ドル円は114円台後半で上下動 115円にはなお慎重=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 きょうのNY為替市場、ややドル買い戻しの動きが見られた。特段の材料は見当たらず、年末の実需のドル買いが出ているものと思われる。一方、ドル買いにもかかわらず、ドル円は上値を試すことなく114円台後半での推移が続いた。115円にはなお慎重なようだ。

 年末で全体的に薄商いの中、クリスマス休暇明けのドル円は強い上値抵抗が観測されていた114円台半ばの水準を上抜け、114円台後半に上昇。115円を試すか注目の動きが見られている。ただ、ドル自体は積極的に上値を試す勢いはない。オミクロン株の感染は厳しい制限を必要としないという楽観的な見方が市場に広がっており、避難通貨としてのドルの魅力を低下させているとの指摘も出ている。リスク選好の円安がドル円の下値を支えている状況に変化はない。

 ドル円は115円を試しに行くのか、そして、維持できるのかが目先の注目点となりそうだ。しかし、115円を試しに行く可能性はありそうだが、ドル買いのフォローが無い状況の中では、115円台の維持は難しいのかもしれない。

 ユーロドルは一時1.12ドル台に下落。しかし、1.12ドル台での買い圧力も強いようで、フィキシングを通過すると1.13ドル台に戻す展開も見られている。

 市場では来年のユーロドルに弱気な見方が多い。最大の理由はFRBとECBの金融政策格差だ。FRBは第1四半期で資産購入を終了させ、来年に3回の利上げを見込んでいる。一方、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は来年3月で終了するものの、その後は通常の資産購入プロフラム(APP)の購入枠を拡大して緩和スタンスを維持する姿勢を打ち出している。利上げについてもラガルド総裁は「来年の利上げの可能性は非常に低い」と消極的な姿勢を示していた。

 市場もそれで織り込んでいるが、FRBとECBのインフレ見通しを見ると違った景色も見られる。FRBは来年のインフレ見通しを従来の2.2%から2.6%に上方修正した。その一方、ECBは従来の1.5%から3.2%まで驚くほど大幅に上方修正している。このインフレ見通しからは、ECBが来年に利上げを行う大きな可能性を秘めているとの指摘もあるようだ。

 ポンドも伸び悩んだものの、対ドルでは一時1.34ドル台半ばまで上昇したほか、対円でも買いが続き、ポンド円は154円台半ばまで一時上げ幅を広げていた。ポンドドルは1.35ドル手前にフィボナッチ50%戻しの水準が来ており、さらに1.3575ドル付近に100日線が来ている。目先はそれらの水準が上値メドとして意識されそうだ。

 英中銀は先日の金融政策委員会(MPC)で予想外の利上げに踏み切った。その動きを見て市場は、追加利上げへの期待を強めている。ただ、一部からは、来年のポンドは脆弱との指摘も聞かれる。市場は利上げ期待を織り込み過ぎており、その調整でポンドは苦労するという。市場は現在、来年の英中銀による利上げを4回(1%)近くで織り込んでいる。しかし、実際は5月と11月の2回のみの可能性が高く、ハト派への調整でポンドは上値が重くなるという。

 一方、年初に向けての最大の関心事は感染拡大によるジョンソン政権の追加制限であろう。年内は発表しないとしているが、市場では、強い行動制限にはならないのではとの見方も出ている。それが年末に向けてポンドを支える可能性はあるとも指摘した。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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