ドル円にやや買い戻し MPCにポンドは上昇の反応=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入ってやや買い戻しの動きが優勢となり、109.75円付近まで上昇。100日線が109.60円付近に来ており、その水準を上回る動きが見られている。本日の21日線が109.90円付近に来ており、目先の上値メドとして意識される。本日は米株や原油が上昇しているほか、米国債利回りも上昇に転じており、ドル円をサポートしているようだ。

 ただ、基本的には明日の米雇用統計待ちの雰囲気が強い。その米雇用統計だが、非農業部門雇用者数(NFP)は87万人増が見込まれている。前日発表のADP雇用統計が予想外に弱い内容となったこともあり、予想自体が若干下方修正されている。FRBは慎重姿勢を堅持しているものの、前日のクラリダFRB副議長の発言から、市場には9月FOMCで資産購入ペース縮小の開始に言及し、年末か来年初めの縮小開始に予想を戻している向きも少なくないようだ。強い数字であれば、それを裏付ける可能性もあり、ドル円は110円台を試す展開も想定される。一方、弱い内容であれば、期待は後退し、ドル円は下値模索が続く可能性もありそうだ。いずれにしろ、素直な反応になる可能性も留意される。

 ユーロドルは1.18ドル台での狭い範囲での振幅が続いている。明日の米雇用統計の発表を前にポジション調整が中心となっているようだ。ユーロ自体の動意は少ない中でユーロドルはドルの動きに依存している。

 前日は欧米のサービス業の景況感指数が発表になっていたが、ユーロ圏のサービス業PMIは速報値から下方修正されていたが、米ISM非製造業景気指数は予想を上回る強い内容となっていた。ユーロ圏と比較して米国のサービス業の予想を上回る回復はドルにとってプラス。市場はサービス業のデータに敏感になっており、ウイルス感染で消費者の行動が恒久的に変化したかどうかを測る先行指標として位置づけられているようだ。明日の米雇用統計次第だが、いまのところ1.19ドル水準はテーブルから外れているという。

 ポンドドルはNY時間に入って買いが強まり、1.3940ドル付近まで一時上げ幅を拡大。本日の100日線が1.3925ドル付近に来ており、その水準を再び上回る動きが出ている。ここ数日、100日線を挟んでの上下動が続いているが、上放れして行くか注目される。

 きょうは英中銀金融政策委員会(MPC)の結果が発表され、政策は大方の予想通りに据え置きとなった。委員の投票行動に注目が集まっていたが、金利据え置きは全会一致だったものの、資産購入についてはサンダース委員が英国債の購入枠を8750億ポンドから8300億ポンドへの縮小を主張し、反対票を投じていた。社債購入については200億ポンドで全会一致。市場では6対2での決定になるとの予想も多かったが、7対1となった格好。また、今回は金融政策報告も公表され、インフレ率は第四半期に4%に達するものの、その後2ー3年で目標の2%まで減速との見通しを示した。発表後にポンドは上下動したものの、基本的には発表前の水準で落ち着いていたが、次第にポンド買いが強まる展開が見られている。

 一部からは今回のMPCは出口に若干接近したとの指摘も出ている。9月末に一時帰休従業員への給与給付制度が終了するが、その後に失業率の大幅上昇が発生しないと仮定すれば、英中銀は2022年に引き締めを開始する可能性があるという。当初計画通りに資産購入プログラムは年末頃に完了する可能性が高いとしている。また、「2%のインフレ目標を持続的に達成する上で大きな進歩が見られるまで、引き締めはない」というガイダンスを放棄したことも注目に値するという。代わりに「経済が予測に沿って進展する場合、ある程度の予測期間中の引き締めは、インフレ目標達成に必要である可能性が高い」と変更した。

 今回のMPCで英中銀は出口に若干近づけたと見られている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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