【これからの見通し】ドル安の流れのなかで米雇用統計発表を迎える

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【これからの見通し】ドル安の流れのなかで米雇用統計発表を迎える

 今週はドル安の流れが続いている。11月に入ってからは一連の米物価統計の伸び鈍化、景況感系指数の弱含みなどファンダメンタルズ面からのドル安圧力が続いた。金融当局者らは今後の利上げ幅の縮小、ターミナルレート水準の引き上げ観測など対立する見方を示していたが、今週のパウエル議長講演で12月FOMC会合での利上げ幅縮小が示されたことが決定打となったようだ。ドル指数はポイントとなる200日移動平均線を下回り、下降トレンドが明確になっている。

 そのようは状況下で本日の米雇用統計発表を迎える。市場予想は非農業部門雇用者数を20万人増加とみており、前回の26.1万人増からはややペースダウンする見込み。失業率は3.7%と前回並み水準となる予想。物価に影響する項目としては賃金動向が注目される。平均時給は前年比+4.6%、前月比+0.3%と前回から若干の伸び鈍化が予想されている。

 市場の反応はどうか。全般に強い結果となれば、米債利回り上昇からドル買いの初動反応が期待される。週末を控えていることもあって米株には調整圧力が強まり、リスク警戒のドル買いと円買いの動きが交錯しそうだ。逆に弱い数字となれば、米債利回り低下とともにドル売りの反応、株式の上昇とともにドル売りや円売りに反応しやすい。ただ、結果の強弱が交錯するケースも考えられる。その場合は、素直にこれまでのドル安圧力継続と想定されそうだ。

 この後の海外市場では米雇用統計とともにカナダ雇用統計も発表される。雇用者数増減は前回の10.83万人増に対して、市場予想は1万人増にとどまる見込み。失業率は5.3%と前回の5.2%から若干の上昇が見込まれている。

 発言イベント関連では、ビルロワドガロー仏中銀総裁、デギンドスECB副総裁、ナーゲル独連銀総裁などECB高官の講演イベント参加が予定されている。バーキン・リッチモンド連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁など米当局者の講演も予定されている。バーキン・リッチモンド連銀総裁は労働市場に関する討論会に参加する。米雇用統計の結果を踏まえたコメントがでてくるのか注目される。エバンス・シカゴ連銀総裁は金融規制の役割についての会議に参加予定で、金融政策の話題には触れられない見込み。今週末からは米金融当局者らが金融政策や経済見通しに関する発言を控える「ブラックアウト期間」に入る。実質的には今週のパウエル議長講演で打ち止め感がでているようだ。

minkabu PRESS編集部 松木秀明

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