが加速し1.18ドルを一時割り込んでいる。ストップを巻き込んで1.1780ドル付近まで下げ幅を広げる場面も見られた。前日同様にリスク回避の雰囲気が市場に広がっておりユーロを圧迫している模様。早期に1.18ドル台に戻せず、完全にブレイクするようであれば、3月末につけた年初来安値1.17ドルが視野に入りそうな気配ではある。

 ECBは9月にも合意が期待されている戦略見直しで、インフレが目標を上回ったとしても、金融緩和策の継続を許容する政策目標の変更を打ち出す可能性が高いとの指摘も出ている。インフレのオーバーシュートが発生した場合でも、拡大策の維持を選択できる可能性を残す変更になるという。これはFRBの平均インフレ目標と同様のアプローチとなり、従ってECBが提供している強力な金融緩和策がすぐに終了する可能性は低い。結果として、高水準の過剰流動性は当面の間もその役割を果たし、ユーロには下押し圧力として働く可能性が高いと指摘している。

 ポンドドルもNY時間に入って戻り売りに押され、1.37ドル台半ばまで下落する場面がみられた。先週末にサポートされた1.3735ドル付近が目先の下値メドとして意識され、その水準を完全ブレイクするようであれば、200日線が控える1.3665ドル付近が視野に入る展開が見られている。

 英国ではデルタ株の感染増加にもかかわらず、7月19日に残りの活動制限の大半を解除するというジョンソン政権の決定は、経済の需給バランスに影響を与え、ポンドを圧迫する可能性があるとの声も聞かれる。感染増加により消費者の信頼感が損なわれ、逆に需要が減少するという。完全にワクチン接種が済んでいない若年層は自己隔離を迫られ、若年労働者への依存度が高い産業は一時的な閉鎖に追い込まれる危険性もある指摘している。その下振れリスクを考慮すると、再開によるリスク顕在化で社会の停滞が判明した場合、市場が持続的な利上げサイクルに傾斜した価格設定を行うとの見方には懐疑的にならざるを得ないという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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