ドル円は113円台に下落 株安・原油安でちょうどよい調整のきっかけに=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場でドル円は戻り売りが優勢となっており113円台に下落している。きのうまでは113円台では押し目買いオーダーも見られていたが、米株や原油が下落する中でロング勢も一旦後退したようだ。テクニカル的には過熱感も高まっていたことから調整が必要な状況にはあり、ちょうどよいきっかけになっているようだ。

 しかし、米インフレ期待は高まっており、米5年物のブレークイーブンレートが2005年以来の高水準に上昇している。米5年債利回りも1.20%まで到達し、2020年2月以来の高水準となった。リスク回避の円買いが強まらなければ、ドル円を下押す理由もなく、いまのところ下値も限定的と思われる。

 きょうは原油も戻り売りが強まっているが、WTIは一時84ドル近くまで上昇する場面が見られていた。一部からはドルは原油高から恩恵を受ける立場にあるとの見解も聞かれる。以前であれば、米国はエネルギーの輸入大国でドルと原油は負の相関関係にあった。しかし、現在はシェールオイルの発達で自給自足になっていることから、もはやその関係は成り立たないという。また、エネルギー価格主導のインフレ圧力にFRBが対応するとの見通しもドルを支えるという。FRBは現在、インフレ期待に非常に敏感なっていることから、原油価格が更に上昇すれば、他の中央銀行との比較でもっとタカ派になる可能性があるとしている。

 ユーロドルは全般的に様子見気分が強い展開で、1.1640ドル付近での狭い範囲での上下動に終始。FRBや英中銀と同様にECBもこれまでの刺激策の解除を模索し始めている。ただ、FRBや英中銀ほど早い動きを取っておらず、慎重なアプローチを心がけているようだ。

 そのような中で市場の一部からは、金融政策の正常化においてECBは、順序付けに固執するのではとの声も聞かれる。ECBは利上げを急いでおらず、少なくとも資産購入を完全に終了させるまでは利上げは開始しない方針をフォワードガイダンスを通じて強調するという。更に利上げ開始に高い基準を設ける可能性もあるとしている。なお、現在の短期金融市場は、2022年秋までに0.10%の利上げで織り込む動きを見せている。 

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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